2021年11月1日8:30
三井住友カードでは、経費精算サービスを提供するコンカーと連携し、営業協働をはじめ、両社一体となって法人プロダクトを推進している。経費利用や出張の事前申請業務の自動連係、経費利用データの詳細把握、社内規程の範囲内かどうかを自動でチェックできる仕組みなど、順次機能を拡充しており、2022年度を目途に「経費精算業務の完全自動化」を目指している。
記事のポイント!
①法人カードの導入や発行枚数は増加
②「Concur Expense」へのデータ連携機能を随時拡充
③日本から経費精算業務をなくすことを目指す
④9月から国内航空券の区間情報、タクシーチケットの乗降地情報を把握可能に
⑤12月にはガバナンス強化型経理BPOサービスの提供開始
⑥来年4月以降はコーポレートカードやパーチェシングカードの利用制限機能を開発
⑦ホテルの詳細情報やECサイトの購入商品情報取得にも着手
⑧三井住友カードの法人カードの市場シェアは?
⑨大幅な経費削減や時間短縮につながる可能性も
⑩コンカー以外の経費精算業務とも連携強化
法人向けビジネスの展開を強化
日本から経費精算業務のない未来を目指す
三井住友カードでは、ここ数年法人カード分野を強化してきた。三井住友カード 法人決済ビジネス部 グループ長 渡邉将隆氏は「コロナ禍を背景として、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で法人カードの導入や発行枚数は伸びています。特に、パーチェシングカードは伸びています」と話す。新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、出張や接待がなくなり、法人カードの利用にも大きな影響はあったが、緊急事態宣言が解除された現在は前年と比べ需要回復が見られる。パーチェシングカードに関しては、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)といったクラウドサービスやネット広告は前年比2~3割増ペース、Zoomなどのウェブ会議サービスをはじめとするリモートツールが伸びたこともあり、前年比大幅な伸びがみられる。中小企業・個人事業主向けのカードである「ビジネスカード for Owners」も直近月では前年比でプラスに転じているそうだ。
法人決済ビジネス部 部長代理 森田健太郎氏は「法人向けビジネスについては、組織も統合してメンバーを増やし、これまで開発してきた商品のレベルアップを図っています。お客様のニーズが多様化しており、大企業、中小企業が求めるものも違いますので、そこに合わせて新しい商品を投下しています」と説明する。
中でも2020年9月に戦略的業務提携契約したコンカーとは、大企業や中堅企業をターゲットに連携を推進。三井住友カードの法人カードの導入に加え、コンカーの経費精算・管理クラウド「Concur Expense」へのデータ連携機能を随時拡充している。森田氏は「目指している姿は日本から経費精算業務をなくすことです。紙の授受、入力、承認作業をなくし、入力レス、承認レス、ペーパレスを目指しています」と意気込みを見せる。さらに、昨年10月の電子帳簿保存法の改正で、3万円未満の領収書は法人カードの利用データを代用できるようになり、データ連携の重要性はさらに高まっている。具体的には、三井住友カードのコーポレートカード、パーチェシングカードのデータ、デジタル明細を活用したデータソリューションと、Concur Expenseの経費精算、インボイスの仕組みを1機能として提供することで、企業などの経費精算業務や請求業務を効率化させることが目的だ。
出張などでの乗降情報を詳細に把握可能に
ガバナンス強化型経理BPOサービスで不正抑止
2020年4月には、第一弾として、ETCによる高速道路の出入り口情報(経費精算時の入力項目削減)、ユーザーの英字氏名(海外出張時の入力項目削減)、請求日データ(請求書とカード請求情報の突合作業の効率化)の連携を行ったが、9月から国内で初めて、国内航空券の区間情報(ANA@desk/JALオンライン)、タクシーチケットの乗降地情報を実現し、入力項目の削減とチェック作業の効率化を実現させている。森田氏は「鉄道、ETC、タクシー、航空などで法人カードをお使いいただいていますが、Concurと当社をご利用頂いているお客様が利用する上位10社の加盟店だけでも100万件/年使われており、経費精算業務が大量に発生しています」と現状を述べる。同社では、従業員が事後精算時に手入力する必要のあった乗車や降車の区間情報が自動的にコンカーの経費管理システム「Concur Expense」に連携する仕組みを構築した。これにより、「上長の精査さえも必要としない承認レスを実現しています」と森田氏は成果を述べる。
例えば、出張時の航空券の購買においては、航空券を予約発券する際に英字の名前を送ることで、手入力の手間を減らしている。タクシーでも9月から「VJAタクシーチケット」を使用した際に、出発と降車場所を把握可能だ。
12月からは、ガバナンス強化型経理BPOサービスの提供開始を予定している。これは、従業員のコーポレートカード運用において、経費として認められない利用分を、企業に代わり三井住友カードが従業員に対して直接請求を行うBPOサービスだ。現在、企業において不正な経費精算が行われた経験のある会社は7割あるとされているが、同サービスにより、経費として認められないものに関する企業と従業員間での精算業務が不要となる。企業にとっては、経費として認められない費用が発生した際の精算、および一時的にも企業の口座から支払いが発生する懸念があるが、その課題を解決できる。対象は、Concur Expense Pro契約ユーザーであり、かつ三井住友カードのMastercardコーポレートカードを利用する法人だ(Visaも対応予定)。
コーポレートカードやパーチェシングカードを利用制限できる機能を開発へ
ホテルの詳細情報、ECサイトの購入商品情報取得に着手
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