2012年1月19日10:30
モバイルペイメントのアプリケーション開発に力を入れる
PayPass、payWaveの発行をカードとモバイルの両輪で展開へ
共同印刷は、FeliCa、TypeA/Bの規格に対応した非接触ICカードの製造や発行において、電子マネーや社員証、クレジットカード、交通・公共分野などに導入実績がある。同社ではキャリアが行うNFCの実証実験に協力するなど、新たなビジネスとしてモバイルペイメントなど、NFC関連のアプリケーション開発に力を入れている。
共同印刷
ソフトバンクの実験ではパーソナライゼーションデータの生成と
SP-TSMとのインターフェイス構築を担う
「弊社ではICカードの製造や発行で実績を築いてきましたが、NFCのビジネスに関しては積極的にビジネスを展開する方針を持っています」(共同印刷 IC事業推進本部 販促企画部 部長 小林章治氏)
共同印刷では、2011年1月からソフトバンクが実施したAndroid搭載スマートフォンを用いたNFC 実証実験に参画し、PayPassパーソナライゼーションデータの生成ならびにサービスプロバイダーTSM(SP-TSM)とのインターフェイス構築を担当した。同実証実験では、クレジットカード・アプリケーションとクレジットカード情報を、携帯電話端末にあるNFC 対応USIM カード上のIC チップ内へのスムーズなダウンロードができたという。
「カードデータ、個人データのパーソナライゼーションの生成から受け渡しまでをシステム構築しました。PayPass、payWaveに関しては、カードとモバイルの両輪でビジネスを展開する予定です」(共同印刷 IC事業推進本部 販促企画部 担当課長 中山隆氏)
すでに共同印刷では、マスターカード・ワールドワイド(MasterCard)から、PayPassの接触EMV、非接触EMVのデュアルインターフェースカードの認定を取得している。同カードは、提携カードなどで需要の高い4行エンボスが可能となっており、今後は、PayPassを発行するクレジットカード会社に対し、積極的な営業を行う構えだ。
「パーソナライゼーションのデータ生成については、カードでもモバイルでも大きな意味でそれほど変わりません。ソフトバンクモバイルの実証実験では運用を含め、概ね本番に近い形の対応が取れたことは自信になりました」(中山氏)
セキュアなカード発行に加えポイントやクーポンのアプリも展開
NFCの商用サービスは2013年から進む?
すでに他のキャリアなどとも話し合いを行っており、実証実験や商用サービスにおいて協力する準備を進めている。
「TypeA/Bを利用したPayPass・payWaveなどの決済は、国際標準のEMVに対応しているため、世界的に広がると考えています。従来から得意とするFeliCaに加え、TypeA/Bに対応することで、世界標準での製品化やサービスを提供できるのが大きいと思います」(小林氏)
今後は、TypeBの認証カードをNFC搭載スマートフォンのリーダライタ機能を利用して読み取るなど、今まで以上にアプリケーションの広がりが期待できる。
「クレジットカードのセキュアなパーソナライゼーションのデータ生成、SP-TSMの構築を実現すれば、ポイントやクーポンなど、それ以外のアプリケーションの構築もスムーズに行えるようになります」(中山氏)
さらに、ICタグやデジタルサイネージなどのビジネス分野とも連携していきたいとしている。
同社では2012年中にはNFC対応のスマートフォンが市場に投入されることを期待している。また、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルが共同でモバイル非接触ICサービス普及協議会を設立したことにより、仕様の標準化も進み、2013年からは商用サービスが進むと予想している。同社では2012年はNFCビジネスに関する研究やサービスの開発を行い、自社としての商用化への準備を組み立てていきたいとしている。