パスワードレスの認証方式「パスキー」の導入進む。フィッシング詐欺被害防止の救世主に?(FIDOアライアンス)

2024年12月17日8:30

FIDOアライアンスが規格化した、パスワードレスの認証技術、パスキーの導入が進んでいる。FIDOアライアンスでは記者説明会を開催して、現状と今後の展望を示した。日本国内の導入企業においても、「パスキーログインを必須化した結果、不正ログインがゼロに」「ECで2年以上にわたり不正被害による身に覚えのない購入の申告がゼロ」といった喜ばしい成果が上がっているという。パスキーは、増加し続ける不正利用被害防止の救世主となり得るのだろうか。

左から、市原 尚久氏(FIDOアライアンス ボードメンバー/FIDO Japan WG 副座⾧/株式会社メルカリ 執行役員 Group CISO)、伊藤 雄哉氏(FIDOアライアンス ボードメンバー/FIDO Japan WG 副座⾧/LINE ヤフー株式会社 LY 会員サービス統括本部 ID 本部 本部⾧)、森山 光一氏(FIDOアライアンス 執行評議会 ボードメンバー/FIDO Japan WG 座⾧/株式会社 NTT ドコモ チーフセキュリティアーキテクト)、アンドリュー・シキア氏(FIDOアライアンス エグゼクティブディレクター 兼 CEO)、クリストファー・ハレル氏(FIDOアライアンス 執行評議会 ボードメンバー/Yubico Chief Technology Officer)、ジューン・リー氏(FIDOアライアンス シニア・ディレクター)、土屋 敦裕氏(FIDOアライアンス APAC マーケット開発シニアマネージャー)。恒例の指紋認証ポーズで

堅牢なセキュリティと利便性を両立
全世界150億のアカウントで利用が可能に

FIDO(ファイド:Fast Identity Online)アライアンスは、パスワードへの依存度を軽減するという使命を掲げて2012年に設立された、グローバルでオープンな非営利団体。その目的達成に向けてパスワードレスの認証技術を開発し、2022年からその呼称を「パスキー」に変えて普及を推進している。

記者説明会に登壇したアンドリュー・シキア氏(FIDOアライアンス エグゼクティブディレクター 兼 CEO)

FIDOアライアンスの全世界300以上のボードメンバーには、Apple、Google、マイクロソフト、サムソンといった主要なプラットフォームプロバイダや、デバイスメーカー、生体認証の専門家などが名を連ねる。

パスキーは、公開鍵暗号方式を活用したオンライン認証技術だ。利用者はサービス提供者側に公開鍵を登録し、デバイスに指紋や顔など本人しか所持し得ない秘密鍵を保存する。ログイン時、サービス提供者は公開鍵を用いて利用者本人であることを確認し、利用者はデバイスに保存された秘密鍵を使って認証を行う。パスワードを用いずに認証を行えるため、堅牢なセキュリティと利便性を同時に実現できる仕組みだ。

パスキーの呼称を使い始めた同時期に、FIDOアライアンスでは、従来型のデバイス固定パスキーに加えて、鍵をクラウド上で同期させて複数デバイス間で利用可能にする同期パスキーの提供も開始している。

パスキーは、あらゆる最新のコンピューティングデバイス、OS、ブラウザなどで利用されている。この2年間で、世界中のコンシューマーの57%がパスキーを認知するようになり、日本国内では62%のコンシューマーが認知。現在では、グローバルで、150億のアカウントがパスキーにサインインできる状況にある。

Amazon、Googleなどが先行して採用
国内においても成功事例の報告が続く

現在、EC、通信、旅行、BtoBサービスなどさまざまな分野のサービス事業者がパスキーをサポートしている。

例えばAmazonでは2023年10月からパスキー対応を開始し、日本を含む1億7,500万の全Amazonアカウントがパスキーに登録済み。Googleでは8億のアカウントがパスキーを使用しており、過去2年間で25億以上のパスキーによるサインインが行われた。ソニー・インタラクティブエンターテインメントは、グローバルのPlayStationのユーザーに対しオプションとしてパスキーを提示し、88%のユーザーが登録を完了した。

