2011年3月25日8:00
月刊「アイ・エム・プレス」Vol.179 顧客サポートの底力
顧客サポートの底力
商品・サービスの価値を最大化しファンをつくる継続的なサポート施策を
マーケティングの理想は、無条件かつ永続的に自社商品・サービスを利用してくれる“ファン”を数多く獲得することだ。しかし、インターネットの普及により、生活者の情報収集力が格段に向上した昨今、顧客の“浮気”を食い止めることは容易なことではない。今回の特集では、顧客のファン化を促進する顧客サポート施策のあり方を探った。
“いかに少ないコストで顧客を獲得するか”に関心が集中する中で
顧客サポートは間違いなく一定のコストを必要とするマーケティング施策である。しかし、的確なコミュニケーションにより、顧客にとっての商品・サービスの価値を最大化することは、ファンづくりのための王道だ。施策設計さえ間違えなければ、確実なリターンを期待することもできるだろう。 景気がなかなか上向かない中で、企業のマーケティングにおいては、いかに少ないコストで顧客を獲得するかに関心が集中する傾向が見受けられる。経済のグローバル化、国際会計基準の導入などによりROIの重要性がますます高まる中で、収益を向上するために、このような思考に至ることは当然の成り行き。その結果として、例えば、比較的低コストで展開が可能なソーシャルメディアを活用したマーケティングや、成果報酬システムを採用している共同購入型クーポン販売サイトの活用などに取り組む企業が増加しているようだ。このような施策は、特に新たな顧客を獲得するという点では一定の効果を期待することができる。また、定量的指標により成果を把握しやすいという性格から、PDCAサイクルの構築によって施策のブラッシュアップを図ることも比較的容易である。従って、これらの取り組み自体は推奨に値するものと言えよう。
しかし、マーケティングの究極的な目標である“顧客づくり”という観点から考えると、このような施策だけで十全の成果を期待することは難しいだろう。商品・サービスの機能や内容が高度化・複雑化する昨今では、顧客の獲得=購入の時点でコミュニケーションを完結してしまうことは、顧客が購入した商品・サービスの価値を十分に享受できない事態を招くことにつながりかねない。その結果、顧客の離反を招いてしまえば、企業は常に新規顧客を獲得し続けなければ存続できない、自転車操業的状況に陥る可能性もある。
そこで注目されるのが顧客サポートである。顧客サポートは短期的な成果が把握しにくいマーケティング施策であり、ROIの追求という観点から、多大なリソースを投入することに二の足を踏む企業も少なくない。しかし、的確なコミュニケーションによって、顧客にとっての自社商品・サービスの価値を最大化することは、中長期的な視点で考えれば、間違いなく継続的に利用する“ファン”層を獲得・拡大することにつながるはずだ。そして、それは結果として継続的な収益向上を実現するものと言えよう。
今回の特集では、顧客サポートに積極的に取り組む企業のケーススタディを中心に、顧客のファン化を促進する顧客サポート施策のあり方を探った。
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