2020年7月21日9:05
東京・南青山にある美容室「VISION」は、「メルペイ」などのスマートフォン決済サービス、クレジットカード、電子マネーといったキャッシュレス決済を積極的に導入しており、キャッシュレス比率が高まりを見せている。キャッシュレス決済の状況について、VISION 代表の江草美忠氏に話を聞いた。
4月以降、キャッシュレス比率が7割まで高まる
世の中のトレンドに敏感な顧客が多く来店するVISIONでは、顧客のニーズに合った決済手段を選択してもらうため、クレジットカード、電子マネー等の決済手段を早くから取り入れてきた。クレジットカードや電子マネーは、リクルートの「Airペイ」を導入している。QR決済は、利用者のスマートフォン等でQRコードを読み取るMPM(店舗掲示型:Merchant Presented Mode)に対応している。
VISIONでは、新型コロナウィルス感染拡大前は6割だったキャッシュレス比率が、4月以降は約7割まで高まったそうだ。その理由として、現金の受け渡しがなくなる安心感があるとした。また、6月まで行われた「キャッシュレス・消費者還元事業」において、キャッシュレス決済がお得になる点をPRした点も大きい。
QR決済比率が2割に、メルペイ、PayPay、楽天ペイの利用が多い
VISIONは10代後半から20代の利用者が多いが、若い世代はクレジットカードを保有していない人も多い。現金利用者も一定数いるが、ここ1年はQR決済の比率が高まっているそうだ。現状、キャッシュレス決済では、クレジットカードが7~8割と多いが、QR決済比率が2割まで伸長した。
江草氏は「スマートフォンで決済するのは時代に合っています。QR決済は、メルペイ、PayPay、楽天ペイ(アプリ決済)の利用者がほとんどです」と話す。サービス開始時点から導入したメルペイは、フリマアプリ「メルカリ」の売上金をそのまま利用できることや、普段利用している銀行口座を登録し「メルペイ」に残高をチャージしたり、後払いの「メルペイスマート払い」を利用して買い物をしている人がいると想定できる。PayPayは、ソフトバンクやヤフーのユーザーなどが利用しており、キャンペーンも数多く実施しているため、使われる頻度が多い。楽天ペイ(アプリ決済)は、楽天市場や楽天カード等のユーザーで「楽天ポイント」を貯めている人が利用している。
QR決済の利用者は、店舗を繰り返し利用するリピーターも多く、男性の比率が高いという。江草氏は「QR決済を使い慣れている人もおり、浸透すれば会計はスムーズです」と説明する。店舗にとってもクレジットカードよりも安価な手数料で導入できる点は大きい。
統一QR「JPQR」を設置へ
一方で、今後のキャッシュレス決済の普及については、「決済の種類が多く、根本的な使いやすさがよくならないと難しいのではないでしょうか」と見解を述べる。今後は、決済手段の淘汰がある程度進むとみている。また、店舗ではさまざまなQR決済を導入しているため、レジ締めの際に作業が複雑になる点も課題として挙げた。
なお、VISIONでは、総務省が推進する統一QR「JPQR」を導入する予定だ。これまでは、レジスペース確保のため、全社のPOPをレジ前に設置できなかったが、JPQRを導入すれば、1つのコードで済むため、レジ前がすっきりするとした。
VISIONでは、今後もキャッシュレス決済の流れが国を上げて進み、現在のキャッシュレス比率がより高まっていくと期待している。