2013年6月11日22:24
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(American Express)は、グローバル企業の財務責任者(CFO)519人を対象に行った意識調査「アメリカン・エキスプレス/CFOリサーチ グローバル・ビジネス・スペンディング・モニター2013」の結果を発表した。
今回で6回目の実施となる同調査は、アメリカン・エキスプレスの法人事業部門と、CFOリサーチ・サービスが、2013年3月に米国、ヨーロッパ、カナダ、ラテンアメリカ、アジア、オーストラリアなど世界各国の企業で活躍するCFOを対象に共同で行った。
その結果、日本のCFOは、2007年の世界金融危機以降、国内経済について最も明るい見通しを持ち、安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安・株高が進む中で日本の企業が国内市場に成長の機会を見出していることが顕著となったという。
まず、日本企業の今後12カ月の景気予測については、日本の回答者の67%は、今後12カ月の間に「景気が良くなる」と回答した。これは、昨年の35%から大幅に改善している。
また、日本以外の国では、ヨーロッパを除き、世界のCFOの大多数は自国の景気回復・拡大に対して楽観的で、特にブラジル(100%)やメキシコ(81%)などのラテンアメリカ、および中国(94%)、インド(78%)、シンガポール(77%)のアジア諸国では自国の経済成長への自信が顕著に表れているそうだ。
このような景気への明るい見通しにより、5人中4人の日本の回答者は、今後1年間、M&Aを積極的に行うとの見方を示している。さらに、56%は今後社員数を増やすと答え、採用についても回復傾向にあることが明らかになったという。これは、昨年の38%と比較して、18%の改善となった。
同調査では、日本のCFOは、海外よりも国内市場を優先する意向があることが分かった。57%の日本の回答者は、今後1年間、主に国内市場での売り上げ拡大に注力すると回答した。この数字は、調査対象国の中で最も高い数字で、米国およびカナダが53%で続いている。対照的に、スペインおよび中国のCFOは、より輸出を強化すると回答している。
一方で新興国市場のどこの国で今後、売り上げや販売チャネルを拡大したいか、という質問に対しては、日本企業の財務責任者は、インドネシア(40%)でのビジネス成長に最も注力したいと回答。次いで、インド(30%)、ベトナム(30%)、中国(30%)、韓国(20%)となっている。
日本企業はそのような新興国において、主に生産活動を行いたいと答えているのに対して、他国の企業は、セールスおよび販売チャネルの開拓に取り組みたいと回答している。
昨年と比較して、同調査の結果で変化が最も大きかったのは業務渡航における今後の見込みだ。日本の74%の回答者が今後は業務渡航が増えると回答。これは昨年の15%と比べると約60%の増加となった。世界のCFOの半数以上も、今後1年間の業務渡航は増えるとの見方を示している(世界平均:55%)。
また、昨今の変わりゆく経済環境の中で、世界の企業における財務部門の役割や影響力が拡大の傾向にあると感じているCFOが多いことが同調査より明らかになった(64%)。日本の財務責任者の半数(50%)も同じように感じているそうだ。具体的には、不景気が続く中、自分たちが会社の幅広い組織の中で変革を促す「触媒」の役割になりつつあると答えている。さらに、80%の日本のCFOは、企業が顧客により高い価値を提供するため、以前にも増して財務部門が貢献をすることになるだろうと回答している(世界平均:84%)。
さらに、どのようなスキルが今後、日本の財務責任者として必要になってくるか、と尋ねられると、「リスク管理」および「戦略的思考」が最も優先順位の高いスキルであることが分かった。
今回の調査によると、日本のCFOは成長戦略に資する多くの分野で、昨年と比べて支出水準を上げる見込みだ。投資の対象となるのは以下の項目となっている。
広告、マーケティング、PR(2013年:52%←2012年:31%)
全社レベルのITシステム(2013年:50%←2012年:32%)
コンピューター・ハードウェア(2013年:50%←2012年:37%)
原材料や生産物資(2013年:47%←2012年:37%)
社員採用(2013年:41%←2012年:29%)
同調査では景気回復や企業成長につながる明るい見通しが明らかになった一方、73%の日本の回答者は、政治の行き詰まりや不透明感が企業の成長を阻害する要因になると感じている(世界平均:77%)。