2022年1月26日9:00
デジタル庁が主導する、暮らしのデジタル化。この中の重要なテーマのひとつである企業間の契約・決済について、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が中心となって検討を進めている。昨年12月に2回目の検討会を終えたIPAが、活動の概要や現状の課題、今後のスケジュールなどについての報告を行った。
決済はデジタル改革の重要なテーマ
次世代取引基盤の構築に向けて官民が連携
政府は昨年6月、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定した。契約・決済は、この中で、業種を越えた情報システム間の相互連携が重要な分野のひとつに指定された。また同年9月に開催された「第1回デジタル社会推進会議」でも、契約・決済分野は、当面のデジタル改革における主な項目に挙げられた。これを受けてデジタル庁は、データ化され、リアルタイムで把握可能な企業間の契約・決済の実装に向けた全体像(見取り図)についての検討を、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に依頼。IPAではデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)を事務局とする官民連携のプロジェクト、「契約・決済アーキテクチャ検討会」(以下、検討会)を立ち上げ、検討を重ねている。
PEST分析のフレームワークを用いて政治、経済、社会、技術の4つの観点から契約・決済を取り巻く環境を見ると、たとえば政治的背景においては2023年秋に電子インボイスが導入される。これに先んじて今年1月に施行された改正電子帳簿保存法は、電子データで受領した請求書の紙での保存は容認しないとしている。経済面ではGAFAなどの巨大プラットフォーマーの出現によって競争が激化。社会環境としてはSDGsの意識が高まり、CSRの一環としてカーボンニュートラル、グリーンフィンテックへの対応が求められている。技術面では2024年にPSTN(固定電話回線ネットワーク)が廃止。2027年には第8次の全銀システム更改が予定されている。
このような制度、技術、競争環境の変化により、企業間データ連携の必要性が高まっているが、中小企業や旧態依然とした金融機関にはアナログの取引習慣が色濃く残っており、ITスキルの高い人材が不足。DXが思うように推進されていないのが現状だ。
検討会では受発注・請求・決済における課題を整理。論点は、①相互運用性の確保(どのシステムを使っても連携可能となる標準・機能の特定)、②事業者KYC(本人確認に必須の追加機能とその連携の仕組みの特定)、③接続性・拡張性を担保するガバナンス(データ利活用を前提としたガバナンスの特定)の3つに集約できるとしている。
一方、包括的データ戦略におけるアーキテクチャについては、インフラからデータ、ツール、利活用環境、ルール、個々の取組分野、データ連携と7つのレイヤーに分けて議論・検討。今後5年間の具体的なスケジュールに落とし込んで対応を進めている。
デジタル最適とデータ利活用で効果が最大化
新規取引先の開拓や新規事業の創出も
検討会では、「データ化され、リアルタイムで把握可能な電子商取引契約および電子決済が取引金額の大半を占める」ことをKGIとしている。これを実現するために、前述した3つの論点をクリアしたプラットフォームの構築を急ぐ。
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