FIDO Japan WGの活動実績を報告する森山 光一氏(FIDOアライアンス 執行評議会 ボードメンバー/FIDO Japan WG 座⾧/株式会社 NTT ドコモ チーフセキュリティアーキテクト)

日本国内におけるFIDO認証導入企業は、公表できる範囲だけでもここ1年で14社から28社へと倍増している。

国内の先行事例として、KDDIでは、au IDでFIDO認証を利用しているユーザーが1,300万人に上り、その結果、カスタマーサポートセンターへの問い合わせ件数が35%に減少。LINEヤフーでは、Yahoo!JAPAN IDでパスキーを利用しているアクティブユーザーが2,700万人を数え、スマートフォンでは約半数の認証がパスキーによるものだ。

メルカリでは、パスキーを登録したユーザーは700万人。同社では同期パスキーを登録しているユーザーにはパスキーでのログインを必須化しており、これらのユーザー、およびメルコインを利用しているユーザーにおいては、2023年3月9日以降、不正ログインが観測されていない。

NTTドコモではパスキーの登録促進に努めており、現在ではパスキーによるdアカウント認証が半数を占めるまでになっている。これに伴い、docomo Online Shopでは、2022年9月23日以来2年以上にわたって、不正による身に覚えのない購入は報告されていない。

また日経IDでは、2025年2月以降、日本経済新聞電子版をはじめ、日経グループが提供するさまざまなサービスのログインにパスキーを導入すると発表している。

コンシューマー向けサービスのみならず、社内システムにパスキーを採用する企業も増加しており、FIDOアライアンスでは今後この分野にも一層力を入れていきたいとしている。

導入を支援するコンテンツをWebで提供
決済でも導入進む?日本政府も導入を推奨

このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。

すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。

関連記事

ペイメントニュース最新情報

ポータブル決済端末、オールインワン決済端末、スマート決済端末、新しい決済端末3製品をリリースしました(飛天ジャパン)

国内最大級のクレジットカード情報データベース(アイティーナビ)

「お金の流れを、もっと円(まる)く」決済ゲートウェイ事業のパイオニアとして、強固なシステムでキャッシュレス決済を次のステップへと推進します。(ネットスターズ)

国内最大級の導入実績を誇る決済代行事業者(GMOペイメントゲートウェイ)

決済シーンにdelight(ワクワク感)を!PCI P2PE 認定国内実績 No.1の「確かな信頼」を提供します(ルミーズ)
電子マネー、クレジット、QR・バーコード、共通ポイントなど、多数のキャッシュレス決済サービスをワンストップで提供(トランザクション・メディア・ネットワークス)
決済領域を起点に多様なビジネスニーズに応える各種ソリューションを提供(インフキュリオン)
ReD ShieldやSift等の不正検知サービスを提供し、お客様の不正対策を支援(スクデット)
BtoCもBtoBも。クレジットカード決済を導入するならSBIグループのゼウスへ。豊富な実績と高セキュリティなシステムで貴社をサポートいたします。(ゼウス)
TOPPANの決済ソリューションをご紹介(TOPPANデジタル)
多様な業界のニーズに対応した、さまざまなキャッシュレス・決済関連サービスを提供する総合決済プロバイダー(DGフィナンシャルテクノロジー)
決済業務の完全自動化を実現する「Appian」とクレジット基幹プラットフォームを合わせてご紹介!(エクサ)
チャージバック保証、不正検知・認証システムなどクレジットカード不正対策ソリューションを提供(アクル)

非対面業界唯一!!カード会社とダイレクト接続により、安心・安全・スピーディーで質の高い決済インフラサービスを提供。Eコマースの健全な発展に貢献する決済代行事業者(ソニーペイメントサービス)

stera terminalでお店のポイントがつけられる「VALUE GATE」(トリニティ)

Spayd スマートフォン、タブレットがクレジット決済端末に!(ネットムーブ)

DNPキャッシュレス 決済プラットフォームをご紹介(大日本印刷)

PAGE TOP