2011年1月12日8:10
非接触IC決済事業者に聞く~西日本鉄道「nimoca」(1)
九州地方で勢力を拡大する「nimoca」の狙いとは?
バス・鉄道事業者の積極的な開拓を電子マネー加盟店の増加につなげる
西日本鉄道が発行する「nimoca(ニモカ)」のスタートは2008年5月。開始当初から電子マネーや独自のポイントシステムを導入するなど、積極的な取り組みを行っている。カードの発行枚数も当初の予想を上回るnimocaの取り組みについて西日本鉄道 ICカード事業部課長の飯田浩之氏に話を聞いた。
開始2年弱で100万枚を突破
加盟店の広がりとともに決済単価は減少傾向に
西日本鉄道(西鉄)が発行する「nimoca」はバス・電車の乗車に利用できるだけなく、電子マネーとしても利用可能だ。同社の100%子会社であるニモカでは、福岡県を中心に大分、佐賀県などで加盟店開拓を積極的に行っている。
カードの種類としては、会員登録が不要でバス・電車の利用時のみにポイントが付与される「nimoca」、会員登録が必要だがバス・電車だけではなくnimoca加盟店での買い物でポイントが貯まる「スターnimoca」、クレディセゾン、ジェーシービー、三井住友カード、三菱UFJニコスと提携した「クレジットnimoca」、そしてJALと共同で発行する「JMBnimoca」、福岡銀行と共同で発行する「アレコレnimoca」カードなどに大別される。クレジットnimoca、JMBnimoca、アレコレnimocaはクレジットカードの利用でもnimocaポイントが付与され、オートチャージ機能を付帯している。
現在、カードの発行枚数は120万枚を超えており、ニモカがアクワイアリングを行った加盟店は2,113店舗に及んでいる。
「サービススタート当初は5年間で100万枚の発行を目標としていましたが、2年弱で達成することができました。会員登録が不要なnimocaとそれ以外のカードの発行枚数の比率はほぼ半々となっています」(西日本鉄道 ICカード事業部課長 飯田浩之氏)
加盟店舗もサービスの開始当初は、福岡天神に店舗を構える百貨店やショッピングセンターなどが中心であったが、最近では自動販売機やコンビニエンスストアなどの加盟店が増えたことにより、決済単価は少しずつだが減少傾向にあるという。
西鉄以外のバス事業者への導入を進める
柔軟なポイント付与の仕組みが差別化のポイント
西鉄ではバスや電車など、交通系のnimoca利用を高めることが電子マネーの利用を促進するために必要なことであると考えている。そのため、自社グループのバス・電車だけではなく、佐賀県の昭和自動車と提携し、昭和バスでのnimoca利用を2月27日からスタートしている。また、「めじろんnimoca」を発行し、12月26日からは大分県の大分バス、大分交通でnimocaの利用を開始した。すでに大分県ではローソン139店舗(2010年9月末)でnimoca電子マネーの利用がスタートしており、「電子マネーは交通系ICカードとの親和性が高いため、九州地方の路線バス事業者に対し、nimocaの導入を行うことで電子マネーの対象エリアも広げていきたい」と飯田氏は意気込みを見せる。
nimocaが路線バスの事業者に採用される上での強みとなるのが、固定ポイント、ボーナスポイントなど、乗車運賃の変動によるポイント付与の仕組みを柔軟に変更できる点だ。nimocaでは鉄道やバス、電子マネーの利用で貯まったポイントをSFとして再チャージできるが、「恐らくFeliCaを利用したバス・鉄道のポイント付与・交換のなかでもっとも柔軟な仕組み」であると飯田氏は自信を見せる。
nimoca加盟店に設置する電子マネーのリーダライタはJR東日本メカトロニクス製の端末となっているが、同端末は他の電子マネーやポストペイにも対応している。
「ニモカが行うのはあくまでもnimoca電子マネーのアクワイアリングのみです。他の決済方式に関してはそれぞれのアクワイアラと相談して導入してもらいます」(飯田氏)