2012年9月27日8:42

これまで2回にわたり、国内のO2O事例を紹介してきたが、今回も書籍「O2Oビジネスガイド」から、国内各社の取り組みを概観する。

ドミノ・ピザジャパンのドミノオンライン本店でピザを注文した人だけが参加できる、エクセレントなショータイム 「Excellent Tracking Quiz Show」。ピザのできあがり状況がリアルタイムで店舗と連動

ドミノ・ピザ ジャパンが展開する宅配ビザチェーンの「ドミノ・ピザ」では、オンラインサイト「ドミノオンライン本店」を活用し、業界初のオーダー状況追跡システムの搭載、GPSを利用した屋外への宅配など、ユーザーにとって“早く”“便利”“楽しい”サイト作りに力を入れている。

日本航空(JAL)は、AndroidスマートフォンおよびiPhoneユーザーに対し、沖縄の魅力や観光情報を紹介する「JAL沖縄アプリ」を提供している。また、ヤフー(Yahoo! JAPAN)と大日本印刷(DNP)との3社共同事業として、スマートフォンをかざすだけで「JAL沖縄」アプリをダウンロード可能な「TOUCH!(タッチ)JAL!」NFCスマートポスターを作成し、2012年7月26日~9月30日まで、沖縄(那覇)空港の到着ロビーに設置した。

3,300店舗を全国で運営する日本マクドナルドでは、携帯電話やスマートフォンを活用した「かざすクーポン」「見せるクーポン」を展開している。すでに会員数は3,100万人を突破。最近では、顧客属性の応じた「セグメントクーポン」の配信を行ったり、鹿児島県で事前オーダーのトライアルを実施するなど、顧客利便性向上に向けた取り組みを強化している。また、財団法人道路新産業開発機構(HIDO)に協力する形で、ITSスポットを利用したドライブスルー実証実験を実施した。

「はるやま」「P.S.FA」「マスカット」などの紳士服チェーンを展開するはるやま商事は、店舗のどこからでもレジ操作ができる「iPad-POS」を導入し、9月15日から全361店舗で運用を行っている。池袋などの客数の多い店舗では12~13台、少ない店舗で2~3台を導入している。

東日本旅客鉄道(JR東日本)は、DNPデジタルコム、ソフトバンクテレコム、JR東日本企画などと協力し、2012年4月16日~6月30日まで、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術とスマートフォンを活用して、利用者が東京駅構内での正確な位置を把握できるシステムの実験を実施した。両社では利用者に対し、駅構内の案内機能、運行情報や乗り換え経路の検索機能などを搭載したスマートフォン用アプリ「JR×AR」を無料で提供し、その有用性を検証した。

マピオンでは全国100スポット達成者を表彰するファンイベントを定期的に開催。写真は7月7日に東京品川で開催された『夢の宴2012』

位置情報とゲーミフィケーションの要素を盛り込んだO2Oの成功事例として知られるのがマピオンの「ケータイ国盗り合戦」だ。1人あたりの月間移動距離が「東京~ベトナム間」に相当するアクティブユーザーが多数存在し、大手企業と連携して実施するキャンペーンの経済効果は60億に及んだこともあるという。

「mixi」は、仲の良い友人との「心地よいつながり」や「コミュニケーション」を提供するソーシャル・ネットワーキング サービス(SNS)である。ユーザー数2,788 万人、月間ログインユーザー数1,453万人を誇る。また、スマートフォンからmixiを利用するユーザーは2012年6月現在788万人となっており、業界最大規模を誇るという。同社では、mixiユーザーへのリーチ力とこれまで培ってきたソーシャルグラフマーケティングの知見を活かし、企業とのコラボレーションやO2Oの展開に力を入れている。

「Yahoo! JAPAN」を提供するヤフーでは、「O2O(Online to Offline)」のサービスを強化している。同社では、国内最大級のジオサービス「Yahoo!ロコ」を利用した送客やNFC(Near Field Communication)技術を活用したO2Oの実証実験、「Tポイント」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ、「食べログ」を運営するカカクコム、カード会社のジェーシービーやクレディセゾンなどと提携を行っている。

「ホットペッパー」、「ホットペッパービューティー」、「じゃらん」、「ポンパレ」などさまざまなメディアを運営するリクルートライフスタイル(2012年9月末までリクルート)では、生活者の導線の中で、必要となるさまざまなサービスを提供している。同社では各メディアを横断した垂直モデルでのサービス提供やPCやスマートフォン、紙媒体を有機的に活用することで、一定の成果を上げている。

「無印良品」を展開する良品計画では、いち早くソーシャルメディアを活用した取り組みに着手し、独自のプロモーション施策に力を入れている。ソーシャルメディアで紹介した商品は、前日比の120~300%の売り上げを記録することもあるそうだ。

外食・フランチャイズチェーンを展開するレインズインターナショナルは、炭火焼肉酒家 「牛角」をはじめ、しゃぶしゃぶ 「温野菜」、居酒屋の「土間土間」、「かまどか」などを運営している。同社では、牛角等の来店促進と販売戦略においてソーシャルメディアやクーポンなどを活用した取り組みを積極的に展開している。

ユナイテッドアローズではハウスカード会員証として利用できるiPhoneアプリをリリース

アパレル業界においてもオンラインとオフラインとの連携は注目されているが、両社をシームレスに結び付けた展開で成功した企業はまだ少ない。「UNITED ARROWS」、「BEAUTY&YOUTH」、「UNITED ARROWS green label
relaxing」などのストアブランドを展開するユナイテッドアローズでは、直営のオンライン通販サイト「UNITED ARROW LTD. ONLINE STORE(ユナイテッドアローズ オンラインストア)」を店舗の補完機能として位置づけ、オフラインへの送客に力を入れている。すでに店舗とオンラインストアを併売している人は客単価がアップするなどの成果を生み出している。

ゆめみは、日常を「Gamify(ゲーミファイ)」するをコンセプトに、iPhoneの「GPS機能」を活用し、ユーザーが実際に訪れた場所にチェックインすることで、チェックインした建物を購入しアプリ内の自分の土地へ建てたり、建物にデコレーションしたりし、理想の街づくりを楽しめるアプリ「MyTown」を展開している。すでにドン・キホーテやニューバランスとタイアップするなど、来店誘導やイベントへの集客、スタンプラリーの展開にも力を入れている。

これまで3回にわたり国内のO2O事例を紹介してきたが、これら企業の取り組みは書籍「O2Oビジネスガイド」で詳しく紹介している。

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