2011年8月17日8:38
「ファミマTカード」によりロイヤルカスタマー育成を目指す
Tポイントアライアンスに参加し外部加盟店から顧客を誘導
全国に約8,400店舗を運営するコンビニエンスストアのファミリーマートでは、2007年11月からカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する「Tポイント」アライアンスに参加している。同社では、全国70社約3万5,000店舗の規模を誇るTポイントアライアンスに参加することで外部から顧客を送客するとともに「ファミマTカード」により顧客の囲い込みを図っている。
ファミリーマート
購入金額や来店頻度から
POSクーポンを利用したマーケティングを展開
ファミリーマートが発行する「ファミマTカード」の会員数は、2011年6月末時点で約384万人、そのうちクレジット会員は175万人となっている。18歳以上の人はクレジットカードへの申込が必要となり、それ以外の顧客にはポイントカードを発行している。
ファミリーマート店舗では、100円で1ポイントのTポイントが貯まり、1ポイント=1円として利用することができる。毎週火曜と土曜日は、「カードの日」としてショッピングポイントが2倍となる(カードの日は、ファミマTカードのみ対象:2011年8月現在)。
「ポイントの付与と利用のバランスに関しては、まだまだ付与の方が多いですが、最近は利用に関しても徐々に増えています。将来的には比率を同じくらいに高めていきたいです」(ファミリーマート 総合企画部 マーケティング室 CRMグループ マネジャー 山崎栄司氏)
同社ではカード会員限定のさまざまなサービスを積極的に実施。最近ではメーカーともタイアップして、特定の商品に多くのポイントを付与するキャンペーンも実施している。
2009年10月からは、「ロイヤルカスタマー優遇システム」を活用したCRMを展開。同システムはCCCのシステムとファミリーマートのPOSレジを連動させたもの。このシステムを活用して、お得意さまやお得意さまになっていただきたい方々への販売促進策を強化している。このシステムでは、会員番号別にポイント付与率を2倍にしたり、3倍にしたり、レシートにクーポンを印字(Fクーポン)できる機能がある。
例えば、同社ではFクーポンを利用して、ファミマTカード会員の誕生月に100円の割引クーポンを配布。クーポンを配布した会員の期間中のファミリーマートでの利用率はアップしたという。また、ポイントが1週間の期間限定でお得意さまに対して、3倍になるダイレクトメールを送付するなどの取り組みも行っている。
ダイレクトマーケティングを実施する頻度は年々増えており、ファミマTカード会員は一般の顧客に比べて利用回数や来店金額が高くなるなど、その成果は表れている。また、ファミリーマートでは、他社が発行するTポイントカードでもポイントが付与されるが、ファミマTカード会員の方が優良顧客は多く、帰属意識が高い結果となった。
離反顧客を外部加盟店のPOSクーポンで呼び込む
50歳以上の会員獲得にも注力
離反顧客に対しては、Tポイントアライアンスに参加するTSUTAYAやカメラのキタムラにおいて、割引券などのクーポンを配布している。利用実績をもとに同社に来店していない顧客を抽出することが可能だ。また、最近では50歳以上の人を「フォーカスターゲット」と呼んでおり、Tポイント提携先を利用して、まだファミリーマートに来店したことがない人に割引券を配布している。
「Tポイント提携先との取り組みは定期的に行っており、年初と年度末との比較でみると50代の方のユニークユーザーの数は確実に増えています。この年代の人口の構成比率は高いため、今後も強化していきたいですね」(山崎氏)
逆に同社のFクーポンを利用して、Tポイント提携先への送客も実施している。同社では、Fクーポンを1つの媒体出稿と捉えている。企業ごとに得意とする会員層が異なるため、自社が弱いとされる年代やまだ来店したことがない顧客に対し、コストを抑えた効果的なアプローチがお互いに可能となるからだ。現在では、Fクーポン以外にも販促物の配布など、提携企業同士の相互送客に対する取り組みは常に行われているそうだ。
ロイヤルカスタマー優遇システムを活用したアプローチを継続的に実施することにより各会員の来店回数や頻度は着実に上がっており、数値的な成果もここ1~2年は表れているという。3月に発生した東日本大震災は同社にとっても大きな影響を及ぼしたが、カード会員の利用に関しては徐々に立て直してきており、同地震によりCRM施策を実施することの重要性を再認識させられたという。
「まだターゲットマーケティングの域を出ていませんが、将来的にはワン・トゥ・ワン・マーケティングの領域まで高めていきたいです」(山崎氏)
「Tカード提示で被災地に児童館を。」を実施
Tポイント会員6,000万人達成に向け協力
最近では、Tポイントのライバルとなる共通ポイントも登場してきているが、「これまで以上の努力も必要となりますが、Tポイントアライアンスの取り組みが認められたということの表れでもあり、結果的に共通ポイントという概念の認知が高まり、よかったと捉えています」と山崎氏は話す。
Tポイントアライアンス企業70社との共同プロジェクト「Tカード提示で被災地に児童館を。」を実施。これは、Tポイントの利用金額の一部を東日本大震災の被災地の行政を通じ、全額を児童館建設に関する費用にあてるものだ(店頭キャンペーンは7月で終了)。
同社では今後も、ファミマTカードを活用した自社による顧客囲い込みはもちろん、Tポイントアライアンスの加盟企業と連携した新規顧客の送客、キャンペーンなどの連携を積極的に行い、CCCが掲げる「Tポイント会員6,000万人」の達成に向け協力していきたいとしている。