分割や後払いに利用できる欧米の“POSファイナンス”とは?

2024年3月5日7:00

POSファイナンスとは(1)

FinTechの金融サービスで、商品の購入時に“分割払い”や“後払い”利用することができる欧米の“POS(Point of Sale)ファイナンス”について、次の5つのテーマに分けて紹介してみたい。今回はその1回目となる。

和田文明

1、“POSファイナンス”とは
2、FinTech企業のPOSファイナンスのプロバイダーとPOSファイナンスのプラットフォーム
3、POSファイナンスプロバイダーのPayPalクレッジット
4、Finturf(アメリカ)のPOSファイナンスのプラットフォーム(1)
5、Finturf(アメリカ)のPOSファイナンスのプラットフォーム(2)

POSファイナンスの概要

本連載のテーマである“POS (Point of Sale)ファイナンス”とは、リテールファイナンスとかインストアクレジット、チェックアウトファイナンス、店舗分割払いクレジット、マーチャントファイナンス、BNPL(Buy Now Pay Later、後払い)とも呼ばれ、商品の購入時に“分割払い”や“後払い”利用することができるFinTechを活用した金融サービスである。“POSファイナンス”シリーズの第1回目は、いわゆる『“POSファイナンス”とは』について、BNPLとの違いなどを交えて紹介してみたい。

FinTechによる迅速な与信判定をオン・オフで可能にする今日のPOSファイナンスは、リボルビング払いが可能なクレジットカードや個人ローンの代替として開発されたもので、マーチャント(加盟店)とその顧客に利便性や柔軟性、費用対効果をもたらすことができるソリューションともいえる。

今日のPOSファイナンスは、顧客はリテイラー(小売事業者、加盟店)に商品の販売のチェックアウト時に、当該商品の購入代金相当の“ファイナンス”(金融)を申込み、その場で迅速な与信の可否判定を行い、与信が認められた場合、後払いや分割払いで返済ができる。一般に、POSファイナンスは、POSファイナンスのプラットフォームを介して、銀行や信用組合、クレジットプロバイダーなどサードパーティの貸し手によって、リテイラー(小売事業者、加盟店)に代わって、消費者に提供される信用販売の仕組みである。

こうした“POSファイナンス”はリテイラー(小売事業者、加盟店)でのチェックアウトに際し、ペイメントオプションとして組み込まれており、“エンベディドファイナンス”(Embedded Finance、組込型金融)サービスの原型ともいわれるものである。今日のPOSファイナンスは、FinTechのテクノロジーを駆使し、顧客が商品やサービスの代金を分割払い、ないし後払いで支払うことを可能にし、購入時に直接提供される新しいファイナンスやクレジットサービスを指す。日本で、主に信販会社などが1960年代から提供してきた“個品割賦購入あっせん”や与信枠を付与した“総合割賦購入あっせん”に近いファイナンスソリューションである。

こうした“POSファイナンス”は、アメリカやヨーロッパでは1800年代に登場したともいわれ、家具などの高額商品を販売するためにリテイラー(小売事業者、加盟店)が金融機関とタイアップして導入してきたものである。近年、AI(人工知能)の機械学習などのITテクノロジーを利用して顧客の信用情報を評価し、スピーディーな与信判定がなされるようになった。“POSファイナンス”は、E-コマースの台頭により、POSファイナンスをE-コマースに組込むことができるようになり、BNPLなどの後払いシステムとしてのE-ペイメントとして利用が拡大している。

後払いの“POSファイナンス”は、アメリカやイギリス、オーストラリアなどクレジットカードが普及している国では、クレジットカードを持てない人を対象にしたり、高額な商品の購入などでクレジットカードのリボ払いとは別に管理したいニーズに対応している。一方、キャッシュレスが広く普及しているにもかかわらずデビットカードがメインとなっているスウェーデンやデンマークなど北欧諸国やオランダやベルギーなどベネルクス3カ国、それにドイツ、イタリアなどクレジットカードあまり普及していないヨーロッパでは、リボルビングなどの金融機能が付帯されたクレジットカードを持っていない人が多く、商品の購入時におけるファイナンス機能をもっぱら“POSファイナンス”に委ねている。

クレジットカードが広く普及しているものの、その多くは翌月一括払いのチャージ払いで、リボルビングによるクレジットカードの金融機能があまり使われていない特殊なマーケットである日本の場合も、後払いのファイナンス機能を提供する“POSファイナンス”の一定のニーズが見込まれる。

POSファイナンスとBNPL

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