2022年3月18日8:00
「HOPウォレット」を開始し、3年後にはキャッシュレス比率7割を目指す
スーパーマーケットチェーンの平和堂は、あらかじめチャージ(入金)した金額内で買い物に利用することが可能な「HOPマネー機能付HOPポイントカード」を全店で導入している。現在、自社型電子マネー「HOPマネー」決済サービスが店舗のキャッシュレス化を後押ししており、3年後には他社キャッシュレス決済を含めて7割の比率を目指している。
HOPマネーでレジ通過時間の短縮も
「HOPマネーdeプラス」も好評
平和堂がHOPマネーを展開する目的は、現金決済の比率を下げることで、顧客利便性を向上させ、煩わしい小銭のやり取りがなくなることで、レジ精算業務の効率化を実現させることにあった。開始時には、HOPマネーで数年後に売上対比30%を目標にするとしていたが、平和堂におけるHOPマネーの売上構成比は2022年1月で43.8%となっている。また、HOPカードの浸透によりレジ業務の効率化につながり、レジ通過時間の短縮の目安は15秒ほどとなる。これは月にすると1万5,000時間、年間18万時間(有人レジにおけるレジ通過時間)の計算となり、「お客様をお待たせしない」ことにつながるなど成果を上げている。
2022年1月現在、HOPカードは3種類を発行しているが、そのうち約390万枚が「HOPマネー付HOPポイントカード」となっている。また、「HOP VISAカード(Visaのクレジット決済機能付き)」が14万5,000枚、「HOP Edyカード(楽天Edy機能付き)」が3万4,000枚となる。
HOPカードには30万円までチャージでき、1回あたりのチャージ上限額はレジ、専用チャージ機は4万9,000円、HOPウォレットは10万円となる。チャージは、平和堂直営売場レジ(セルフレジを除く)、くらしのサービスセンター・サービスカウンターおよび店内に設置されている専用チャージ機で、現金1,000円単位で入金できる。2022年1月は、有人レジが43.5%、チャージ機が56.5%となった。また、貯まったHOPポイントをHOPマネーにチャージすることも可能だ。2021年2月~2022年1月のデータによると、HOPカードの稼働率は76.4%に上る。なお、カード残高の有効期限は5年間と長めに設定されている。
2020年12月からは、平和堂の全店舗で「HOPマネーdeプラス」を開始。対象商品を「HOPマネー」で支払うと、通常のHOPポイントのほか、商品ごとに設定されたHOPポイント(5倍相当、10倍相当)をボーナスポイントとして進呈するものだ。「HOPマネーdeプラス」は、加工商品や日配品、日用品などを中心にお得な企画となっており、1月の累計ご奉仕構成比は2.6%となった。
スマホで決済やチャージが可能に
初年度約10万件の登録を目指す
平和堂では、新たな取り組みとしてモバイルアプリサービス「HOPウォレット」を開始。利用者は、アプリに表示されるバーコードをレジで提示すると、アプリでHOPマネー決済が可能だ。また、本人名義の銀行口座(滋賀銀行)かクレジットカード(HOP-VISAカード)を登録すると、アプリでHOPマネーチャージが可能だ。さらに、ホーム画面で残高確認ができる。
平和堂では、「加速するデジタル社会への対応、非接触決済の需要拡大を受けて、HOPカードおよび、HOPマネーをスマホ連動させるアプリ『HOPウォレット』を導入することで、顧客利便性を高め、HOPカードのさらなる魅力向上を目指します」としている。まずは、初年度のアプリ登録数の目標を約10万件に設定している。
10種類のQRコード決済を導入
レジの刷新も予定
平和堂では決済手段の拡充にも取り組んでいる。2021年3月には、直営売場でのスマホ決済の取り扱いを全10ブランドに拡大。2019年よりすでに「PayPay」と「LINE Pay」を導入していたが、「楽天ペイ(アプリ決済)」、「d払い」、「au PAY」、「メルペイ」、「ゆうちょPay」、「Alipay」、「WeChat Pay」、「銀聯QRコード決済」に対応した。
2022年1月の売上構成比として、HOPマネーとHOPクレジットで47%を占め、他社クレジットが7.5%、他社電子マネーが0.4%、QRコード決済が3.6%となっている。2018年はキャッシュレス比率が27.5%、現金が72.5%だったが、2022年1月はキャッシュレス比率が58.5%となり、現金は41.5%まで落ちるなど、非現金化で大きな成果を上げている。3年後には、キャッシュレス比率を70%まで高める計画だ。また、今後は、レジの刷新も予定しているそうだ。
なお、平和堂では、シルタスと、2021年10月21日~2022年2月28日まで、「HOPカード」を活用して、健康寿命延伸を目指した実証実験を行っている。「SIRU+(シルタス )」は、スーパーのポイントカードなどに紐づく購買履歴から栄養の偏りを可視化、栄養バランスが整う食材やレシピをオススメするスマホアプリだ。同実験では、パーソナルな栄養状態をもとにした食の提案を行い、来店者の栄養状態や健康意識、購買意識の変化を促すことを目指している。2022年2月8日時点での利用者数は4,000名を超えた。実験は2月末で終了するが、アプリは3月末まで利用可能だ。実装化は未定だが、利用者の声やアプリの効果分析をもとに今後、検討していくという。
カード決済&リテールサービスの強化書2022より