2025年3月24日8:30
インフィニオンは、セキュリティ領域において、従来のスマートカードのみならず、新しいユースケースのアプリケーションにも数多くのソリューションを提供しています。その1つであるSECORA™ Pay ファミリーの生体認証決済カード向けソリューション、SECORA™ Pay Bioは、最先端のオールインワン製品であり、現在の生体認証決済カードの複雑なカード生産と発行を簡素化する革新的な製品です。その詳細を紹介します。(2025年2月27日開催「ペイメント・セキュリティフォーラム2025」より)
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社 コンシューマー コンピューティング & コミュニケーション(C3)事業本部 マーケティング部 髙野 和夫氏
独・シーメンスから分社化して1999年に誕生
日本法人は全世界の約10%の売上を担う
生体認証決済カード向けソリューション、SECORA™ Pay Bioのご紹介をする前に、簡単に弊社のご紹介をさせていただきます。
インフィニオンは、半導体のICチップを提供している会社です。その中で、脱炭素化とデジタル化の推進に積極的に取り組んでいます。ICチップは直接目にする機会が少なく、皆様には馴染みが薄いかもしれません。しかし弊社の製品はいろいろなところで使われておりまして、市場でのポジションは、車載関連向けのICチップでは1位、電力などパワーの分野でも1位、マイクロコントローラーでは2位と、グローバル市場で非常に高いシェアを獲得しております。現在の成長分野は、エネルギー、モビリティ、IoTなど。2024年9月期の売上高は、約15ビリオンユーロ、日本円に換算して2兆4,000億円相当となります。
売上高の構成は、車載関連のオートモーティブで56%、パワーの分野で34 %、残りの10%がセキュリティや無線通信を含むコネクテッドセキュアシステムズによるものとなっています。会社の規模といたしましては、従業員が全世界で5万8,000人、日本においては約700人で、本社は東京・渋谷、大阪と名古屋に営業所を置き、仙台に事業所があって、日本国内では4拠点で営業活動を行っています。
インフィニオンのICチップ市場でのポジションについてご説明いたします。すべて金額ベースになりますが、車載用半導体、パワー半導体では首位、マイクロコントローラーのサプライヤーとしては2位のシェアを占めています。セキュリティICでは1位、MEMSマイクロフォンでは個数ベースのシェアで1位、NORフラッシュメモリでは金額ベースで2位。認知は低いのかもしれませんけれども、各分野で高いシェアを誇っている会社でございます。
インフィニオンはもともと、ドイツのシーメンスという会社の半導体部門を、1999年に分社化して発足いたしました。現在はドイツ周辺のヨーロッパ、中東、中国、アジアなど世界中で事業を展開しています。全世界で15ビリオンユーロ、円換算で約2兆4,000億円の売上高のうち、日本ではその約10%を売り上げております。製造拠点ももともとはヨーロッパに集中していましたが、現在では協力会社を含め、全世界に広がっております。
指紋センサー搭載により進化するクレカ
安全性が増すも製造上の課題も
これよりインフィニオンの生体認証決済カード向けソリューションSECORA™ Pay Bioについてご説明させていただきます。本資料はTRUSTECH 2024で使用したスライドを日本語に翻訳したものです。
生体認証のお話に入る前に、非接触のICカードの歴史と最近の傾向・動向について紹介させていただきたいと思います。2004年にEMVの非接触チップ搭載のカードの導入が始まりました。その後2020年くらいに、コロナのパンデミックによりタッチ決済が大きく普及いたしました。店舗においてもタッチ決済対応の端末の導入が加速いたしました。非接触のタッチ決済は、今後ますます増えていくと予測されています。今日は専ら利便性の向上に注目が集まっていますが、今後は安全性、セキュリティ面はどうなのかというところが課題事項になってくるものと思われます。この安全・安心というところで、生体認証による決済カードが貢献できるのではないかと考えている次第です。
生体認証カードを成功させるためには、いつくかの重要な要素があります。ICカード、クレジットカードの構造として、プラスチックの板に金属片が付いたようなものを皆様はお財布の中に2~3枚お持ちなのではないかと思います。これにさらに指紋センサーを付けるとなると、部品点数が増えます。カードの製造上、複雑性が増します。そのことによりコストも上がります。そう考えるとやはり、シンプルな実装が重要であると考えます。
搭載する部品が増える、接続する場所が増えるということで、品質面の課題も解決していかなければなりません。シンプルな実装、高品質ということに関しては、ソリューション提供者やカードメーカーが克服すべき課題であると思います。最後に残る課題として、エンロールメント・ソリューションがあります。指紋登録をどのように、いかに簡単に行うかということです。
ユーザビリティとセキュリティを両立し
最優先で使われるカードとなることを目指す
発行者、銀行、フィンテックがなぜ生体認証カードを提供するのかについて考えていきます。カードの発行者から考えた場合には、4つのポイントがあると思います。まず、クレジットカードは、重要で物理的な支払いのタッチポイントであるということです。最近はオンラインショッピングの利用が増えているとはいえ、今でも実店舗での決済は必要です。店頭でのタッチ決済も増えています。ユーザーと店舗との支払いのタッチポイントとしてのクレジットカードを、より進化させようということです。
2つ目に、さらなる安全性と利便性の提供です。安心、安全、確実にという点が、引き続き求められています。3つ目に、モバイル決済に慣れ親しんでいるカード保有者の、革新的でパーソナライズされた決済体験に対する需要に応えること。スマホ決済の普及が進み、すべてをスマホに統合していくという流れもある中で、しかしやはりクレジットカードの利用はいまだ堅調です。そのクレジットカートに指紋センサーを搭載すれば、ユーザーにプレミアム感を持っていただけるのではないかと思います。
4つ目が、真の付加価値を提供し、カード所有者のフロントオブウォレットとなる機会を提供すること。フロントオブウォレットというのは、財布のいちばん前に入っていて、最優先で使用されるカードのことを指します。指紋センサーを付けることで、フロントオブウォレットのポジションを獲得できれば、カード発行者にとっては決済金額、決済回数の増加が期待できます。
生体認証カードは、決済のセキュリティをより強固にします。そのことによって、カード所有者のプレミアム感が増し、ブランド価値の向上が見込めます。また、カード所有者がもともと信頼している生体認証技術を使用することによって、選ばれやすい決済方法になることが期待されます。これは何かといいますと、スマホの指紋認証機能などが広がったことによって、指紋認証はユーザーにとって日常的で信頼できる認証方法になっています。決済の場面でも同じ認証方法が使えるということが、ユーザーに安心感をもたらすのです。
生体認証カードでは、カード上の単一モジュールでユーザーの指紋との照合を行います。登録した自身の指紋情報をサーバなどに格納するのではなく、ICカードの中に格納するという点で、データ流出の危険がなく、非常に安心安全な仕組みだということができます。
■問い合わせ先
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