2025年4月7日8:00
リクルートが企画・制作する結婚情報サービス「ゼクシィ」が、「WEB招待状」「ゲスト情報管理」「オンラインのご祝儀受付」の3機能を備えた新サービス「ゼクシィオンライン招待状」を本格展開して1年半が経過した。伝統や格式を重んじる日本の結婚式文化では敷居が高いと思われていたサービスだが、慌ただしい中で進める結婚式準備をデジタル化によってスムーズに行えるというメリットがじわりと浸透し、サービス提供する式場や利用するカップルが増え始めている。

オンラインのご祝儀受付を選択して
クレジットカードで支払い
「昨今の社会変化により、結婚式の多様化が進み、こだわりの結婚式を開きたいと考えているカップルにとって、招待状作成と発送や出欠管理などの工程は大きな負担です。一方、結婚式場にとっても、結婚業界の伝統やしきたりがあり、オペレーションも複雑化するなかで、カップルのニーズに対応するのが難しくなっているという課題を抱えていました。ゼクシィオンライン招待状サービスは、カップル、会場、ゲストの負荷を軽減し、その分を結婚式のプランニングに時間をかけられるという本質的な価値を生み出すお手伝いをしたいと考えて開発しました」。リクルート プロダクトデザイン室 『ゼクシィオンライン招待状』プロダクトマネージャー 八木彩夏氏は、開発の狙いをこう話す。
「WEB招待状」は、スマホからオンライン招待状を手軽に作成・送信できる。「ゲスト情報管理」は、ゲストからの出欠回答後、自動でゲストリストを作成する。紙の招待状を送る場合、事前に、招待状送付先の住所をゲストに聞く必要があったが、「WEB招待状」を利用することで、住所録作成が不要となるだけでなく、ゲストの出欠も一元管理できるメリットがある。
また、「オンラインのご祝儀受付」の機能は、カップルが利用の有無を選択することができる。利用する場合は、ゲストは希望に合わせてご祝儀のオンライン決済が可能で、ゲストがオンライン決済で支払ったご祝儀は、結婚式費用の一部として会場へ入金される仕組みだ。
「WEB招待状」「ゲスト情報管理」は無料で利用可能。「オンラインのご祝儀受付」を利用するには、会場側が「Airペイ オンライン」の加盟店登録を行う必要がある。システム利用料として、ご祝儀決済総額の3.00%(税込)をカップル側が負担する。
カップルは、住所録の作成や宛名書き、投函などが不要になり、リアルタイムでゲストの出欠管理ができる上、事前の大金準備の不安を解消することができる。式当日のご祝儀管理・精算作業も不要だ。ゲストにとっても、出欠はがきの投函が不要で、新札・ご祝儀袋の用意も必要なく、クレジットカードでの支払いが可能になる。会場は、招待状の発注・内容確認・検品業務が不要になり、リアルタイムでゲストの出欠管理ができるなど、三者にメリットがある。
WEB招待状やオンラインのご祝儀受付の開発では、決済が関わるためセキュリティの仕組みを実装する必要があり、難易度は高かったという。決済手段には、利用頻度が高いクレジットカードを選んだ。八木氏は「オンラインでご祝儀を決済できるサービスは、すでに他社でもリリースされていましたが、結婚式の会場を起点にしたビジネスモデルはほとんどありませんでした」と振り返る。
リクルートの業務・経営支援サービスである「Airビジネスツールズ」など、社内には決済のノウハウはあるが、「オンラインのご祝儀受付」サービスは初の取り組みだったので、法務や経理などの関係部署と調整しながら、決済の仕組みを作り上げていった。
招待状からご祝儀決済への導線については、招待状を作成するために4ステップを用意しており、オンラインのご祝儀・会費受付の利用設定のステップで「利用する」「利用しない」を必須選択とした。ただ、「オンラインのご祝儀受付の機能について知らない場合、ご祝儀・会費の設定の際に不安や懸念を感じる方もいらっしゃいます。迷った行動をしている方に、検討するのに役立つような記事コンテンツを提案するなど、不安解消の工夫も織り込んでいます」と八木氏は話す。
ユーザーに寄り添った取り組みで、
不安や懸念を払拭へ
2021年10月と2022年9月のマクロミルによる調査結果を比較すると、オンライン招待状を利用したカップルのうち、オプションのオンラインのご祝儀受付を利用した割合は、約37%から約55%まで上昇している。利用した理由の中には「ゲストにとって、便利で喜ばれると思ったから」という声もあった。WEB招待状については、紙の招待状をデジタルにすることで、コストダウンと労力を軽減できるというメリットを実感しているユーザーが多かった。ただ、オンラインご祝儀決済に関しては、結婚式という伝統・文化のご祝儀をキャッシュレスという新しい方法で行うことの不安や懸念を示す人もいる。
八木氏は「オンライン決済は、お金の管理の手間を削減できるうえに、ゲストにとっても新札やご祝儀袋を用意するなどの負荷が軽減できるという効果は大きいです。世の中のキャッシュレス決済への抵抗が少なくなればなるほど、オンラインご祝儀決済に対する理解も浸透していくはずで、結果的にご祝儀決済のオンライン化を利用する傾向は強まっていくと考えています」と話している。
「決済・金融・流通サービスの強化書2025」より