2020年9月1日8:41
楽天と東急は、2020年8月31日に記者説明会を開催し、楽天と東急が双方で蓄積するオンラインとオフラインのデータを活用してデータマーケティングソリューションを提供する「楽天東急プランニング株式会社」を設立すると発表した。
利用者が求める情報発信、品揃え、購買体験を創造
9月1日設立の東急プランニングの代表取締役社長には、楽天の常務執行役員である笠原 和彦氏が、代表取締役副社長には東急の経営企画室マーケティング・IT推進グループ 統括部長の日野 健氏が就任する。
楽天は、2020年6月末時点で国内1億人強の楽天会員を有し、年間3,200億ポイントを発行している。また、AIプラットフォームの提供、最先端技術への挑戦にも積極的だ。一方、東急は、交通、不動産、リテール、ホテルなど東急線沿線の生活を、オフラインを中心に
包括的に支え、顧客と密度の高い接点を有することで、生活価値向上に努めている。
これまでの両社の関りとして、1997年5月に、東急百貨店が楽天市場に出店。また、2015年8月に、楽天が二子玉川移転し、2018年12月に、楽天モバイルが二子玉川ライズに基地局設置している。2019年2月には、物流領域において業務提携。2019年8月には、東急グループが運営する「二子玉川東急フードショー」に「楽天ポイントカード」を、さらに「東急ストア」をはじめとする各施設に「楽天ペイ」を導入している。さらに、2020年8月には、UGVによる商品配送サービスを開始している。
消費者の購買動向の変化への対応により、オンラインとオフラインの垣根を超えたシームレスな対応が求められているが、楽天ではオンライン、東急ではオフラインに強みを持つ。楽天は、1億人を超える楽天会員に加え、多種多様なオンラインサービスを展開している。一方、東急は不動産、交通、ホテル・リゾート事業、生活サービス等、東急線沿線において生活に密着したサービスを行っている。両社の連携により、楽天のポイントサービスである「楽天ポイント」や、決済サービス「楽天ペイ」、AIプラットフォーム、楽天市場等のアセットと、東急グループの東急ストア、東急百貨店、東急ホテルズなど、オンライン・オフラインの垣根を越えて、利用者が求める情報発信、品揃え、購買体験を実証実験を通して創造していくという。
東急ストアは楽天ポイントとTOKYUポイントがWで貯まる
両社の連携強化の取り組みとして、2020年9月より「楽天ポイントカード」、「楽天ペイ」の導入を進める。「楽天ポイントカード」は、9月1日から東急ストア全店(「プレッセ」「フードステーション」を含む86店舗)、2020年10月から東急百貨店全店(ながの東急百貨店を除く)で順次導入する。2020年11月からは東急ホテルズの各ホテル、2021年春には、二子玉川ライズ・ショッピングセンターで導入を開始する予定だ。
東急ストアでは、「楽天ポイント」と、東急グループの「TOKYUポイント」がWで貯まるため、消費者にとってお得となる。なお、サービス開始を記念して、9月1日~13日の期間中、「東急ストア」など全86店舗において、「楽天ポイントカード 東急ストアサービス開始記念キャンペーン」を実施する。期間中に、対象店舗で200円(税抜)以上を利用し、会計時に「楽天ポイントカード」もしくは「楽天ポイントカードアプリ」を提示した人に、通常の2倍分の「楽天ポイント」を付与するという。さらに、キャンペーンページよりエントリーし、期間中に対象店舗において利用した会計の合計が5,000円(税抜)以上の人の中から抽選で500名に、「お買いものパンダデザインエコバッグ」を進呈するそうだ。
また、「楽天ペイ」は、東急ストア全店と東急モールズデベロップメントの各商業施設は導入済みだが、2021年春に東急百貨店全店(ながの東急百貨店を除く)、東急ホテルズ 各ホテル 、二子玉川ライズ・ショッピングセンターで導入予定だという。
楽天のオンライン、東急のオフラインデータを 活用
新会社の楽天東急プランニングでは、双方のオンライン・オフラインデータを活用したマーケティングソリューションの提供を目指す。デジタルマーケティングの強化、クロスチャネルを活用したプロダクト開発、両チャネルを活用した快適な購買体験を提供するそうだ。
デジタルマーケティングの強化では、楽天のデータ分析のノウハウを活用し、消費行動分析を行うことで、アプリ活用、店内告知、ポイントキャンペーン、価格設定、品揃えなどの提案に生かす。2020年10月~2021年3月まで、データに基づく顧客層別の情報配信方法と情報配信による購買変化の検証を実施する。具体的には、「東急ストア」などの東急ストアにおいて、楽天のデータ分析技術を利用して、商圏見込み顧客と潜在需要を把握するという。また、楽天のアプリ等を通じて顧客へ情報配信を行い、実購買データにより効果検証を行うそうだ。
クロスチャネルの広告プロダクトの開発
クロスチャネルの広告プロダクトの開発では、オンラインとオフラインのデータとアセットにより、従来にない広告商品を開発・販売するという。オンラインではWeb広告の効果最大化、オフラインではデジタルサイネージ広告効果の把握により、消費行動分析データによるターゲティング、アセット活用による広告接触トラッキング、消費行動分析データによる購買計測に取り組む。特にデジタルサイネージ広告効果の把握は今までになかった取り組みだという。2020年11月~12月まで、ウェブ広告媒体の実験販売および、二子玉川エリアにおいて二子玉川駅や東急ストア二子玉川ライズ店内のデジタルサイネージ広告媒体の実験販売を行う予定だ。
また、オンライン・オフラインを活用した快適な購買体験の提供を目指す。1つの例として、東急のバイヤーの目利きと、楽天の1億IDのトレンドを組み合わせ、顧客ニーズに合った商品を提供することなどが挙げられるそうだ。
両社では、新会社を通じて、今後、東急線沿線を