2013年7月26日8:00
顧客をいざなうコンテンツ・マーケティングの法則
総 論:顧客を創造する中長期的な取り組みが求められる
コンテンツ・マーケティングは、自社商品の優位性やメリットを訴求して購買を訴求する従来のマーケティングとは一線を画すものであり、その取り組みには大胆な発想転換が不可欠だ。求められるのは、顧客にとって有用な情報を提供することに徹し、中長期的な視点で顧客を創造する姿勢であろう。
“売れない”時代に対応した新たなマーケティング手法
最近、「コンテンツ・マーケティング」という単語をよく見聞きするようになってきた。
新しいマーケティング手法であるだけに、その定義は確立しているとは言えないが、“ 直接的に販売を訴求するのではなく、さまざまなコンテンツを通じて顧客にとっての商品・サービスの価値を啓蒙していく”マーケティング手法を指すと考えてよいだろう。
なぜ近年、コンテンツ・マーケティングに注目が集まっているのか。その根底にあるのは、現代がモノが“売れない”時代であることだ。
すでにたいていの市場は飽和状態にあり、生活者の価値観の多様化によって「隣の家が買ったからウチも」といった付和雷同的な購買行動もめっきり減った。また、インターネットが普及し、ソーシャルメディアの台頭によって多くの生活者が情報の収集力・発信力を手にした今、TVCMに代表される従来型のペイド・メディアの存在感は相対的に薄まり、企業の論理に基づくメッセージが顧客の購買行動に与える影響力も目に見えて低下している。
コンテンツ・マーケティングは、このような状況の中で企業が情報発信のあり方を変えようとする試みであると言える。具体的には、“企業が発信したい”メッセージを発信するのではなく、さまざまな興味や関心、さらには購買行動の各段階に応じて、それぞれの“顧客が必要とする”情報を取りそろえ、顧客が自分からアクセス・取得しやすい環境を用意することで、押し付けにならないかたちで商品・サービスの価値を啓蒙していこうというものであり、従来の手法と比較して、より顧客の論理に立脚したマーケティング手法であると言えるだろう。
今回の特集ではB to BかB to Cかを問わず、コンテンツ・マーケティングに積極的に取り組んでいる企業のケーススタディを中心に、そのあり方や成功のためのポイントを探った。