ラクスルが共通IDを活用した金融やマーケティングプラットフォーム事業を展開へ

2024年9月18日8:10

住信SBIネット銀行と金融サービス提供に向けた協議を開始

ラスクルは、印刷・集客支援のラクスル、物流のハコベル、広告のノバセル、コーポレートITのジョーシスなどの事業を展開している。同社では、2024年9月12日、金融事業プラットフォームを立ち上げる予定であると発表した。住信SBIネット銀行のBaaSプラットフォーム「NEOBANK」を活用し、事業者向け金融サービスの実現に向けた検討を開始した。9月12日に開催した「2024年7月期 決算説明会」で、グループCEO 永見世央氏が今後の方向性を発表したが、End-to-Endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォームを目指すという。

池谷貴

ラクスル グループCEO 永見世央氏

270万の中小企業の顧客基盤が強み
蓄積可能なデータ群を活用へ

ラクスルの2024年7月期 通期及び 第4四半期の実績として、売上高が前年同期比+24.6%、売上総利益が同+39.8%、EBITDA(non-GAAP) が45.4億円となった。第4四半期では、売上高が前年同期比+24.5%、売上総利益が同+43.8%、EBITDA9.9億円となっている。昨年度は永見氏がCEOとなった初年度だったが、業績は非常に好調だったという。2025年7月期は、Quality Growthを継続し、売上総利益の20%超の持続的成長とEBITDAの拡大を目指す。

ラクスルでは、2022年より利益とキャッシュフローを伴った成長モードであるQuality Growthを継続している。オーガニックの事業成長は順調に推移するとともに、近接領域において計6件(51億円)の連続的なM&Aを実行するなど、方針を強化した。2027年7月期の中期財務ポリシーは実現ができるとその蓋然性とともに考えている。ただ、その先の長期成長を実現し、社会に貢献するプラットフォーマーとしてのプレゼンスを高めていくためには既存のアセットをベースとした次の事業展開を準備するタイミングだとした。2025年7月期はこれまでのポリシーは継続しつつ、長期方向性に基づいた事業開発が重要だとした。

永見氏は、ラクスルの強みとして、大きく2つを挙げた。1つは270万ユーザー以上のラスクルをはじめとした中小企業の顧客基盤だ。国内全体では中小企業が企業数の9割超を占めるなか、同社もその顧客基盤が9割超だ。また、売上の70%超が中小企業からの受注となる。一方で、中小企業全体に占めるラクスルのユーザーは2~3%に限られており、その顧客基盤は拡大の余地が残されている。

また、中小企業の顧客からは、調達/購買以外でも多様なサービスの提供を期待されている。例えば、人材育成、マーケティング、財務・決済などのさまざまな経営課題がある。マーケティングでは、集客、顧客管理、問い合わせ対応などもDX化していきたいというニーズが強くなっている。また、財務・決済では、決済手数料や請求・支払いを効率化していきたいという要望がある。さらに、業務の効率化に加え、データ活用では、勤怠管理、従業員情報の管理の課題があるとした。ラクスルは印刷やその周辺のカスタマイズ、eコマース領域で顧客の接点があるが、同社の顧客基盤を生かし、さまざまな課題を解決していきたいとした。

もう1つの強みは、蓄積可能なデータ群が多くあることだ。印刷、チラシ、名刺、ウェブサイトの「ペライチ」などをデータ蓄積のfeederと位置付けると、従業員台帳、顧客台帳、 購買データを蓄積する立ち位置にあるそうだ。

End-to-endで中小企業の経営課題を解決へ
顧客台帳を日本で一番おさえるプレイヤーに

それらを通し、同社が今後打ち出していきたい方向性として、「End-to-endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォーム」だと永見氏は話す。これまで同様、BtoBのEC(トランザクション事業)を提供し、GMV(取引高)を拡大していくが、それに加え、ソフトウェア事業とファイナンスの事業を共通ID(RAKSUL ID)によって提供する。トランザクション事業は、業界・ニーズにおける ”受発注プラット フォーム” として位置付ける。永見氏は「法人、および法人IDをラクスルIDとして蓄積し、ワンストップで提供していきます」と意気込みを見せる。

具体的に、トランザクションは、印刷やノベルティといったカスタマイズ品、ノンカスタマイズ品(物販)の展開を始めており、グループ全体のGMVを最大化していく。印刷ECから始まったラクスルだが、 その後印刷以外のカスタマイズEC領域 に拡張し、直近ではノンカスタマイズ (物販)の領域展開を開始しており、 継続的にTAMを拡大させている。

ソフトウェアでは、ペライチなどで先行する顧客接点に加え、「マーケティングのプラットフォームを改めてしっかり作っていくことによって、お客様のその先にある顧客台帳を日本で一番おさえていくようなプレーヤーになっていきたいと考えています」と永見氏は話す。そして、One プラットフォームを活用し、マーケティングソリューションを提供することを視野に入れる。

「モノ・ヒト・カネをしっかり押さえていく。その際に大切なのは共通ID。M&Aもその下地で提供していきます」(永見氏)

NEOBANKに加え、与信を活用したモデルも視野に
CRMでは集客支援を包括的に提供へ

ファイナンスでは、サプライヤーに対し、中小企業、個人事業主向け金融サービスの提供を準備している。その第一弾として、住信SBIネット銀行と中小企業・サプ ライヤー向けの金融サービスの提供に向けて協議を開始した。

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