2013年11月14日8:00
プレミアムカード向けに高級飲食店や宿泊施設などを優待特典として提供
クレジットカード会員向けに会費徴収型サービスを展開へ
ベネフィット・ワンは、福利厚生のアウトソーシングサービスを提供する業界最大手企業である。同社では、クレジットカード会社と提携し、カード会員に対して高級飲食店や宿泊施設などの優待サービスを提供している。また、クレジットカード会員へのオプションサービスとして福利厚生サービス等を提供し、カード会社とレベニューシェアするモデルの提案を進めている。
■2万5,000の飲食店や宿泊施設、映画館など様々な施設と提携
――カード会社に対し古くから福利厚生サービスを提供
「福利厚生の代行サービスを提供している企業はいくつかありますが、弊社は2万5,000の施設と提携している強みがあります。また、提携施設からはトランザクションフィーを全くいただかないか、会員へポイントバックするメリットがあるため、サービスの割引率を高めることが可能です」(ベネフィット・ワン 執行役員 CRM事業部長 谷川茂雄氏)
ベネフィット・ワンでは、2004年にセンダント・ジャパンから「ショッピングプロテクション」の営業譲渡を受け、カード会社の会員に対し年会費5,250円を払うと最安値補償でブランド品などを購入できるモデルを展開してきた。また、海外開発センターからも営業譲渡を受け、2007年3月からカード会員が会員証を加盟飲食店(全国約10,000店)で提示すると割引特典を受けることができるグルメ割引サービス「プログラムN/Sselection」を提供している。現在は、各カード会社のニーズに応じて、カスタマイズしてサービスを提供しているそうだ。
■会員からの会費徴収型モデルで会員数を伸ばす
カード会社に対しレベニューシェアするモデルを提案
「現在、ベネフィット・ステーションでは、個人の方に300円~500円の会費をいただくスキームの方が伸びています。それをカード会社から会員への付帯プログラムとして提供していただくことで、会費徴収型でレベニューシェアする提案を行っています」(谷川氏)
ベネフィット・ワンではすでに、通信、フィットネスクラブ、賃貸不動産と連携したレベニューシェアのモデルを100万人の会員に提供しており、カード会社の会員にもニーズがあると見ている。
■プレミアムカード会員向けのクーポンサービスで高い稼働率を実現
――質にこだわったサービスとしてカード会員の高い支持を得る
また、プラチナ等のプレミアムカードに絞り、飲食とホテルのグレードアップサービスを提供している。例えば、カード会員は国内有名ホテルのスイートルームや旅館の特別室を半額で予約できるほか、ツインルームで予約していた場合、値段はそのままにアップグレードして利用できる。また、一流レストランのグルメサービスを1名分の料金で2名分利用できるといった特典を裏方で提供している。
「客単価が5,540円~3万8,300円の高級飲食店に、2名様以上の来店で1名無料となるクーポンの利用率は、軒並み発行部数に対して20~40%となっており、カードの付帯サービスとしては異例のサービスとなっています」(谷川氏)
カード会社では、以前はカード会員の数を確保する戦略をとる企業が多かったが、法改正などの影響もあり、カード会員の質を確保する戦略にシフトしてきている。そのため、3~5万円のプレミアムカードのラインアップを強化するケースも増えており、同サービスに対する引き合いも増えているそうだ。
「プレミアムカード向けのサービスのため、質には徹底的にこだわっており、クーポンの掲載企業は評判の良い店舗のみに絞っています。今後もカード会社に喜んでいただくため、質を重視していきたいと考えています」(ベネフィット・ワン 食べタイム事業部長 小林智仁氏)
■「食べタイム」は他のグルメサイトより高い割引率を実現
――カード会員データを分析し、CRMにつなげるモデルを検討
ベネフィット・ワンでは従来、加盟店でカードを提示して割引を受けるサービスを提供していたが、カードを利用したエビデンスが残らないという課題があった。そのため、携帯電話を利用して20~50%を中心とした割引を提供する「食べタイム」をリリースしている。ベネフィット・ワン 食べタイム事業部 企画・業務チーム長 中西正士氏は、「2008年9月からスタートしたサービスですが、すでに店舗数も1万2,000店舗強となっています」と話す。
小林氏によると、「われわれは加盟店から手数料をいただかないユーザー課金モデルのため、他のグルメサイトに比べて割引特典率が高い優位性があります。それを生かし、他社で提供できていない有利な条件で特典を提供できます」と自信を見せる。今年から来年にかけては、PC、スマートフォンへの対応を強化するなどシステムリニューアルを実施するとともに、高級クラスの店舗については切り分けて提供する予定だ。
今後のカード会社向けの優待サービス強化に向けては、店舗や宿泊施設に送客した会員のデータを分析し、次のアクションにつなげるサービスを提供していきたいとしている。また、カード会員の利用属性と連携し、セグメントごとの優待サービスを告知することも検討している。谷川氏は、「まずは、来期中にはカード会社の会員向けに会費徴収型のサービスを提供し、レベニューシェアするモデルを確立させていきたい」と意気込みを見せた。
取材(2013年10月):ペイメントナビ編集部 ペイメントナビゲーター 池谷貴