2024年3月25日9:00
POSファイナンスシリーズ4回目は、FinTechのスタートアップで、アメリカのPOSファイナンスのプラットフォームであるFinturfを紹介してみたい。POSファイナンスのプラットフォームとは、マーチャント(加盟店)と消費者を独立したサービスプロバイダーと提携し、貸し手のネットワークと結びつけることを専門とするPOSファイナンスのファイナンスサービステクノロジープロバイダーである。
和田文明
■連載:海外のPOSファイナンス
(1)“POSファイナンス”とは
(2)FinTech企業のPOSファイナンスのプロバイダーとPOSファイナンスのプラットフォーム
(3)POSファイナンスプロバイダーのPayPalクレジット(アメリカ)
Finturfは独立したサービスプロバイダーと提携
POSファイナンスのプラットフォームであるFinturf(創業:2015年、本社:カリフォルニア州グレンデール)は、マーチャントと消費者を独立したサービスプロバイダーと提携し、貸し手のネットワークと結びつけることを専門とするPOSファイナンスのファイナンスサービステクノロジープロバイダーである。
FinturfのPOSファイナンスのプラットフォームは、小売店、ホームセンター、ヘルスケアなど、さまざまな業種のマーチャントが利用することができ、ローン、リース、クレジットラインなど、さまざまな資金調達オプションを小売事業者などのマーチャントを介して顧客に対して提供し、マーチャント(加盟店)の POSシステムと統合させることができる。
FinturfはPOSファイナンスのプラットフォーム上で各種ファイナンスの申請プロセスをホストしているが、いわゆる“貸し手”ではなく、与信判断などは行わず、Finturfの役割は、消費者と貸し手の間のつながりを図るものである。このように、Finturf のPOSファイナンスのプラットフォームは、Finturfによるローンの提供を勧誘するものではなく、クレジット、ローンの条件設定や勧誘は、独立したパートナーである金融機関によって提供される。
購入コストを時間の経過とともに分散させたい顧客や、購入代金を全額支払うための現金が手元にない顧客にとって有益なオプションであるFinturfのPOSファイナンスにより、顧客は商品など購入時に購入資金を調達できるため、Finturfのマーチャント(加盟店)は売上と収益を増やすことができる。FinturfのPOSファイナンスのプラットフォームは、銀行など金融機関の貸し手のネットワークと提携して、顧客にさまざまな資金調達オプションを提供し、Finturfのプラットフォームにより、マーチャント(加盟店)は資金調達プログラムの申請と管理を容易に行うことができる。
小売事業者などのマーチャントはPOSファイナンスを上手く導入すれば、顧客の購買力を高め、売り上げを拡大し、顧客のロイヤルティ(ご愛顧)を得ることができる。小売事業者などのマーチャントにとって、効果的なPOSファイナンスの戦略の重要な側面は、複数の貸し手のソリューションを上手く活用し、多様なクレジットやファイナンスなどの資金調達オプションを顧客に提供することで、幅広い顧客ニーズに応えることができ、より多くの顧客により多くの買い物を促すことができる。
(表6)は、小売事業者などのマーチャントにとってのPOSファイナンスの利点を纏めたものである。FinturfのPOSファイナンスのプラットフォームは、顧客やクライアントであるリテイラー(加盟店)に資金調達の多様な選択肢を提供することで、より便利で安定した収益をもたらすことができるとしている。
(表6)小売事業者などのマーチャント(加盟店)にとってのPOSファイナンスの利点
売上と収益の増加 |
・POSファイナンスで資金調達オプションを顧客に提供することで、マーチャントは顧客が商品やサービスを購入しやすくし、売上と収益の増加につながる |
顧客満足度の向上 |
・POS ファイナンスを使用すると、顧客は販売時に購入資金を調達できるため、従来のローンを申請するよりも便利である |
注文額のアップ |
・POSファイナンスで資金調達オプションを提供することで、顧客が他の方法では購入できない可能性のあるプロダクツやサービスをより手頃な価格で購入できるようにし、マーチャントは、顧客により高価な商品の購入を促すことができ、1件当たりの平均注文額をアップすることができる |
コンバージョン率の向上 |
・POSファイナンスで資金調達オプションを提供することで、マーチャントは顧客が購入を完了しやすくなり、カート放棄を減らすことができ、コンバージョン率を向上させることができる |
各種資料より作成
Finturfのクライアントである小売事業者などのマーチャント(加盟店)は、クラウドベースのPOSファイナンスのプラットフォームを利用すると、マーチャント(加盟店)に適したカスタマイズされたPOSファイナンスをわずか数週間で立ち上げることができ、既存のソフトウェアと統合することも、エンド・ツー・エンドのローンの組成、および引受ソリューションとして展開することもできるとしている。また、FinturfのPOSファイナンスのプラットフォームに参加する銀行などの金融機関に対しては、加盟店のリスク評価とオンボーディング・ツールを提供し、金融機関がPOSファイナンスのマーケットでより効率的な運営をサポートできるとしている。
FinturfのPOSファイナンスのプラットフォームは、LaaS(Lending-as-a-Service)であり、包括的なクレジットのエコシステムで、Finturfはクレジットやローンの申し込みの開始から最終的な与信まで、POSファイナンスを小売事業者などのマーチャントに提供する銀行などの金融機関をサポートし、カバーすることができる。銀行などの金融機関にとって必要なのは、資本金とクレッジットやローンに関するライセンスだけである。 |
Finturfのチェックアウト時のマーチャントファイナンスオプション
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