インフィニオン、生体認証決済カード向けソリューション「SECORA™ Pay Bio」が開く未来とはーー?(下)

2025年3月25日8:30

 

非接触端子と指紋センサーを合体することで
生まれるさまざまなメリット

今までお話ししたことは、指紋認証機能を搭載したカード全般についての特徴ですが、ここからはSECORA™ Pay Bio固有の特徴についてお話しさせていただきます。

従来の生体認証カードは、接触端子といわれる金色や銀色の端子が付いており、離れた場所に黒色の指紋センサーが搭載されていることが多かったと思います。プラスチックカードの中には、電気的な信号を運ぶ配線が張り巡らされています。

一方、SECORA™ Pay Bioでは、発想は至ってシンプルなのですが、非接触端末と指紋センサーを1つの部品に収納しています。こうすることで、部品点数を少なくし、なおかつ接続箇所が減ることで配線もシンプルになり、製造上、カード製造歩留まりを上げることができます。2つ別々に合ったものを1つに統合することで、モノづくりが簡単になりました。

接触端子と指紋センサーを1つにまとめたことで、券面印刷の自由度も広がりました。2つの部品が別々のところにあると、その2カ所を避けて券面デザインを考えなければなりません。これが1カ所になったことで、券面を最大限に活用して、写真やキャラクターをレイアウトすることができるようになりました。その結果、顧客を惹きつけ、ロイヤリティを向上させて、ほかのカードとの差別化を図ることが可能になります。2つあった部品を1つに統合することで、製造、見栄え、券面利用の柔軟度などさまざまなメリットが生まれるのです。

簡単・安価な登録・利用を実現するため
指紋登録のハードルを下げるツールを提供

生体認証カードの普及に何が必要なのかについて説明させていただきます。ひとつは、いかに指紋登録を簡単にするかということが重要なポイントだと思われます。また、タッチ決済の普及が進む中、指紋認証がタッチ決済と何が違うのかについて、的確な情報発信をしていくことが必要です。そして、指紋を使用して非接触決済を迅速かつ便利に認証できるようにすることが重要です。これに時間がかかってしまうと、タッチ決済と比較して利便性が大きく劣るということになってしまいます。また、カードを紛失した際に、ほかの人が使用することの障壁となることをアピールすることが重要でしょう。指紋はパスワードなどと違って、盗むことができません。指紋センサーが付いているということで、意識的にも不正行為抑止効果を上げられるものと考えています。

では実際にどのようにして指紋登録を行うかということですが、これはできるだけ簡単に、安価に行える必要があります。従来は専用のスリーブといわれる装置を使って、指紋登録を行う方法が一般的でした。スリーブは1回の指紋登録に使用する使い捨てのツールです。これをユーザーに届けるための郵送費も、事業者にとっての大きな負担になっていました。

SECORA™ Pay Bioでは指紋登録を、ユーザーのスマホとNFC通信を使って行うことができます。スマホによる登録の課題として、スマホにカードをかざすときの位置ずれの問題などがあります。これを補うために弊社では、ベストポジションを容易に探せる、アンテナを組み込んだ指紋登録シートを用意しています。小型でシンプルな構造で、追加の郵便料金もかからないように配慮しました。また、これはMastercardに限ったお話にはなりますが、店頭でタッチ決済を10~12回行うと、指紋が自動的にカードに登録される機能を実装しております。

日本クレジットカード協会の発表によりますと、暗証番号の入力をスキップして署名で決済認証を行ういわゆるPINバイパスが、2025年3月末をもって原則廃止となります。すなわち、ユーザーはPINを覚えていなくてはならないというのが、ゴールデンルールとなります。とはいえ決済の場面でPINを思い出せないということも考えられますので、そういったときにも、指紋による認証は非常に有効な手段になってくると思います。

あらかじめ国際ブランドの認定を取得
最短2週間での導入が可能

カードメーカーが生体認証決済カードを提供することは難しいのでしょうか。それに対する弊社の回答は「いいえ」です。接触端子と指紋センサーが分かれていた従来の構造では、内部の配線も複雑でしたが、弊社のSECORA™ Pay Bio生体認証カードの構造はシンプルです。カードメーカーの技術的課題はほぼないだろうと思っています。

SECORA™ Pay Bioはシンプルで拡張性があり、手ごろな価格帯で製造が可能です。堅牢で高品質なカードを迅速に、スケーラブルに生産することが可能です。決済カードにはブランドの認定が必要です。インフィニオンのICチップには、国際ブランドの認定を取得した決済機能があらかじめ搭載されています。そのため、カードメーカーは、最短2週間で書類審査による承認取得が可能です。期間が短縮する分、コストも少なく抑えることができます。個人情報を書き込むためのリファレンスパーソナライズスクリプトも用意しておりますので、本格稼働にあたっての発行労力を軽減していただくことができます。

生体認証決済カードを採用するメリットは多々あります。1つには、指紋認証をはじめとする生体認証技術が広く信頼されている技術であるということ。それから、カスタマイズが可能なこと。券面にブランドのロゴを入れるとか、所有者の名前や写真を印刷することも可能です。また、やはり、指紋登録を簡単、安全、安価にできることは非常に重要だと考えておりまして、弊社が提供しております指紋登録シートを使っていただくことで、ユーザーにご自宅で指紋登録を行っていただけることがSECORA™ Pay Bio導入の大きなメリットではないかと考えております。

支払いは始まりに過ぎません。決済カードの生体認証は、関連する多くのデジタル体験をサポートすることができます。たとえばCBDC(中央銀行デジタル通貨)にも使っていただけるのではないかと考えております。本日はご清聴ありがとうございました。

※本記事は2025年2月27日に開催された「ペイメント・セキュリティフォーラム2025」の採録記事となります。

■問い合わせ先
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷3丁目25−18 NBF渋谷ガーデンフロント
URL:https://www.infineon.com/cms/jp/product/security-smart-card-solutions/secora-security-solutions/
メール: eventjp@infineon.com

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