2013年10月28日8:30
タブレット端末が営業・接客を変える!
総 論:モバイル通信による顧客情報との連携で“One to One”の営業・接客を支援
タブレット端末を営業・接客に活用する動きが活発化している。モバイル通信で商品・顧客情報にアクセスすることで、“One to One ”の対応を支援すると同時に、タブレット端末を介して集められる各種データから、営業・接客“現場”の実態を定量的に把握できるメリットもある。
顧客情報へのアクセスが可能となり大きな可能性が開けた
急速な技術革新が進む情報端末は、マーケティングのあり方に大きな変化をもたらした。1990年代以降、全盛を極めたフィーチャーフォンは、国内では今や、スマートフォンにシフトしつつある。かつてデスクトップ型が主流だったPCも、飛躍的に性能が向上し、ノートタイプの軽量化や小型化が進んだ。こうした情報端末の“進化”が、生活者のライフスタイルを様変わりさせ、企業のマーケティング活動における“マルチチャネル化”や“オムニチャネル化”を加速する要因ともなっている。
情報端末の新しいカテゴリーのひとつが、タブレット端末である。Apple社がタブレット端末“iPad”を発表したのは2010年。そのスマートフォンを大きくしたような形状、大きめのディスプレイ、画面タッチを基本とする操作性といった特性は、電子カタログの閲覧やデジタル・サイネージとしての利用など、マーケティング活用にも大いに適したものだった。その後、国内外の電機メーカー各社がタブレット端末市場に相次いで参入。営業や接客を支援するソリューションも、国内外の企業から多数、開発・提供されている。
そして、こうしたタブレット端末による営業や接客の支援機能を飛躍的に高める重要なポイントのひとつが、顧客情報の活用だ。フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの場で、企業の担当者が、相対するお客さまの属性情報や購買履歴といった顧客情報を閲覧・活用できれば、“One to One”のサービスを強化することが可能になるからである。
顧客情報のマーケティング活用については、これまでもCRMシステムの導入など、多くの企業が取り組んできたところだが、顧客情報にアクセスできる端末としては、もっぱら据え置き型のPCが想定されてきた。情報セキュリティ対策の必要性から、個人情報を含むデータの取り扱いには慎重にならざるを得ず、ノート型PCなど持ち運び可能な端末を採用する場合は、セキュリティ対策にかかわるコスト負担がネックになっていた。
しかしその後、モバイル通信のインフラ整備が進み、出先などからもインターネット回線を通じて利用できるクラウド型の業務支援システムが一般化。現在では、端末からモバイル通信を使用して顧客情報にアクセスできるセキュアなシステムを、以前よりもずっと安いコストで構築・運用できる環境となっている。こうしたシステムを営業や接客で活用することによって、さまざまな可能性が開けてくる。今回の特集では、積極的にタブレット端末を利用する企業のケーススタディを中心に、その活用形態や成功の条件を探った。