2021年11月17日16:56
大日本印刷(DNP)と肥後銀行、肥銀カード、九州産交バスは、熊本地域振興ICカード「くまモンのIC カード」の“モバイル化”事業の一貫として、2022年2月下旬から、九州産交バスが運営する九州産交バスの路線において、共同で関係者による実証実験を実施すると発表した。
同実証実験は、DNPが新たに開発したNFCタグを活用し、乗降区間によって料金が変わる地方バスで、スマートフォンで決済できるシステムを検証するものだ。地方バスの運営会社は、読取端末を導入する必要なく、低コストでキャッシュレス決済対応ができるため、経営効率の改善が見込まれるそうだ。また、同じNFCタグを地域に密着した店舗などに配置することで、地方・地域全体のキャッシュレス化も可能になるため、スマートシティやMaaS(Mobility as a Service、移動手段のサービス化)領域にも活用できるとしている。
同システムでは、バスの料金ボックスのほか、店舗や施設に、予め発行した薄い小型の紙やシール形状のNFCタグを貼付・配置することで、決済端末など特別な機器が必要なくキャッシュレス決済サービスを導入することが可能だ。
利用者は、スマートフォンをNFCタグにタッチすることによって乗降車情報を蓄積し、ロケーションシステム等の位置情報を掛け合わせることによって、乗降車区間を識別する。利用者のスマートフォンがオンラインに接続したタイミングで、クラウドサーバー上で決済が完了する。NFCタグを読み取る乗降車時の通信環境に左右されないため、山間部など電波の届きにくい場所でも利用できることを想定している。
なお、肥後銀行は、豊かな地域振興の実現に向けて、「くまモンのICカード」事業により、資金を地域内で循環させ、データを活用することで、持続可能な熊本・地域づくりに貢献することを目指しているという。
DNPは、長年にわたるICカードやスマートフォン決済でのサービスやソリューションの提供、高いセキュリティ環境下で決済事業者やサービス事業者等関連する各事業者の提供するサービスとの連携実績によるノウハウを保有している。また、NFCについて、デバイスやサービス間の互換性を実現するための仕様、認定プログラム策定および普及啓蒙活動を行うグローバルな標準化業界団体「NFCフォーラム(NFC Forum)」に2016年からスポンサーメンバーとして参画し、特に、モビリティ・交通分野の検討グループ、MIT SIG(Mobility, Identity, and Transport Special Interest Group)の活動をリードする等、NFCに関わるさまざまなユースケースを創出しており、これらのノウハウを活かして、今回のシステム開発に至ったという。DNPは 地方や地域でバスを運営または支援する企業や団体に向けて、同仕組みを提供するそうだ。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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