2022年3月15日7:30
オフラインに広がる楽天経済圏
西友全店で楽天ポイント/楽天Edyが利用可能に
西友と楽天は、2022年4月からOMO(Online Merges with Offline)戦略の展開を本格化すると発表した。楽天ポイント、楽天Edy、楽天ペイなど楽天の決済サービスのフルラインナップが西友全店で利用可能になり、楽天経済圏はオフラインに拡大。西友はネットスーパー事業のより一層の強化によって、日本を代表するOMOリテーラーとなることを目指す。3月10日に行われたOMO事業戦略発表会において、楽天グループ 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏、西友 代表取締役社長 大久保恒夫氏が、将来に向けてのシナリオを語った。
楽天のキャッシュレスを融合した新アプリをローンチ
より快適なショッピングエクスペリエンスを提供へ
楽天は、2018月1月、ウォルマートとの戦略的提携を発表。同年4月に楽天と西友との合弁会社である楽天西友ネットスーパーを設立し、10月に「楽天西友ネットスーパー」をグランドオープン。2021年9月には「楽天西友ネットスーパー」アプリをリリースした。
楽天西友ネットスーパーは、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯で、3万~4万アイテムを保管することができ、搬送・保管を自動化した物流センターを千葉県柏市、神奈川県横浜市、大阪府茨木市の3カ所に保有しており、2023年には千葉県松戸市にも新設する予定。楽天西友ネットスーパーのサービスは、リアル店舗からの “店舗出荷型”配送(現状124店舗が対応)と、物流センターからの“倉庫出荷型”配送のハイブリッド型で運用しているのが大きな特徴だ。2021年の流通総額は前年比26%増の500億円。中でも倉庫出荷型配送による流通額は、前年比79%増の伸びを示している。
日本における2020年の食品EC化率はわずか3.3%と、世界の17.9%と比べて大きく後れをとっているものの、コロナ禍の影響などで一気に拡大傾向に入りつつある。このタイミングで楽天と西友は、4月からOMO戦略を本格展開することを発表した。
西友店頭ですでに利用が可能なアプリ決済の「楽天ペイ(アプリ決済)」、来店でポイントが貯まる「楽天チェック」に加え、4月からは西友オリジナルデザインの「楽天カード」、前払い式電子マネーの「楽天Edy」、「楽天ポイントカード」が「西友」「リヴィン」「サニー」の西友全店舗で利用できるようになる。同時に、「楽天ポイント」「楽天ペイ」「楽天Edy」を融合した新しいアプリもローンチされる。
三木谷氏は、「日本にもついに本格的なOMOの時代がやってきました。楽天IDで統合されたオンライン、オフラインのデータ分析結果にもとづくデジタルマーケティングによって、お客様に決済の利便性のみならず、パーソナライズされた、より快適なショッピングエクスペリエンスを提供していきます」と、今後の取り組みへの決意を表明した。
西友は楽天ポイントとして最大規模のスーパーに
顧客層の拡大、マーケティング展開も推進
2000年に日本初のネットスーパーの展開を開始した西友は、2021年にはウォルマート傘下に入って以来、最高の利益を達成。2022年以降は楽天との連携強化により、ネットスーパーで国内NO.1、さらにデータを活用したデジタルマーケティングを駆使した日本を代表するOMOリテーラーのポジションを獲得するべく、事業計画を進めている。ネットスーパーの業績は好調で、「2025年の目標としていた流通総額1,000億円は、1年前倒しして2024年に達成できる見通しです」と、大久保氏は頬を緩ませる。
1日当たり100万人以上を集客するリアル店舗網を有し、商品力と販売力、ことさら生鮮・総菜・デイリー食品の専門知識とノウハウに長けた西友。ECモールの運用、データ収集・活用、システム構築のノウハウに秀でた楽天。双方がタッグを組む意義は大きい。
今回の楽天との連携強化によって、西友は日本で最大規模の楽天ポイントが使える/貯まるスーパーマーケットとなる。楽天IDによってオンラインとオフラインのデータを統合することで、一貫性のある顧客コミュニケーションを実現することが可能になる。これにより、新規顧客の獲得と、既存顧客の活性化が望める。西友では、楽天ポイントカード利用者数の目標を、2022年に500万人、2025年に700万人、新アプリのダウンロード数の目標を、2022年に120万、2025年に500万としている。
同社リアル店舗の顧客層は、40~70代女性で半数以上を占める。一方で「楽天西友ネットスーパー」の顧客は、30~50代女性が60%超。20~50代女性という括りで見ると、リアル店舗では全体の34%であるのに対し、ネットス―パーでは73%に上っている。西友にとって楽天との連携は、顧客層の拡大という意味でも大いにメリットがあった。
「圧倒的な会員数を誇る楽天エコシステムに西友が加わることで、オフラインも含めたより大きな経済圏を形成できる。顧客層も広がる。データの活用によってマーケティングの可能性も大きく広がります」と、大久保氏は今後の展開に期待を寄せる。
特にスーパーと親和性が高い楽天の決済とは?
オン・オフの購買行動を一元管理してOMO施策を加速
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