2021年7月6日8:00
キャッシュレス決済が普及する中で、その大半を占めるクレジットカードに関する取引における競争政策上の問題点がクローズアップされている。なかでも、クレジットカードでの決済があった際に、加盟店契約会社(アクワイアラー)がクレジットカード発行会社(イシュアー)に支払う手数料である「インターチェンジフィー制度」について、公正取引委員会は、国際ブランドに対し、「日本においても標準料率を公開することが望ましい」との見解を示しているほか、経済産業省が設置する検討会も、インターチェンジフィーの問題点を指摘している。(ライター:小島清利)
インターチェンジフィーとは?
公正取引委に加え、経産省でも議論が進む
インターチェンジフィーとは、クレジットカードでの決済があった際に、アクワイアラーがイシュアーに支払う手数料のこと。イシュアーとアクワイアラーが同じ会社である場合(オンアス取引)ではインターチェンジフィーは発生しないが、イシュアーとアクアイアラが異なる会社である場合(オフアス取引)で発生する。
日本では、インターチェンジフィーの標準料率をカード会員や加盟店は知りえないことを指摘した上で、「標準料率の公開は、市場の透明性を高め、カード会員による国際ブランドなどの選択や、加盟店による加盟店手数料の交渉に変化を生じさせ、市場における競争を活発化させる可能性があり、これが標準料率に反映されることによって、標準料率はより適切なものになる」とした。しかし、公正取引委が国際ブランドに対し、インターチェンジフィーの標準料率を公開することが望ましいとした後も、「公開へ向けた動きは認識していない」と公正取引委員会事務総局 経済取引局 取引部 取引調査室 室長 栗谷康正氏は指摘する。
公正取引委は2019年、クレジットカードに関する取引における独占禁止法または競争政策上問題となるおそれのある取引慣行などの有無を明らかにするため、クレジットカードに関する取引実態調査を実施した。それによると、国際ブランドとクレジットカード会社が共同して標準料率を決定する場合や、クレジットカード会社が共同して標準料率を用いることを決定する場合、独占禁止法上の問題(不当な取引制限)となる恐れを指摘した。
インターチェンジフィー制度をめぐっては、経済産業省キャッシュレス推進室の「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」でも、問題点を指摘する意見が出ている。その中では、インターチェンジフィーの標準料率を公開しているケースがあることを明らかにして、日本国内でのインターチェンジフィーのあるべき姿についての議論が進められている。
クレジットカード業界を巡る取引の問題点を指摘
公正取引委は独占禁止法・競争政策上は6項目提言
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