2024年1月11日8:00
【ネットスターズビジネスカンファレンス開催レポート3】
ネットスターズのキャッシュレス推進やDX(デジタルトランスフォーメーション)支援の取り組みを紹介した「ネットスターズビジネスカンファレンス」では、まさにキャッシュレスやデジタルの力を使ってビジネスを変革した成功事例も取り上げた。イオンモール内のシネマコンプレックス等を運営するイオンエンターテイメントでは、「StarPay-Order」導入によって映画館売店のDXを実現させた。また、ネットスターズのサービスをワールドワイドなものにしていく例として、日本の統一QRコード「JPQR」とのプロジェクトが語られた。
映画館のDX推進で、
スタッフ省人化と売上アップを短期間に実現
未導入劇場との比較で併売率の伸び率に6%の差
ネットスターズの事業戦略や業界の最新動向を紹介するネットスターズビジネスカンファレンスの「セッション4」では、イオンエンターテイメント経営戦略本部IT推進部部長の木村圭氏と、ネットスターズ執行役員兼事業統括本部ソリューション事業部事業部長の梅元建次朗氏が「StarPay-Order導入による店舗DX」をテーマに対談した。
梅元氏は「店舗経営の最大の課題は、人手が足りないことと、もっと売り上げを伸ばしたいという2点です。ネットスターズが、この2つの課題を一挙に解決する店舗DXツールとして提供しているのが、StarPay-Orderです」と紹介した。
StarPay-Orderは、セルフオーダーでレジの省人化を実現し、注文から会計、商品提供までの業務負担を大幅に軽減する。さまざまなキャッシュレスサービスの一括導入が可能で、オプションの現金精算機を用いれば、現金支払いにも対応可能だ。急増するインバウンド旅行客などに備えたメニューの多言語化にも対応する。
キオスクオーダーの場合、店頭のキオスク端末を使い、タッチパネルで商品やオプションなどを選択し、支払い手段を選択し会計して注文が完了する。モバイルオーダーの場合は、ユーザーのスマートフォンから注文が可能。店頭のQRコードを読み取って注文ページを開き、スマホ画面でキオスク端末と同様の注文・決済ができる。
イオンエンターテイメント運営のシネマコンプレックスでは、全国8つの劇場にStarPay-Orderを導入した。その狙いについて、イオンエンターテインメントの木村氏は「映画の上映の直前は、売店に長い行列ができます。その結果として、ポップコーンやドリンクを買うのを諦めるお客様も多く、お客さまをお待たせしない仕組みの導入は大きな課題でした」と話す。
イオンシネマ幕張新都心、市川妙典、となみの3劇場を皮切りに6月から約1カ月間のあいだにStarPay-Orderを立て続けに導入したが、社内で承認を取ったのは3月中旬だった。木村氏は「サービス開始までわずか3カ月弱しかありませんでしたが、ネットスターズに無茶をお願いして、何とか間に合わせることができました。これは、通常では考えられないすごいことです」と話した。
具体的な効果として、映画を見に来たお客様に対する売店立ち寄り率であるヒットレート(併売率)が、未導入劇場との比較で前年同月からの伸び率に6%の差が出た。「映画とのコラボ商品を発売することで客単価は揚げることはできますが、売店の立ち寄り率向上の課題には30年取り組んでもうまくいかなかったので、社内では驚きの声が上がりました」と話す。このほか、サービングタイム(商品提供時間)は40%削減、キャッシュレス比率は2割増の成果を上げたという。
梅元氏は「イオンエンターテイメントが店舗オペレーション改善い取り組む姿勢は素晴らしいと感じています。両社スタッフは課題が見つかるたびにコミュニケーションを重ね、プロダクトを改善しつづけ、DX効果を生み出しています」と説明した。一方の木村氏は「StarPay-Orderはこれまでは小売事業者の導入が多いと聞きますが、我々のような多店舗展開の企業が求める機能の充実も、今後一緒に取り組ませていただきたいと考えています。店舗スタッフを増やすことなく売店で待たずに買えるようにするというのは、映画館の常識を覆す取り組みです。今後も、このようなDXを加速させていきたいです」と意欲を示しました。
日本のJPQRと海外のQRコード決済を相互運用
ネットスターズは国際スイッチャーの役割を担う
「セッション5」では、「JPQR Globalの展望」をテーマに、一般社団法人キャッシュレス推進協議会事務局長常務理事の福田好郎氏が講演した。JPQRはキャッシュレス推進協議会により策定されたQRコード決済の統一規格で、複数社ある決済QRコードを1枚のQRコードに統一化している。JPQRのブランディングや利用動向調査、運用、セキュリティ、グローバル連携などの活動を通じ、コード決済の標準化と普及促進に向けた取り組みを展開している。
キャッシュレス推進協議会が見据えるJPQRの今後の展望について、福田氏は「QRコード決済は国内ではインフラやプレーヤーが整い、浸透してきています。今後は、2025年の大阪万博が開催されるタイミングをとらえて、グローバルにも活用が広げられることを目指しています」と話す。
福田氏によると、シンガポールやインドネシア、マレーシア、タイ、フィリピンといったASEAN諸国では、JPQRと同様に国際基準(EMVCo仕様)準拠の統一QRコードの導入が進んでいるため、相互運用の実現が比較的簡単にできるという。相互運用が可能になると日本の店舗にとっては容易にインバウンド対応ができる一方で、日本人が海外に出かけた際の決済も便利になるというメリットがある。
経済産業省では、日本のJPQRと東南アジアのQRコード決済の統一規格を、今後相互運用できるよう検討を進めているという。ファシリテーターのネットスターズ事業統括本部Global Business事業部事業部長の福山太郎氏によると、同社では相互運用の実現において、電文スイッチングや精算を行うシステムを構築・運用する国際スイッチャーの役割を担っているという。今後はアジア各国のさまざまなQRコード決済を束ねる役割が求められる。
イノベーションとグローバルがキーワードに
世界レベルの決済ネットワーク構築を目指す
5つのセッションが終了後、ネットスターズ代表取締役社長CEOの李剛氏が閉会の挨拶を行い、冒頭で李氏は「ネットスターズビジネスカンファレンスのキーワードは、イノベーションとグローバルです」と話した。イノベーションは、ネットスターズにとっては大事な意味をもつ。QRコード決済のゲートウェイを国内初導入するなど常に市場をリードできるサービスを投入し、イノベーションを成長の原動力にしているからだ。李氏は「BtoB決済、インバウンド向けビジネスとAIと組み合わせるなど、革新的なソリューションを日本に持ってきて、キャッシュレスやDXの普及に貢献していきたいです」と意気込みを語った。
もう一つのキーワードである「グローバル」については、多様性に富んだ人材を擁するネットスターズはグローバルを強みにしている会社であるという。これまでは、海外の技術を日本に導入させるインバウンド中心のビジネス展開を進めてきた。李氏は「これからは、日本から海外へというアウトバウンドにも本格的に力を入れていきます。日本で成功したゲートウェイ、システム、DXソリューションなどの仕組みを海外に出していくことが目標です。JPQRのように、国際間での接続を促進することで、新たな世界レベルの決済ネットワークを作ることを目指して頑張りたいです」と意欲を示した。
■お問合せ先
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お問い合わせ:https://www.netstars.co.jp/contact/