2023年10月24日8:00
D2C支援事業やECプラットフォーム「ecforce(イーシー・フォース)」を提供するSUPER STUDIOは、2023年3月にEC特化のMAツール「ecforce ma」をローンチしたり、7月にリアルストア『THE [ ] STORE』を展開するなど、「次世代EC構想」の実現に向けた取り組みを進めているが、2024年にリアルのPOS市場との連携を開始する予定であると発表した。会員カード等のデータを取り込むことで、ecforceを利用するブランドのGMV(流通取引総額)向上を目指す。また、次世代型店舗予約・顧客管理システム「ecforce check」を10月17日から提供開始している。
ECのマルチプロダクト、トータルソリューション展開
「次世代EC構想」を発表
10月17日に開催された記者説明会では、SUPER STUDIO 取締役 COO 花岡宏明氏が「次世代EC構想」の進捗状況や今後の事業戦略について紹介した。
2014年設立のSUPER STUDIOは、300名前後の従業員を有し、EC領域でSaaSを提供している。同社では、2021年から大型の資金調達を実施。例えば、決済領域の企業では、ネットプロテクションズなども出資している。
SUPER STUDIOは、ECプラットフォーム「ecforce」を2017年から展開しており、テクノロジーとデータを活用してEC運営を最適化することを目指している。メーカーが「ecforce」を利用して商品を販売し、その後の出荷作業や顧客対応、CRMを含めたトータルソリューションとして展開している。また、自社でD2C(Direct to Consumer)のブランド運営を行っており、そこで培ったノウハウを活用しながら、EC運営に必要なプロダクトを自社開発している。
「ecforce」では、コンサルティング(ecforce consulting)やサプライチェーン(ecforce supplychain)も提供してきた。また、EFO(ecforce efo)、プロファイル(ecforce profile)、チャット(ecforce chat)に加え、今年頭にはMA(ecforce ma)を提供するなど、トータルにサービスを提供している。
同社では、コト、モノづくりにおけるEC運営を最適化するフレームワークである「次世代EC構想」を発表している。同社の顧客でもECを主体にブランド展開していく中で、販売チャネルを自社だけではなく、Amazonや楽天などのモール、オフラインの小売店に伸ばしていく課題がある。そういった際に、業界全体の課題として、各チャネルにデータが散らばってしまうことが挙げられる。花岡氏は「ecforceでは、こういったところもすべての販売チャネルのデータを一元管理して、データを活用したBI(ecforce bi)やマーケティング領域に使える仕組みを目指してきました。ECを運営するうえでオペレーションが必要となりますが、出荷業務、顧客対応などもテクノロジーの力で自動化していく。こういったところを最適化するのが次世代EC構想です」と説明する。
現在の進捗として、全体像が2024年上旬にシステム展開できるように進行している。「ecforce ma」の活用企業も増えており、顧客に対してCRM(Customer Relationship Management)を実践することで、LTV(ライフ・タイム・バリュー)を向上させる事例も出てきた。また、2024年上旬に向けて、ecforce biのプロジェクトも進行している。すでに自社のD2Cブランドにecforce biを導入しており、来月から同社の顧客にもベータ版を提供する予定だ。
次世代型ショップ「THE [ ] STORE」展開
ECの顧客獲得コスト高騰の中半分のCVで獲得
また、リアル店舗である次世代型ショップ「THE [ ] STORE」をRAYARD MIYASHITA PARKにオープンしており、OMOソリューションを展開している。参加するメーカーは主にオフライン店を展開していない企業となる。近年は、デジタルマーケティングのコストが高騰しており、「1人のお客様のコストが1万円~1万5000円に上がっていますが、オフラインに出店してお客様を取る方が広告コストは安く済みます。実際、1万円かかっている広告コストが半分くらいのCV(コンバージョン)で取れている事例も出ており、2024年上旬までは網羅的なソリューションを展開できます」と花岡氏は話す。
さらに、OMS(オーダーマネジメントシステム)の領域もモール型のデータを取り込み、ECデータ上で出荷処理することもできており、年始から正式にリリース予定だ。
EC市場の動向として、D2Cの台頭により、オフライン主体だったブランドのD2C化が加速したと同時にモノづくりのインフラが整い、物販ビジネスへの障壁が下がったことで、顧客を保有しているさまざまな業種の企業などが物販ビジネスに参入している。例えば、オンライン主体のサービス業もYouTuber(ユーチューバー)やInstagramer(インスタグラマー)などもD2Cに参入し、一歩遅れてオフライン主体のサービス業者も参入していると思われる。花岡氏は「顧客を獲得するデジタルマーケティングのコストが高騰している中、他の業態で資産化できているところが物販につなげるのはハードルが低く再現性を持って参画してくれる領域になっており、物販D2Cに参入しています」と説明する。
13兆円から154兆円がスコープに
データ量に対して費用を請求
同社ではこれまでEC市場をスコープとしてビジネスを展開しており、13兆円をターゲットとしてきたが、新たに14億円を調達し、エクイティ性資金による累計資金調達額は約84億円となった。これまでは「ecforce」は“ECプラットフォーム”と表現してきたが、今後は“統合コマースプラットフォーム”を目指す。花岡氏は「“E”を引いた意図は明確にオフライン市場への進出を強く意思表示していく思いがあります。統合を足した意図として、統合だからできる顧客体験価値の重要性をソリューションとして強調して行く意思表示です」と述べる。今後は、オフライン主体の物販やサービス全般もターゲットとすることで、小売市場の全体の154兆円がスコープとなる。
「ECを最適化していく仕組みはあらゆるデータを集めて、統合管理して、それらデータを活用してビジネスを最適化していくことです。オフラインもデータの入り口として増えていく位置づけとなります」(花岡氏)。データを活用して、単発で売って終わりではなく、顧客との長期的な関係を築きLTV化していくことを目指す。同社ではビジネスの立ち上げからグロースまで、システムからオペレーションに至るまですべての機能を有している独自ポジションを確立しており、それが「競合との差別化ポイントになっています」と花岡氏は力を込める。例えば、協業企業は連携をベースにサービスを提供しているが、データ連携をメーカーが意識することなく事前連携したものを使えることが強みとなる。また、ツールをまたいだ連携は難しいというが、システム間の自動化も行えるのが特徴だという。
さらに、「ecforce」はオンライン、オフライン問わず、さまざまなチャネルのデータを統合管理し、そのデータ量に対して費用を請求するビジネスモデルであるため、自社ECサイトの流通に加え、モール型ECやオフライン店舗へのアクセスも可能だとした。
予約・顧客管理システム「ecforce check」提供
サービス業のビジネスモデル転換を支援
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