2023年12月15日9:05
STマイクロエレクトロニクス(ST)は、車内でのモバイル機器充電技術におけるプライバシーおよびセキュリティ保護を強化するセキュア・エレメント「STSAFE-V100-Qi」を発表した。また、車載用半導体メーカーであるindie Semiconductorと協力し、この新しいセキュア・エレントをindieの車載用Qiワイヤレス充電向けリファレンス設計に搭載するそうだ。
STSAFE-V100-Qiは、セキュア・エレメントによる保護が要求されているWireless Power Consortium(WPC)の最新規格に準拠した車載用充電器を実現するという。また、Qi準拠の充電器に適用可能な最も高いセキュリティ・レベルであるCommon Criteria(CC)EAL4+認証を取得済みだ。
STのセキュア・エレメント・ファミリは、金融、チケット発券、ID保護など、セキュリティが重要なアプリケーションにおいて情報および機器の機密性、完全性、真正性を保護しており、今回発表されたQiワイヤレス充電向けリファレンス設計では、車載アプリケーションの最適な充電機能と安全性の向上につなげるという。
STの工場でQi充電用にカスタマイズされたSTSAFE-V100-Qiは、セキュア・ブート、セキュア・ストレージ、およびセキュア・ソフトウェア・アップデートをサポートしている。これらの保護機能により、リモートによる改ざん・偽造・複製といったリスクに対する保護を強化できる。また、同ICはセキュアなソフトウェア更新機能を備えることで、自動車の寿命期間にわたって高レベルのセキュリティが確保さるという。
STSAFE-V100-Qiは、主要顧客向けに現在サンプル出荷中で、2023年第4四半期に量産が開始される予定だ。
STのセキュア・エレメントICおよびセキュア・プロセッサは、不正に変更することができないハードウェア・ベースのセキュリティを採用しているため、ソフトウェア・ベースのセキュリティと組み合わせて、または置き換えて使うこともできるという。これらのICおよびプロセッサには、電子鍵用のセキュア・ストレージ、暗号アルゴリズムのアクセラレータ、セキュアなソフトウェア・ブート、セキュア・ファームウェア・アップデート、物理攻撃に対する保護といったSTの専門技術が活用されている。
なお、STのセキュア・エレメントは、アプリケーション・コードへの不正アクセスを防止して顧客のIPを保護するとともに、エンド・ユーザが機器を充電する際の電気的な安全性の確保とデータ・プライバシーの保護を実現するという。また、同リファレンス設計には、STによる車載グレードのNFC(近距離無線通信)リーダIC「ST25R3920B」が搭載されており、Qi充電器のペアリングとNFCカード保護機能の処理を実行するそうだ。
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ペイメントナビ編集部
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