2024年1月23日8:00
クレジットカード決済(以下、クレジットカード)をはじめとした決済代行サービスを提供するゼウスは、2023年12月より、紙の請求書や専用アプリを使わずスマートフォンで支払いができる「あと払い決済サービス」(以下、あと払い)の一般提供を開始した。ゼウスの決済サービスはこれまでクレジットカードの利用が圧倒的に多かったが、あと払いも初期費用・月額費用無料、手数料~3.9%、請求処理料160円と導入ハードルを下げて提供することで、ユーザーの決済ニーズに対応しながら、中小加盟店のアナログで非効率な業務課題を解消していきたいとした。
「おちゃのこネット」を使う加盟店向けに先行提供
「初期費用・月額費用無料」で導入可能
ゼウスは全国1万4,000サイトを超える導入実績を誇り、特に中小加盟店向けの営業で強みを持つ。さまざまな決済サービスを提供しているが、後払いはこれまで他社を紹介する形で提供していた。ゼウスでは2023年5月からおちゃのこネットが運営するネットショップ構築サービス「おちゃのこネット」を使っている加盟店向けに、あと払いを先行提供していたが、12月から一般提供を開始した。「おちゃのこネットをお使いのショップ様のみですが、現在200社ほどでご利用いただいています」(カスタマーサクセス本部長 小笠原公一氏)。また、リリース後の反響も多く寄せられているそうだ。
ゼウスではクレジットカードでも固定費を抑えた価格設定を売りとしている。小笠原氏は「あと払いも初期費用・月額費用を無料にして、最安値水準の決済手数料まで落としました。クレジットカードとセットでご導入いただくことで、中小加盟店のEC運営につきまとうアナログで手間のかかる入金確認や入金消込といった煩雑な業務をゼロにすることを目指しています。現在はクレジットカードをご導入いただいている既存の加盟店様に営業していますが、期待通りの成果が現れています」と説明する。経営企画本部 経営企画部 次長 萩原亮子氏は「後払い料金は各社4プランくらいを出されていますが、当社は月次がかからず手数料3.9%と中小規模のECショップ向けに分かりやすい安価なプランで提供しています」と話す。
導入企業のあと払いの利用率は約2割
サービス分野への展開も視野に
あと払いは新規加盟店での導入に加え、料金プランやペーパーレスにメリットを感じ、他社からの切り替えも目立つ。導入企業をみると、クレジットカードの利用率が落ちることはなく、「クレジットカードを持たない、利用しない」層を取り込めている実感がある。現在、導入企業のあと払いの利用率は2割程だ。カスタマーサクセス本部 カスタマーサクセス部長 青山俊介氏は「これまで代引きを利用していた方が、好きなタイミングで支払えるあと払いを選択することが増えてきたというお声をいただくようになりました」と成果を述べる。購入者の決済上限は、標準5万円(税別)に設定しているが、高単価な加盟店については個別相談により上限金額の引き上げも可能だ。
現在は物販サイトでの利用に限っているが、今春を目途に機能を追加し、サービス分野への提供も行っていきたいとした。小笠原氏は「一般的な物販はそれほど不正リスクが高くありませんが、取引状況の監視により疑わしい取引の傾向などを分析し、審査ルールを常に細かくチューニングしていますので、それが精査されていけば他の領域に広げていけると感じています」と話す。萩原氏は「例えば水回りの修理や工事などのサービスは、急を要するため手持ちの現金がないお客様に後払いニーズは高いと思うので、手広く展開していきたいです。また、このような訪問型のサービスは地域に根付いた中小規模の事業者様が手掛けていることが多いので、当社の提供するサービス内容や料金プランがフィットすると考えています」と構想を述べる。ただ、サービス分野は物販に比べ決済単価が高くなるケースが多いためリスクが高く、取引情報の内容についても、より注意深く監視する必要があるとした。
かっこと協力してサービスを提供
後払い提供に必要な機能、コストが魅力に
ゼウスのあと払いは、不正検知システムを提供するかっこと協力してサービスを提供している。以前から後払いサービスの提供を検討していたが、与信システムなどBNPL(後払い)システムをゼロから構築するには大きな投資が必要なため躊躇していた。そんな中、後払い提供に必要な機能が包含されているSaaS型のBNPLシステムをかっこから提案された。同BNPLシステムは、リアルタイム与信が可能で、与信審査モデルも細かくチューニング可能だ。
ゼウスでは、不正検知システム「O-PLUX(オープラックス)」を加盟店に紹介するなどかっことは以前から連携しており、その精度は高く評価していた。通常、後払い決済システムの構築には膨大な時間とコストが必要だが、後払い提供に必要な機能が一通り揃っていて初期投資を抑えられる同社のシステムは魅力だったという。来期中には収益面もプラスになる見込みだ。
未回収率は?属性情報を多く取得できるメリットも
請求を「モバイル請求書」限定にした理由
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。