2022年3月15日8:30
チャージバック被害はオーソリ承認率にも影響
業界内の口コミ効果で導入が加速
2つ目は紹介・口コミです。弊社のチャージバック保証サービスにおける2020年のチャージバック申請を、商材別に見てみると、アパレル・雑貨が58%、化粧品が11%、この2つを合わせると7割近くを占めています。ここに旅行が入っていないのは、2017年以降チャージバックが頻発していたため審査が通らず、サービスを提供していなかったためです。アパレルや化粧品が多くなっているのは、コロナで旅行が減り、不正者のターゲットが物販に向いたという理由もあると思います。
弊社の加盟店の中にはアパレルや化粧品を扱っているところが多いです。ある中堅のアパレル企業に営業に行ったとき、ご担当者から「あの大手のアパレル企業がなぜ御社の不正検知システムを採用しているのですか」と質問されたことがありました。業界によると思いますが、アパレルの場合、横のつながりが強く、よく情報交換をされていて、「どこどこのだれだれさんから聞いた」と電話がかかってくることも珍しくありません。同業者の中に加盟店が増えてくると、システム利用の効果や実績についての口コミも増えていきます。それが循環サイクルになって、1つの業界の中で導入する企業が増えていくという動きになっているのだと思います。そこにもう1つ、これからお話しする「ASUKA」のネットワーク効果が影響しています。
ある化粧品の会社の事例をご紹介します。化粧品は原価が低いので、チャージバックになっても痛手が小さいため、あまり気にしない、対策もとらないという会社も結構あります。ここも当初はそうでした。しかし徐々に被害が増えて、アクワイアラに不正顕在化加盟店として登録されることになりました。イシュアのオーソリ承認率も低下傾向になり、ついに50%以下まで落ちました。これによる販売機会損失は、チャージバックそのものの被害よりも大きいです。そこでこの会社では「ASUKA」を導入しました。不正が減って、不正顕在化加盟店登録を解除され、オーソリ承認率も回復したという非常にわかりやすい事例です。
こういった実績が業界内に口コミで広がっていることが、導入が進む要因になっています。特にアパレルや化粧品の業界は不正犯罪者に狙われていますので、企業も敏感に反応しているものと見られます。
不正情報を共有し共通の敵に立ち向かう
「ASUKA」のネットワーク効果
3つ目が「ASUKA」のネットワーク効果です。これをご紹介する上でまず、共通の敵の存在についてお話しいたします。
「ASUKA」では導入から1カ月間、弊社がモニタリングをさせていただきます。ここで敵の存在などを可視化し、その結果をレポートとしてフィードバックしています。たとえばあるアパレル企業では、「ASUKA」のブラック情報との照合によってユニークで26件の不正を検知・制御しましたが、その中には「ASUKA」を利用しているほかのアパレル企業のブラックリストに載っている不正者がいくつも含まれていました。つまり、特定の限られた不正集団が同じ業界内で繰り返し不正を行っているということです。
特定の業界に来ている敵は、同じ集団である。その敵の情報を業界内で共有することができれば、それは強力なネットワーク、スクラムとなって、より効果的な防御ができると考えています。実際に「ASUKA」ではその効果が現れています。導入企業が多いアパレルや化粧品業界では、スクラムを組むことで防御力が高まり、それが口コミとなってますます導入企業が増えるという循環が生まれています。
導入企業の中には、アパレル、化粧品以外のほかにも、旅行系のグループや、プラットフォーム系、デリバリー系のグループができており、それぞれの業界内で情報を有効活用して不正検知率を高めています。最近増えているデリバリー系の不正犯罪も、同一集団によって行われていることがわかってきています。そういった横串の対策をとれるのが「ASUKA」の強みの1つです。
以上、「ASUKA」の3つの特徴についてお話ししてきました。パートナーにも環境にも恵まれ、導入が進んできました。今後も改善・強化に努めながら、一層の導入拡大を図っていきたいと思っております。
不正対策の最も大切なポイントをお伝えいたします。いかに“上質なネットワーク”に参加するかが、不正対策の最大のポイントであると考えます。不正検知システムは、加盟店が単独で導入・運用するものではありません。不正検知システムというのは、ある意味、ネットワークです。ですからどのネットワークに入るかということが、非常に重要です。どういう企業が使っているのかという点に注目して、自社に近しい業種業態の企業が多数参加しているネットワークを選択するとよいと思います。
不正検知はシステムを導入すれば終わりというものではありません。ゴールのないマラソンのようなものです。そういった意味でも、機能や精度ももちろん大切ですが、どのような仲間とともに闘うのかということがとても重要であると思います。
最後に「ASUKA」について少しご説明させていただきます。「ASUKA」は独自の認証ツールを備えた不正検知システムです。導入工数はライトで、おおむね2週間から1カ月で導入が可能です。料金体系は、従量課金制ではなく固定制です。チューニングの改訂などのフォローアップの費用もすべて含んで固定制となっています。不正検知システムは継続的な運用が前提になっていますので、「ASUKA」は特にこのフォローアップに力を入れています。専任のコンサルタントが付いて伴走する体制をとって、カスタマーサクセスに導きます。
昨年「ASUKA」には、最近増えているクレジットマスター・大量アタックに対応する機能を実装しました。特徴は、オーソリの前に牽制をかけるということです。ケースによっては1日に10万~20万件のアタックを受けることがあります。決済代行会社にはそのオーソリに対する費用もかかってきます。「ASUKA」ではその無駄な費用を削減することが可能です。クレジットマスター対策については最近大変ご相談が多いので、この機能だけに特化した「ASUKA」も用意しています。ご興味のある方はぜひご検討ください。
※本記事は、2022年2月10日開催の「ペイメントカード・セキュリティフォーラム2022」の株式会社アクルの講演の採録に加筆・修正を加えたものとなる。
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