2013年1月17日9:00
カトリック教会の総本山であるバチカンで、2012年12月31日以降、カードが使えなくなった。バチカン美術館や土産物売場、その他のサービスでも現金決済だけになった。
システム障害ではない。イタリア中央銀行が、バチカン市国での電子決済を禁止したのである。それまではドイツ銀行イタリアが15年間カード決済業務を担ってきた。
なぜ電子決済を禁止したのか。それはバチカン教皇庁が欧州連合のマネーロンダリング禁止規定に準拠していないからである。イタリアの銀行は欧州連合の一員として規定を守る責任から、カード決済を含む電子決済を中止した。
その結果、現金をもたずに訪れた観光客は、ATMを探して混乱をきたし、美術館などへの入場にも手間取って長蛇の列となった。
キャッシュレスの効用は、バチカン市の現金決済騒動で明らかになった。マネーロンダリング対策は各国の重要なテーマとなっている。
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※本記事は日本カードビジネス研究会代表 佐藤元則氏の「カードBizと僕の勝手気ままログ」をご紹介しています。