キャッシュレスをリードする企業の大連立が誕生へ、PayPayと三井住友カード連携の狙いとは?

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2025年5月22日8:00

三井住友カード、ソフトバンクは、デジタル分野における包括的な業務提携に関し、基本合意書を締結した。また、同提携を踏まえ、PayPayと三井住友カードは、相互に連携した新たな取り組みを順次開始する。両社のサービスの連携について2025年5月15日の記者説明会に加え、追加で質問し、回答してもらった。

左からPayPay 代表取締役 社長執行役員CEO 中山 一郎氏、ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一氏、三井住友フィナンシャルグループ 取締役 執行役社長 グループCEO 中島 達氏、三井住友カード 代表取締役 社長執行役員 CEO 大西 幸彦氏

ヘルスケアやAI活用でも協業
ソフトバンクの経済圏がOlive、Trunkと融合

今回の契約の当事者は三井住友カードだが、三井住友フィナンシャルグループ 取締役 執行役社長 グループCEO 中島 達氏はSMBCグループにとっても、戦略的意義の大きな取り組みだとした。

今回の提携には2つの柱がある。1つはソフトバンクと三井住友カードの提携となる。ソフトバンクのデジタルサービスを三井住友カードのサービスに取り込むことで、革新的な顧客体験を実現できるという。Oliveの非金融ビジネスの1つとしてヘルスケア分野での連携、データ戦略での連携、幅広い領域でのAI活用における協業などを含んでいる。もう1つの柱がPayPayアプリでの三井住友カードの紐づけ決済での優遇、OliveのPayPayの優遇、OliveフレキシブルペイでのPayPay残高モードの追加、PayPayポイントとVポイントとの相互交換などがある。中島氏は「我が国のキャッシュレスをリードする三井住友カードとPayPayの大連立を実現するものであります」と述べる。

ソフトバンクの経済圏は、子会社を含め300社がオンラインを中心にビジネスを展開している。ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一氏は「この経済圏とSMBCのOlive、Trunkのお客さまと融合していきたい。我々のデジタルサービスをOliveの会員、Trunkの会員に提供していくという形になります」と話す。

金融・非金融サービスのラインナップを充実
Oliveを未来型のスーパーアプリに

PayPay 代表取締役 社長執行役員CEO 中山 一郎氏は、コード決済もクレジットカードもNo.1の企業の連携が動き出すとした。PayPayのユーザー数は6,900万、加盟店は1,000万カ所、GMV(流通取引総額)は15兆円ある。一方、三井住友カードの会員は3,900万、Visa加盟店は1億店以上、GMVは39兆円ある。第1弾として両社のポイント連携、第2弾として先進デジタルサービス連携を進める。さらに、第3弾では、新たなビジネスの創出に向けた取り組みを共同で推進するそうだ。AI活用では、三井住友カードの処理件数年600万件、座席数1,300席のコンタクトセンターに対し、24時間365日AIで応対可能にするAIオペレーターの開発・導入を支援するという。自律思考型AIサービスは今年度中にサービスを一部稼働予定だ。

Oliveでは、金融・決済に加えて、金融以外の多様なサービス展開を目指しており、カナダのHopper,Inc.と連携し、旅行サービスの「Vトリップ」がスタートしている。新たに参入する「ヘルスケアポータル」は、非金融ビジネスの第二弾という位置づけだ。

これは、Oliveと三井住友カードの会員ポータル「VPASS」を利用する同社会員を対象に、ソフトバンクの子会社でデータ活用により人々の健康増進を促すヘルスケアテクノロジーズと共同でヘルスケアポータルを立ち上げ、健康管理のためのさまざまなコンテンツから、例えば24時間365日、利用できる医療相談チャット、休日でも最短5分で利用可能なオンライン診療などを提供するという。特に今回のサービスでは、顧客の決済データをもとにして、AIを活用し、子育て世代に子供の健康管理に関する情報を提供していく。例えば、顧客のニーズに応じて、ある人には、美容・医療、メンタルヘルスといった形で、1人1人のニーズに応じてパーソナライズして提供するそうだ。

また、ヘルスケアポータルは、Trunkの法人顧客にも会社経営で健康経営を支援するサービスとして、パッケージ化して提供していきたいとした。

Oliveはこれまでグループのみならず、SBI証券、ライフネット生命などと連携してきた。今回のソフトバンク、PayPayとの提携もOliveのコンセプトにマッチしたものだという。今後は、モビリティやデジタル保険など、ソフトバンクの多様なデジタルサービスを積極的に取り入れて、金融・非金融サービスのラインナップを充実させていきたいそうだ。

同社にとってのソフトバンクとの提携の狙いの1つがAI活用だが、今後3年を目途に電話問い合わせの半数以上をAIオペレーターで対応することを目指す。さらに、AI活用の本丸は、未来型サービスを実現させることだ。

Oliveの進化の1つとしてAI-Oliveの構想を進める。Oliveは多機能であるがゆえにアプリの使いやすいさが重要なポイントとなる。AIを活用することで、顧客1人1人が欲しい情報をスムーズに取得できる世界を目指す。現在、マネーフォワードとの提携により、Oliveで他行口座や他社カード残高、利用履歴を閲覧でき、非常に簡単な操作で、お金の移動やローンの返済ができる機能を開発中だが、利用者の決済のデータをもとにして、例えばローンの返済、資産の運用、あるいは金融以外の旅行の提案といったところまで、いろいろなマネーライフのサポートを実現させる方針だ。三井住友カード 代表取締役 社長執行役員 CEO 大西 幸彦氏は「Oliveを未来型のスーパーアプリにしていきたい」と意気込みを見せる。

具体的には同社の幅広い決済データとソフトバンクの移動データを組み合わせることで、加盟店に高精度のマーケティング支援ツールを提供するという。今後は従来のアクアリング・決済ビジネスから、DXサービス、顧客分析サービスなど、マーチャントビジネスへ進化をしていきたいとした。同社はイシュイング、アクアリングの両方の決済データ基盤があり、非常に強力なツールになるとした。これをソフトバンクの移動データと掛け合わせることで、潜在顧客層を把握して、それに基づいて集客施策を展開することが可能だ。

PayPayは三井住友カードと最も相性の良いコード決済?
PayPayアプリとグループ連携優先は変わらず

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