2013年1月7日8:00
2013年 新決済で日本を救う
☆☆☆ 劣悪な状況に突き進む日本を救う決済とはなにか ☆☆☆
Rescue Japan with New Payment
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
日本はいま、かつてなくきびしく、そして暗い時代に突入しようとしている。
新年早々縁起でもない、と叱られそうだが、事実なのでご勘弁を。
4人に1人が65歳以上の高齢者。60歳以上は3人に1人だ。
非正規雇用者数は、雇用者の3人に1人。ぎりぎりの生活しかできないワーキングプアは雇用者の5人に1人。1,000万人を超えた。社会構造がこの10年で激変している。
勤労者世帯の実収入はリーマンショック以降伸びず、消費支出はそれに連れて大きく落込んでいる。クレジットカード取扱高は、その影響を受けずにはいられない。
社会構造の大変化を、一朝一夕に修正することはむずかしい。であれば、その社会にあった決済を考える必要があるだろう。
クレジットカードという未来収入をあてにする決済ではなく、いま手元にある現金をスマートに使える決済だ。
高齢者にやさしく、生活弱者にやさしい決済とはなにか。劣悪な状況に突き進む日本を救う決済について考えてみたい。
●世界トップの高齢化社会に必要な決済とは
カードや決済の戦略策定や商品企画は、机上だけでたててはいけない。そう痛切に感じる。オフィスには、65歳以上の高齢者が、役員を除いてほとんどいない。しかし街に出れば、日本人の4人に1人が65歳以上の高齢者なのである。
2012年10月時点の日本の総人口は1億2,753万人。そのうち65歳以上は3,080万人で24.1%。60歳以上になると4,104万人で、3人に1人。気がつけば、日本は恐ろしく高齢化した社会になっている。もちろんこれは世界でトップだ。
このゾーンを、カードや決済のターゲットからはずせるだろうか。退職し、年金生活にはいった人を、クレジットカードの顧客として、維持してもいいのだろうか。年収にあわせたクレジット限度額の設定、ということになれば、年金生活者の限度額は大幅に下げざるをえない。しかし、個人金融資産1,500兆円のうち、60歳以上の高齢者が保有する割合は60%にもなる。定期収入がなくても、資産がある高齢者なら、高限度額のクレジットカードの発行は可能だ。でも、資産内容をカード会社に申告する必要がある。そんな人はいないだろう。高齢者はクレジットカードをもてない。いやいや、実はもちたくない人が多い。クレジットカードは、未来収入をあてにする決済手段だから。老後の資産を食いつぶしたくない。使いすぎが怖い。
では、クレジットカードの代替手段は現金でいいのだろうか。支払手段としてクレジットカードに慣れたシニアに、現金生活に戻れというのは酷というもの。高齢者にとって、現金ほど不便なものはない。現金をもち歩くリスクは、歳をとるほどに高くなる。レジでの小銭のやりとりは、時間がかかり、まちがいも多い。
クレジットカードにかわる、高齢者にやさしい決済手段はなにか。高齢化社会に対応したカード・決済を構築できれば、今後高齢化する世界に日本発のビジネスモデルを拡大することができる。これはチャンスだ。