2022年6月2日7:38
丸井グループの2022年3月期連結業績はECが伸び悩んだものの、「エポスカード」を扱うフィンテック(FinTech)分野が大幅に伸びた。家賃や公共料金といった継続的な利用が増えているのをはじめ、イベントを増やしたこともありアニメなど「『好き』を応援するカード」が好調に推移。一人当たりの利用金額アップと会員数の拡大につながった。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①グループ総取扱高は3兆円超え
②牽引するフィンテック分野
③フィンテック伸長要因は「家計シェア最大化」施策
④「ROOM iD」サービスが存在感発揮
⑤エポスカード新規入会者数は?
⑥「『好き』を応援するカード」が会員増を後押し
⑦店舗とWeb融合で「体験を提供する場」に
⑧体験型イベントでカード入会・利用促進
⑨会員一人ひとりのLTV向上へ
⑩今後もフィンテック分野はグループの業績をけん引
■グループ総取扱高は初の3兆円超えで過去最高に
総取扱高は、前期比15.6%増の3兆3,700億円と初めて3兆円を上回り過去最高となった。エポスカードを扱うフィンテック分野のカードクレジット取扱高が全体を牽引したことに加え、小売分野の客数が回復してきたことも寄与した。売上収益は同2.0%増の2,093億円と3期ぶりの増収で、営業利益も同142.0%増の368億円と2期ぶりの増益だった。
フィンテックの取扱高は3兆2,000億円と総取扱高のほとんどを占め、同15.9%増と拡大した。内訳はカードクレジットが同16.2%増の3兆760億円、カードキャッシングが同10.2%増の1,155億円だった。
店舗やECなど小売分野全体の取扱高も、同7.0%増の2,452億円と増加した。前期はコロナ禍で出店舗が休業を余儀なくされたが、当期は営業日数が増え来店客数も前期を上回ったことが寄与した。ただ、EC取扱高は2019年3月期の242億円をピークに3年連続で減少し、同8.4%減の186億円となった。
■家賃を中心とした「家計シェア最大化」施策がけん引
フィンテックの伸張要因として挙げられるのが、家賃をはじめ、電気や水道などの公共料金や通信費といった定期支払いにエポスカードの利用を促す「家計シェア最大化」施策だ。会員にとっては継続利用することにより、まとまったポイントが毎月貯まるメリットもある。施策の推進が功を奏し、カードクレジット取扱高の内訳では「家賃払い」が前期比24.0%増の5,732億円、通信費・公共料金などの「定期払い」が同8.0%増の3,093億円と拡大した。
中でも金額が大きいため決済額を押し上げる家賃払いが増えた背景には、連帯保証人に代わってエポスカードが保証する「ROOM iD(ルームアイディ)」サービスの存在がある。連帯保証人が不要なうえ契約時の書類準備といった煩わしさもなく、カードから家賃を自動引き落としできる利便性や振込料がかからないことが強みだ。さらに、敷金・礼金・前払い家賃など、部屋を借りる際にかかる初期費用のクレジット払いも可能となる。
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