2013年4月26日10:00
スマートフォンを活用した電子マネー「ワンダー・マネー」を導入
NFC対応に加え、将来的にはチケットや「エクスプレス・パス」もスマホ一台で実現を目指す
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、2013年3月31日から、スマートフォンを使って、繰り返しチャージできて、パーク内のレストランや物販店舗の決済が可能なプリペイド型電子マネー「ワンダー・マネー」を導入している。スマートフォンを使ったパーク専用のプリペイド型電子マネーは国内だけではなく世界的にも珍しいサービスとなる。
パーク内のショップやレストランのレジカウンターで入金、支払いが可能
利用者のキャッシュレス化を促進
USJが開始した「ワンダー・マネー」はスマートフォンのみを媒体とするプリペイド型の電子マネー。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン公式ガイドアプリ」のメニューの1つとしてダウンロードして利用可能だ。利用者は、スマートフォンアプリを起動して「ワンダー・マネー」のバーコード(一次元コード)を表示させ、利用店舗のレジカウンターで専用端末にスマートフォンをかざすと入金、支払いが行える。
利用者は、1,000 円単位で、10 万円まで入金が可能だ。また、有効期限は入金や支払日より2 年間となっている。
電子マネーで利用するバーコード(一次元コード)については、不正利用対策として表示してから一定時間しか利用できないようにしている。また、新たなバーコードを発行するにはセキュリティパスワードの入力が必要となるため、万が一、スマートフォンを落としても不正利用の心配がないのも特徴だ。
USJには、「年間スタジオ・パス」を購入して繰り返しパークを楽しむ人が約70万人いる。現在、USJでは、年間スタジオ・パスのユーザー拡大と、その顧客に長く継続してUSJを利用してもらうための施策に力を入れている。
年間スタジオ・パス利用者のパーク内消費額増にも期待
アプリの起動が不要なNFC対応を予定
ユー・エス・ジェイ マーケティング・営業本部 マーケティング部 デジタルマーケティングチーム 主任 住岡洋光氏は、「年間スタジオ・パスの利用者は、1日券のゲストよりも、パーク滞在中の飲食や商品購入での消費が伸びにくいという課題もありました。そのため、一度チャージしていただければ財布から現金を出すよりも便利にご利用いただけるため、客単価向上にも期待しています」と説明する。
導入に向けては、USJのコーポレート・マーケティング・パートナーでもあるNEC(日本電気)が海外で展開を予定しているサーバ管理型の電子マネーソリューションを導入した。電子マネーは、コンビニエンスストア等、頻繁に訪れる場所で利用される傾向にあるため、パーク内の物販店舗やレストランにマッチすると考えた。
すでにUSJでは、2012年5月から、iOS、Androidのスマートフォンに対応した公式ガイドアプリを提供している。2013年3月末で利用者は約40万人。アトラクションの待ち時間が見られることをはじめとして、パークのマップ、レストランやショップの情報、営業時間などの案内だけでなく、ARカメラ機能を付加して展開していたが、今回、そのメニューのひとつとしてワンダー・マネーのサービスを追加した。
「公式ガイドアプリについては、特に待ち時間情報がパーク内のどこにいても閲覧可能なため、ゲストの皆様に大変喜ばれています。今後より多くの情報がスマートフォンに集約されて、パーク内のアクティビティにもっと役立てられるようにしていきます。スマートフォン一台だけあれば、身軽にパークをすべて楽しめるのはゲストにとって大きなメリットなので、もっと普及させていきたいです」(住岡氏)
現在、公式アプリにおけるシェアはiOSが約6割、Androidが約4割となっている。当初はNTTドコモのAndroidのみに対応しているが、KDDI、ソフトバンクへの対応もNFC対応する夏までには実現させたいとしている。
キャンペーン情報などを配信し利用率アップを狙う
初年度はターゲット40万人の8~10%の利用を目指す
将来的にはパークの入場券「スタジオ・パス」や人気ライドなどを比較的待たずに乗れる「ユニバーサル・エクスプレス・パス」などのチケット類もワンダー・マネーで購入できるようにすることも検討している。
なお、ワンダー・マネー開発にあたって、当初、オンラインからクレジットカードでチャージする方法も検討していたが、「パーク内限定の利用であるため、システム改修コストがかかることも含めて検討し、スコープから外しました」と住岡氏は話す。
今後の予定としては2013年7月以降にNFC/FeliCaのスマートフォンに対応したサービスの提供を予定している。一次元バーコードの場合、バーコードを立ち上げる行為が発生するが、アプリを起動させずにかざすだけでサービスが可能なNFCにより、ゲストがより便利に利用できるとUSJでは期待している。NFCについては、国内で普及しているFeliCaおよびTypeA/Bに対応する予定だ。すでにリーダライタはバーコードおよびNFCに対応したピンパッドを搭載した大手メーカー製の製品を使用しているため、NFC対応後は端末の入れ替えなしに提供が可能になる。
ワンダー・マネーの利用者は、320万人を誇るClubユニバーサル会員への登録(無料)が必須となる。Clubユニバーサル会員には最新のイベント情報などを配信しているが、ワンダー・マネー会員に対してもお得なキャンペーン情報などを配信する予定だ。
なお、パーク内ではポストペイ型電子マネー「iD」と「QUICPay」が利用できる。現状、各売り場には端末が3台設置されているため、将来的には、ワンダー・マネーも含め、一台の端末で利用できるようにしていきたいとしている。
ワンダー・マネーのターゲットは想定で40万人。そのうち初年度は8~10%の人に利用してもらいたいとしている。今後の予定としてUSJには、2014年後半に、新しいテーマパーク「The Wizarding World of Harry PotterTM」がオープンする予定だが、同テーマパークにもワンダー・マネーの利用を広げていく方針だ。