2011年11月11日14:54
2011年3月に発生した東日本大震災の被災地復興支援を目的とした団体である「つむぎプロジェクト推進協議会」(代表:NTTPCコミュニケーションズ)は、大船渡市と協力し、11月15日から、大船渡市内にある一部の仮設住宅を対象に、被災地域としての経験を教訓とした新しい防災システムの研究を目的として、「防災・市民メディア実証実験」を実施すると発表した。
行政防災無線だけでは市民への情報連絡ツールとして不足していたという東日本大震災での反省を踏まえ、災害時にできる限り早く、広く伝えることができるメディアが必要であり、災害時も使い続けられ、普段から使い慣れていることが重要であるという見解から、今回の防災・市民メディア実証実験の検討がスタートした。
同実証実験では、実験対象となる14拠点の仮設住宅に無線LANでインターネットに接続できる環境を用意し、うち3拠点では仮設住宅内の全戸からの利用を可能とし、実験参加申込者宅に「情報告知端末」を設置する。残りの11拠点では集会所に共用の端末を設置し、実験参加申込者にICカードを配布。参加者は、ICカードリーダにカードをかざすだけでシステムの利用が可能となる。
同実証実験では、大船渡市において行政防災無線で市民へ放送する際に、地域独自のSNSと連携し仮設住宅の端末やあらかじめ登録された携帯電話、災害FM放送へも情報を中継することを試みるという。これにより、従来行政防災無線にのみ依存していた災害時の緊急連絡を、地域内のさまざまなサービススキームのメディアに多重的に一斉に配信が可能となる。また平常時も活用できるように、スーパーマーケットの移動販売車のスケジュール告知や健康レシピなどの生活支援情報も提供する予定だ。
同実証実験では、3月11日の東日本大震災で大船渡市が経験した被災体験を調査・研究し、地域内の人的オペレーションも含めた新たな地域の防災システムの検討を行うという。