2011年8月26日8:00
iPod touchをクレジットカード決済端末として活用
オーダリングやレジ操作、決済処理までをシームレスかつスマートに
エイベックス・プランニング&デベロップメントが運営するダイニングレストラン「BODY BALANCE DINING mu-MU」西新宿店では、8月2日からiPod touchを活用したクレジットカード決済ソリューションを運用している。同システムの導入により、顧客の面前でクレジットカード処理が可能となった。
顧客の面前での決済が完了
処理にかかる時間も大幅に短縮
「BODY BALANCE DINING mu-MU」西新宿店では、iPad、iPod touch および iPhoneを利用したPOSシステム「FLAVIUS(フラビウス)」とクレジットカード決済ソリューション「Anywhere」を導入した。エイベックス・プランニング&デベロップメント 空間開発オペレーション事業部 オペレーションセクション 早矢仕 友也氏は、「スマートフォンを利用したPOSシステム、決済システムの導入は、店舗にとって大きな変革だと捉えています」と話す。
mu-MU西新宿店は周辺にホテルなどもあり、立地上、外国人の利用者も多い。同店ではテーブル会計が基本となっており、クレジット決済の場合は、従業員が顧客からクレジットカードを預かり、テーブルから離れたところにある専用のCCT端末で処理を行う。
「外国人のお客様の中には、自身の目に見えないところで決済が行われることに抵抗を示す人もいらっしゃいました。また、場合によってはカードを持ってレジとテーブルを往復することもあり、お客様を待たせることも課題でした」(早矢仕氏)
その点、Anywhereでは顧客の面前でクレジットカードの決済処理が可能となり、従業員がテーブルとレジを往復する心配はない。従業員はiPod touchに装着した「ScanJacket」でクレジットカード情報を読み取り、スマートフォンにインストールしたAnywhereを操作して、決済処理を行う。「Anywhere導入後は決済の処理時間を大幅に減らすことが可能になりました」と早矢仕氏は笑顔を見せる。従業員の使い勝手も良く、現時点では電波障害などの問題も発生していないという。
店舗には小型のモバイルプリンタが置かれており、Bluetooth通信により「加盟店控え「カード会社控え」「お客様控え」を出力している。
mu-MUでは店舗の空気感を大切にしており、「iPod touchを利用したオーダリングや決済の仕組みをいち早く取り入れたことは、お店の話題づくりとしても重要です。実際にご来店いただいたお客様の多くが、スマートな決済システムに驚かれています」と早矢仕氏は説明する。
iPod touchを活用し接客も向上
POSの仕組みもカスタマイズが可能に
iPod touchには、ScanJacketのバーコード機能を利用したオーダリングの仕組みも搭載。従業員は、仮に顧客からメニューの内容についての質問を受けた場合、各メニューにある「詳細」ボタンを押せば、マニュアルを参照できる。早矢仕氏も「メニューについてもお客様をお待たせすることなく、説明することができるようになりました。iPod touchを活用することで従業員への教育が従来の10分の1くらいに短縮でき、従業員も楽しみながらメニューについて学んでいます」と成果を感じているようだ。
現状、従業員全員にiPod touchを配布し、レジには会計情報等を蓄積するためにiPadを1台設置している。コストも飲食店などで利用されているハンディ端末などに比べ安価に抑えることができ、オーダリングやレジ操作などのPOS処理からクレジット決済処理までをシームレスかつスマートに行うことが可能となった。
「POSの仕組みを自由にカスタマイズできるのも大きなメリットです。例えば、売上に関する集計データを蓄積したり、お客様からの予約も顧客情報管理のプログラムに組みこむことが可能です」(早矢仕氏)
mu-MUでは銀座店でも9月から同システムの運用を予定している。同社ではイベント事業なども行っており、今後は他の事業でもFLAVIUSならびにAnywhereの活用を検討していきたいとしている。
決済時には2重の暗号化処理を実施
通信コストの削減にも貢献
なお、今回mu-MUに導入したAnywhereは、リンク・プロセシングがグローバルネットワークサービス、三栄電機と協力して開発したソリューションである。
「クレジットカード情報はスマートフォンに装着した『ScanJacket』で読み取った時点でAESによる暗号化処理を行い、さらにAnywhereアプリ内のキーで3DESにより決済電文全体を暗号化することで2重の暗号化処理を行っています」(リンク・プロセシング 代表取締役 鎌田大輔氏)
リンク・プロセシングの決済センターは、ペイメントカードの国際セキュリティ基準である「PCI DSS V.2.0」に完全準拠しており、高品質なセキュリティレベルで決済システムを提供できるという。
端末とセンター間の通信も3GもしくはWi-Fiを利用するため、コストも従来の決済端末に比べて安価に提供することが可能になるという。また、決済処理は対面(リアル)の電文で行われるため、インターネット決済のようにチャージバックの対象にならないことも他社との差別化ポイントとなっている。
今回のエイベックス・プランニング&デベロップメントとの契約についてはジェーシービー、トヨタファイナンスが加盟店契約を結んでいるが、「アクワイアリング業務に関しては、オープンな形で各カード会社と行う予定です」と鎌田氏は話す。リンク・プロセシングでは今後、Androidへの対応やスマートフォンの画面に決済時のサインを行う仕組みも構築していきたいとしている。