2021年11月25日9:05
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.は、2021年11月18日、B2B経費最新調査分析から見る日本企業のグローバル化とコーポレート・ガバナンスの課題に関しての説明会を開催した。経費業務のデジタル化の最新現場対応状況、経営層とファイナンス部門の関係性、今後の期待値、日本企業の海外進出と経費業務実態、および経費管理との関わりが強いコーポレート・ガバナンスおよびコンプライアンスに対する意識等について分析結果を紹介した。
電子帳簿保存法への対応は約半数
25%がDX化や電子帳簿保存法未対応への危機感を持つ
アメリカン・エキスプレスは、個人業主、中堅、グローバルの大手企業まで後方から支援している。フォーチュン500社の60%が同社の顧客だという。コロナ禍により、昨年からは中堅、大企業のT&Eの個人の経費精算が少なくなっているという。そこで、コロナ禍の経費関連のプロセスに対して調査を実施。アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 法人事業部門 副社長兼ジェネラルマネージャー 須藤靖洋氏は「日本企業も取り組んでいる企業、そうでない企業が顕著に見えてきました」と説明する。
同インターネット定量調査は、2021年10月8日~10月11日の間に実施。調査の対象者は、国内年商4億円以上の中小・中堅・大企業で、海外拠点を有しているまたは進出意欲がある日本企業(本社・本店の所在地が日本国内)の経営層(本部長・事業部長以上)300サンプル、経理・財務・会計・購買・総務部門340サンプル、その他一般の従業員660サンプルとなった。
前回の調査では、日本企業が電子決済を通して支払いスピードを上げる、海外との取引の増加、サプライチェーンの多様化がみられたという。キャップジェミニの調査では、海外ではポストコロナの企業選定として、サプライチェーンの多様化への投資は68%、サステナビリティへの投資を選定条件としているのは77%となっている。「その結果は日本にも浸透してくるとみています」とアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 法人事業部門 コンサルティング・マネージャー 矢ヶ崎紘二郎氏は話す。
今回の調査で、「御社で請求・契約処理の業務がDX化されることで、取引先との関係性にどのような影響があると思いますか?」という問いに対し、海外拠点を有している、または進出意欲がある日本企業の経営層の83%が、「取引が増えると思う」と回答した。また、コロナによる出張規定を7割の企業が行う、もしくは変える予定であるとしている。海外への動きは日本でも見られており、経理のDX化を行う機運がみられる。
さらに、経営層の自己申告として目指すゴールを100%としたときに現状は経理、財務、会計部門のDX化の50%完了していた。購買・総務部門は44%となっており、経理・財務・会計部門は一番進んでいるそうだ。矢ケ崎氏は「前回の調査では支出のデジタル化について、平均52%でしたが、海外では70%でした。日本企業デジタル部門のデジタル化は遅れているとみてよいと思います」と指摘した。
実際の業務の中で、どんなDX化が進んでいるかを深掘りする、「経費精算の実務においてどのように行っていますか?」という問いに対し、申請者が経費精算用のITツールに入力した上で「領収書はアプリで撮影やスキャンなどし、タイムスタンプをつけて写真として添付」するなど電子帳簿保存法を適用した運用をしている日本企業は17%のみとなり、十分に活用しているのは2割にも満たなかった。経理部門のDX化や電子帳簿保存法への対応ができていないことに対しての危機感を強く感じているのは25%と4社に1社となった。これは、実際の進捗に比べてかなり低い数値だが、須藤氏は「これをさらに上げていくことをアメリカン・エキスプレスとしても後方から支援していきたい」と意気込んだ。
なお、「日本特有の社風や文化が日本企業の経理部門のDX化を妨げているのか?」という問いへの自由回答として、「古い文化」、「資金人材不足」、「仕事を奪われたくない」、「上層部の理解不足」、などが挙げられた。
コロナ禍や、ポストコロナの接待や出張等増加の可能性をふまえ、「現在、または今後、御社の出張規定等の規約を改訂等する予定はありますか?」という問いに対しては、日本企業の68%が「改訂した、もしくは改定する予定がある」と回答した。ただ、経理部門のDX化の必要性や重要性に対する意識調査では、経営層の約半数がDX化推進の理由として、ペーパーレス化(52.3%)、経費精算の効率化(46.7%)を筆頭に挙げ、経費の削減(42.3%)、承認フローの簡略化(40.7%)など、上位項目は利便性や効率性に偏っている。一方で、DX化によるデータ可視化で実現できる支店や海外拠点の粉飾の防止(21.7%)や、贈収賄や資金洗浄などの抑止(19.0%)といった不正におけるコンプライアンス項目を選択する経営層は少ないことがわかった。
ペーパレス化、経費精算の効率化、経費の削減など、効率化の視点を上げている。一方で、コンプライアンスやガバナンスなども出てきている。
特に海外拠点では、現地でキャッシュに関する管理が手薄になりがちだ。海外拠点に関する不正に関してGIT法律事務所 代表社員・パートナー 西垣建剛氏は、不正会計、横領・詐欺・窃盗、贈収賄(違法接待を含む)などを挙げた。手口として、Petty Cashを用いる、第三国の銀行口座に送金、第三者を通じて支払うなどがあるそうだ。
電子帳簿保存法への対応が進んでいる経営層の特徴
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なお、アメリカン・エキスプレスの提供するWebサイトでは、精度の高いデータから様々なデータが読み取れるという。利用先の業種、サブカテゴリまで抽出可能だ。そこから金額の異常値、週末、同日・同店舗の分割した支払いなど利用を調査できる。同社では、外部パートナーと連携して顧客企業をサポートしている。西垣氏は「データで一元化することで自然な抑止力になります。現金ではお金が動いていることがわからないので、不正を防止し、検知するということで効果があります」とした。
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