2012年7月26日0:00
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は、2012年7月24日、日本における事業戦略説明会を開催した。
日本の民間最終消費支出に占めるカード決済の割合は約14%。そのうち半分強がVisaブランドのカードで処理が行われているが、韓国の53%、中国の41%などに比べるとまだまだ比率は低いのが現状だ。ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役 岡本和彦氏は、「日本の非現金決済は3倍、4倍伸びてもおかしくないと我々は見ています」と話す。
一方、2010年のアジア太平洋地区の法人マーケットは、全世界で31%のシェアを誇る。そのうち、上位6カ国で88%のマーケットシェアとなっているが、日本は22%のシェアがあるという。
Visaの日本における戦略と重点施策については、発行会社(イシュア)や加盟店開拓会社(アクワイアラ)とのパートナーシップ構築により、利用者に対しての的確な商品の紹介とニーズにあった加盟店網の開拓を強化する方針だ。また、イシュアにとって有益な顧客となるプレミアム層のカード会員の拡大、ECでのセキュリティ強化を掲げる。
さらに、カード加盟店としては、政府や教育、住宅といった未開拓市場の取り込み、デビット・プリペイド商品の普及、クロスボーダービジネスの基盤強化、「アドバンスト・オーソリゼーション」や「ビザ・リスク・マネージャー」といった情報提供サービスの価値を高めていきたいとしている。
プリペイドについては、2009年の市場規模は約100億円。海外では、政府系(ガバメント)や給料の支払いなど、さまざまな分野で利用されている。Visaが国内で当面強化する市場としては、トラベル、ギフトなど、約3億円の市場規模がある。例えばトラベルの分野では、「日本人が両替して海外に持っていく市場が約4兆円あります。そこをカード化する試みを行っています」と同社 プロダクト統括部長 外山正志氏は説明する。
すでに個人向けのギフトカード、トラベルカード、バーチャルカードは、国内のイシュアから発行されている。今後は、災害救助の取り組みとして、カードをチャージして被災者に配布したり、中長期的には社会保障カードへの採用を目指していきたいとしている。また、法人向けのインセンティブカード、日当・仮払金カード、昼食補助のバウチャーなどの代替としての利用を見込む。
なお、海外で展開している非接触IC決済サービス「payWave」については、国内での実施に向けて準備を進めているそうだ。
「以前はpayWaveでも国と国をまたいで利用できないところもありましたが、インターオペラビリティも確保できるようになりましたので、今の非接触のスキームからどのように移していくのかを検討しています」(岡本氏)
また、北米で展開している電子ウォレットサービス「V.me」については、2014年~2015年には日本で展開していきたいとしている。さらに、イヤフォンジャックやケースを装着してスマートフォン決済を行うソリューションについては、安全性確保の観点から1アクワイアラで5,000台の契約に留めたり、セキュリティの強化に向けEMV化を促進させる取り組みを行っているそうだ。