2022年9月1日9:00
10万円までの送金が可能な「ことら送金サービス」が2022年10月11日からスタートする。ことら送金サービスでは、銀行アプリなどを利用して、携帯番号だけで簡易に金額を送ることが可能だ。ことら 代表取締役 川越洋氏に、サービスの概要と利用シーン、目指す世界観などについて説明してもらった。
記事のポイント!
①10月11日から「ことら送金サービス」開始
②ことら社の主要部分はAPIとパブリッククラウド
③銀行アプリとBank Pay、ウォレット+、銀行Pay、J-Coin Pay対応
④メガバンク3行など手数料無料で送金サービス提供へ
⑤参加金融機関は当初の想定よりも上振れ
⑥PayPayなどの資金移動業との連携も注目
⑦具体的な利用シーンとは?
⑧今のところCtoB取引はスコープ外
⑨アプリ利用時のセキュリティは銀行で厳格に対応
⑩ことらの認知度も徐々に向上
⑪10万円からの上限アップの見解は?
⑫“みんなをつなぐ”ことらを目指す
API基盤とパブリッククラウド
J-Debitと同じプロトコル、フォーマットを使用
まず、ことら社設立の背景だが、海外では現在一般的になっている、スマホを使った個人間の無料送金サービスと、わが国で1973年から稼働する全国銀行データ通信システム(全銀システム)の存在が挙げられる。川越氏は「海外では小切手でやり取りされていたものが、日本では従来から電子的にできていた。その利便性があったため、次の進化が遅れたのではないか」と話す。また、約50年前に設計された全銀システムは、スマホ送金への移行も、簡単ではなく、システム対応コストも高額となることが懸念されていた。さらに、「全銀システムは8年ごとに大規模なシステム更改を行う巨大な仕組みであり、方向転換にも時間がかかることから、小回りが利く新たなシステムを作って対応することが必要となった」と川越氏は述べる。
ことら送金サービス開始に向けては、2020年8月にみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行のメガバンク5行が連名で検討についてリリースを出し、2021年7月にはことら社が設立された。2022年7月にはシステムをリリースしており、「スピード感を強く意識してプロジェクトを進めてきた」と川越氏は説明する。当初は2022年9月にサービスをスタートする予定だったが、10月11日のスタートとなったのは参加銀行のテストを入念に実施してもらうためだという。
ことら社のシステムの主要な部分は、API(Application Programming Interface)とパブリッククラウドだ。ことらは、デビットカードシステムの「J-Debit(ジェイデビット)」の仕組みも参考に設計されたが、基本的には別システムとなっている。川越氏は「NTTデータのCAFISの上で、J-Debitと同じプロトコル、フォーマットを使うことで、銀行が接続するための開発コストを削減している」と説明する。
銀行アプリとBank Pay、ウォレット+、銀行Pay、J-Coin Payに対応
API接続で個社開発にかかる時間とコストを削減
ことらは、API経由でさまざまなアプリと接続可能であり、銀行が提供するアプリはもちろん、日本デビットカード推進協議会の「Bank Pay」、ふくおかフィナンシャルグループの「ウォレット+」、GMOペイメントゲートウェイが基盤を提供する「銀行Pay」(こいPay,はまPay,YOKA!Pay)、みずほ銀行などが提供する「J-Coin Pay」のアプリでも利用可能だ。銀行は、共同利用型のアプリを採用すれば、個社の開発にかかる時間とコストを節約できる。
すでにメガバンク3行が無料でサービスを提供する旨が公表されており、それ以外の参加地銀からも無料でのサービス提供に関する顧客告知などが開始されている。ことら社では、固定料金とトランザクションに応じた料金を金融機関から徴収するが、銀行が手数料を無料にできるような水準なのであろう。
既にことらに参加を表明している銀行は37行だが、「足元では40を超えており、これからさらに増える見込み。当初の計画からはかなり上振れている」と川越氏は述べている。今後は、オールバンクの規模に近づけるように、さらに努力していきたいとした。
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