2025年3月11日8:30
エイチ・アイ・エス(HIS)は、オリエントコーポレーション(オリコ)との提携カードである「Skywalker Card」(スカイウォーカーカード)をリブランドし、「TAViCA」(タビカ)としてカードデザインを一新した。新しい優待サービスを追加するなど旅カードとしての魅力を高め、カード会員の拡大を目指す。

HIS支払いでポイント5倍付与
人気の特典は継続
HIS初のハウスカードは1996年に開始していたが、翌1997年、新たにオリコと提携し、「Skywalker Card」が誕生した。後発の旅カードとして優位性を出すために、クレジットを発行したタイミングに合わせてHIS商品券の発行を開始し、HISで支払った場合にポイントが5倍貯まり、貯まったポイントはHIS商品券に交換できるサービスを提供した。
HISカード事業グループのサブチームリーダー 簗島一晃氏は「会員数はピーク時で15万弱まで拡大しましたが、そのタイミングでコロナ禍になり、海外旅行は行きたくても行けない状態になりました。お客様にとって『Skywalker Card』は『海外旅行に行くためのカード』という認識が強く、また、コロナ禍も数年続いたことから、会員数は3分の2にまで減ってしまいました」と振り返る。
コロナ禍での海外旅行需要の激減から、コロナ後にようやく回復基調となる中で、今一度ハウスカードの会員獲得を強化しようという動きが出たという。簗島氏は「HISの中期経営計画の中で、お客様に生涯にわたってHISのサービスをご利用いただく関係性づくりを大事にすることを掲げており、グループ会社を含めて、ハウスカードが重要なファクターになるとの結論になり、リブランディングすることを決めました」と話す。
簗島氏は、「『Skywalker Card』は、HISで支払った場合にポイントが5倍貯まり、貯まったポイントはHIS商品券に交換できる特典が最大の売りでしたが、それ以外の特典については、他社との優位性が図れていませんでした。コロナ禍により、店舗スタッフもカードをお勧めする機会が数年間なくなり、ハウスカードに対する意識が低くなってしまったという課題もありました」と話す。
こうしたことから、ネーミングだけでなく、特典についても、旅行会社が出すハウスカードとして、旅好きの人に、旅での支払いだけでなく日常使いでも魅力を感じてもらえる新しい特典を実装した。また、「Skywalker Card」の強みだったHISで支払った場合にポイントが5倍貯まり、貯まったポイントはHIS商品券に交換できる特典などは継続している。
リブランディングに向けた新たな特典について、社内で時間をかけて議論したという。簗島氏は「コロナ禍を経て、海外旅行のハードルが上がってしまい、金銭的な面でもそうですが、現地で病気になった場合、トラブルがあった場合に不安を感じるシニア層や小さい子供がいるファミリー層に対し、持っていると安全・安心を感じてもらえるクレジットカードを目指そうと考えた」と言い、「旅行中の安全・安心」をリブランディングのテーマに掲げた。
旅行中の安全・安心をテーマにした追加の優待サービスの「海外旅行先での日本語リモート診療サービス」は、海外旅行中に病気や体調不良になった時、日本人専門医が日本語で24時間リモート診療に対応するサービスだ。「フライト遅延時の空港ラウンジ利用」は、搭乗予定フライトが90分以上の遅延となった場合、世界1,600カ所以上の空港ラウンジを、会員と同行者の合計2名が無料で利用できるサービスで、2025年早春のサービス開始を目指している。対象のラウンジは、世界145カ国、600以上の都市の空港ラウンジと空港サービス。
このほか、「HIS海外52拠点による旅ナカサポート」は、HIS海外52拠点が海外旅行時の困りごとをサポートする。これまでも、相談を受けた旅行者に対しては、海外拠点でのサポートを提供してきたが、告知はしておらず利用者は少なかったのだが、今回、カードの特典としてアピールを強化する。
そして、「ENEOS利用時のポイントが3倍」の特典は、ドライブ旅行や日常のマイカー利用などの身近な暮らしの中でも、メリットを感じてもらおうと企画した。全国のENEOS店舗での給油ポイントが3倍貯まる(一部対象外店舗あり、タッチ決済利用はポイント3倍の対象外)仕組みだ。簗島氏は「脱会者数を減らし、多くの会員に継続して利用していただくための効果も期待しています」と話す。
テーマは「日本一の旅カード」
第二、第三の矢も検討中
既存の「Skywalker Card」にも、「TAViCA」と同じ特典を実装しており、有効期限が満了したタイミングで、「TAViCA」への切り替えを行っている。現時点では、まずプロパーカードを中心にカード会員の獲得を目指す。簗島氏は「第二、第三段階以降のサービス強化のタイミングで、ゴールド会員向けの特典の充実や施策を考えていきたいです」と話す。
2028年の会員数の目標は、現在の6倍にあたる60万人を掲げている。目指しているのは「日本一の旅カード」だ。旅行する人にとって必須のカードであると同時に、HISを利用する人はもちろん、HISを利用していない人にとっても、決済するとお得な優待が受けられるメリットを訴求する方針だ。
「決済・金融・流通サービスの強化書2025」より