LayerXが「バクラクビジネスカード」発行、支出管理SaaSと法人カードの一体提供へ

2022年7月29日8:00

LayerXは、法人支出管理サービス「バクラク」シリーズ5番目のプロダクトとして、法人カード「バクラクビジネスカード」を提供する。同社では、「バクラクビジネスカード」の発行により、国内でも支出管理SaaSと法人カードの一体型SaaSの提供を目指す。

左からLayerX 代表取締役CEO 福島 良典氏、バクラク事業部 プロダクトマネージャー 秋田 康男氏

法人支出管理のポジションを強化
カード利用の前後の業務の課題を解決へ

LayerXでは、2022年7月26日に「バクラクビジネスカード」の記者説明会を開催。当日はまず、代表取締役CEO 福島良典氏が同社のビジネスと「バクラクビジネスカード」発行の経緯について説明した。同社では法人カードを発行することで、法人支出管理(BSM:Business Spend Management)としてのポジションを強化する狙いがある。福島氏は「決済をしたいのではなく、バクラクのサービスの中で、カード利用の前後の業務の課題を解決していきたいです」と話す。

米国、欧州、中国では、BSMが勃興しており、ユニコーンが輩出されている。現状、日本はそういったカテゴリがないとしたうえで、BSMという新たなカテゴリを創出していきたいとした。同社では、2021年1月に「バクラク請求書」、2021年4月に「バクラク申請」、2021年4月に「バクラク電子帳簿保存」、2022年5月に「バクラク経費精算」をリリースするなど、この1年半でサービスのラインアップを揃えてきた。

バクラクのTPV(Total Payment Volume)は年間換算で約7,000億円に成長している。また、バクラクシリーズ累計で2,000社以上に導入されるなど、成長の手ごたえを感じているそうだ。中でもバクラク経費精算のリリース同時期からの他のサービスとのARR(年間経常利益)を比較すると、バクラク請求書の約7倍、バクラク申請の約34倍の成長速度となっており、BSM一体型でのサービス提供に強烈なニーズがあることが確認できたい。

同社のロードマップとして、「バクラク1.0」で請求書管理、ワークフロー、経費 精算など企業の支出管理にまつわる紙・ハンコ・手作業をなくす「SaaS」の提供、「バクラク2.0」で今回発表した法人カード、請求書後払いで支払い周りの負の体験を解消する「One-stop Financial Solution (Payment / Finance)」を展開していくという。「バクラク3.0」では、さまざまなB2B取引のデータとアルゴリズムにより、無駄な支出を自動的に削減する「Business Purchase Automation (Negotiation as a Service)」を目指す。

日本で支出管理と法人カードの統合の先駆けに
1年で1,000社を超の導入を目指す

法人の法人支出には「請求書」「経費精算」「法人カード」の3パターンが存在する。バクラクではこれまで請求書と経費精算の2領域をカバーしていたが、利用者から法人カードのニーズが多かった。法人カードは、口座引落のため、振込業務が発生せず、自動で引き落とされるメリットがある。現状、法人支出の業務プロセスにおいて、前工程の業務と振込/精算の業務は明確に分断があるため、事業者にとっての管理コストが上がり、業務が煩雑化して生産性が悪くなる。福島氏は「ミスが出やすいストレスの大きい業務であるため、法人カードを発行することでそのペインを緩和できる」とした。

法人支出管理が先行する米国では、支出管理SaaSと法人カードが統合される流れがあるという。例えば、第一世代では、bill.comやExpensifyがSaaSサービスを提供し、法人カードを買収する動きがある。第2世代では、Brexやrampなどが法人カードから支出管理SaaSへ転換する流れが見受けられる。第3世代のairbaseでは、BrexやRampのリワード合戦を見て、サステイナブルではないという考えから、当初より支出管理SaaSと法人カードの一体型SaaSを提供し、急成長しているそうだ。福島氏は、バクラクを第3世代に当てはめる。日本では、支出管理と法人カードの統合はまだ先だとしながらも、未来を先回りして一体型のサービスを提供していきたいとした。

同社では、2023年3月期末にバクラクシリーズ導入3,000社超を目指しているが、「すでに2,000社を超える会社に導入しており、上振れると思います」と福島氏は自信を見せる。また、「バクラクビジネスカード」は導入1年以内(2023年8月)に1,000社を超える導入を目指していきたいとした。

約1億円の利用枠を設定
利用した瞬間に明細を連携

続いて、「バクラクビジネスカード」の特徴について、バクラク事業部 プロダクトマネージャー 秋田 康男 氏が紹介した。ビザ・ワールドワイドジャパンの「中小企業の事業間決済におけるキャッシュレス化・デジタル化推進」によると、日本のビジネスクレジットカードは21%、デビットカードは2%となっており、韓国やシンガポールなどと比べて低い。また、日本において中小企業の事業用決済金額におけるカード決済が占める割合は1%となっており、英国の4%、韓国の9%、シンガポールの12%、オーストラリアの19%、米国の26%に比べて低い数字となっている。

法人カード利用時に特に面倒・不満なポイントについて聞いたところ、「カード利用の明細を見ても、何の費用か判断がつかない。領収書の突合に時間がかかる」「予算との紐付け管理が難しい」「決済データの連携が遅い」「決済サイクルが中途半端で作業が煩雑」など、カードの利用の前後の業務が課題となっている。

カードの持つ性質として、①カード番号を知っていれば誰でも決済できる、②振り込みが不要、③一度カード情報を登録すると、ワンクリックで決済が可能、といった点が挙げられる。これを個人と企業のユースケースで比較すると、個人は自分のみだが、法人では複数人、複数部署が行う必要がある。また、法人の場合、何かを買うためには申請・承認のプロセスが求められる。クレジットカード決済は利便性が高いが、法人取引との相性が悪く、使いこなすハードルが高いとした。

同社では、50社超にヒアリングを実施。その中で「事前申請が漏れる、サブスク系のものが勝手に更新されてしまう」「カードを共有しているため、だれが何のために買ったものかわからない」といった声があがった。また、使用者が事前に申請を上げてくれなかったため、 本来経費精算できないものを決済してしまったケースが発生し、結果的にカードを回収したケースもあったという。

「バクラクビジネスカード」では、 バクラクユーザーである経理担当者の要望を参考に、カード利用前後の課題を解決することを目指した。2022年8月に先行ユーザーに提供を開始。2022年9月以降に一般提供を予定している。Visaブランドの付いたクレジットカードで、世界中のVisa加盟店で利用可能だ(海外決済事務手数料2.2%)。まずはオンラインで利用可能なバーチャルカードから発行する。セキュリティ面では、3Dセキュア2.0にも対応した。

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