2013年12月26日 8:00

ANAのマイルを貯めるクレジットカード 第1回目

株式会社ポイ探 代表取締役 菊地崇仁

ポイントの最終目的をマイレージ(以下、「マイル」)に設定している人も多いだろう。ポイ探利用者も、40%以上がマイルへの交換を希望している。マイルは国際線ビジネスクラスを特典航空券(無料航空券)で利用すると、1マイル=6円以上として使うことができ、マイルの還元率が1%のクレジットカードの場合、実質還元率は6%以上になる。特典航空券を利用する人にとって、マイルが貯まるカードは非常に還元率の良いカードとなる。

ANAのマイルを貯められるクレジットカードを説明するには、1回でまとめるのは難しい。そこで、3回に分けて紹介したい。1回目は「ANAカード」の特典とポイントプログラムの紹介をしたい。

様々な特典のある「ANAカード」

左から「ANA VISA/マスターカード」
左から「ANA VISA/マスターカード」

ANAのマイルを貯めるには、やはり「ANAカード」を利用するのが良いだろう。「ANAカード」ならではの特典が多く用意されている。ANAカードに入会すると、一般カードで1000マイル、ワイドカード・ワイドゴールドカードで2000マイル、プレミアムカードで1万マイル獲得できる。また、毎年の継続時にも同数のマイルを獲得が可能だ。

飛行機の搭乗でも通常のフライトマイルに加え、一般カードで10%、ワイドカード・ワイドゴールドカードで25%、プレミアムカードで50%のボーナスマイルを獲得できる。例えば、区間マイルが510マイルの場合、一般カードでは別途51マイルが加算されると言うことだ。
さらにENEOSや高島屋等のANAカード特約店でANAカードを利用すれば、別途100円につき1マイルまたは200円につき1マイル付与される「ANAカードマイルプラス」特典もある。

「ANAカード」のポイントプログラム

「ANAカード」は人気のクレジットカードであり、様々なカード会社が提携カードを出している。JCBカード、三井住友カード(Visa、MasterCardブランド)、アメリカン・エキスプレス、シティカード(ダイナースブランド)が発行し、それぞれでグレードの違うクレジットカードが用意されている。

また、「ANAカード」の決済で貯まるポイントはそれぞれのカード会社で異なる。JCBカードの場合は「Oki Dokiポイントプログラム」、三井住友カードの場合は「ワールドプレゼント」、アメリカン・エキスプレスの場合は「メンバーシップ・リワード」、シティカードの場合は「ダイナースクラブ リワードプログラム」となり、それぞれのポイントをANAのマイルに交換する仕組みとなっている。

表1.ANAカード発行会社一覧

発行会社 国際ブランド ポイントプログラム
JCBカード JCB Oki Dokiポイントプログラム
三井住友カード Visa、MasterCard ワールドプレゼント
アメリカン・エキスプレス アメリカン・エキスプレス メンバーシップ・リワード
シティカード ダイナース ダイナースクラブ リワードプログラム

このポイントをマイルに交換するときに「移行手数料」が発生する。また、JCBカードと三井住友カードの場合は、ボーナスポイントと通常ポイントでは移行マイル数が異なる等、各カード会社毎に細かな違いがある。

一言で「ANAカード」と言っても、現在21種類のカードが存在する。年会費、マイルへの移行手数料、フライトボーナスマイルだけをまとめて表にしたものが表2.ANAカード一覧だ(学生用カードの3枚を抜いているため18枚)。

表2.ANAカード一覧

グレード カード名 年会費
(税別)
移行手数料
(税別)
付与ポイント 入会・継続マイル フライトマイル
一般カード ANA VISA一般カード 2000円 6000円 1000円で1p→10マイル 1000 x10%
ANAマスター一般カード
ANA VISA Suicaカード
ANA JCB一般カード 2000円 2000円
ANA To Me CARD PASMO JCB
ANAアメリカン・エキスプレス・カード 7000円 6000円 100円で1p→1マイル
ANA JCB ZERO(30歳未満限定) 無料 無料 1000円で1p→5マイル
ワイドカード ANA VISAワイドカード 7250円 6000円 1000円で1p→10マイル 2000 x25%
ANAマスターワイドカード
ANA JCBワイドカード 7250円 2000円
ワイドゴールドカード ANA VISAワイドゴールドカード 1万4000円 無料 1000円で1p→10マイル 2000 x25%
ANAマスターワイドゴールドカード
ANA JCBワイドゴールドカード
ANAダイナースカード 2万円 無料 100円で1p→1マイル
ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード 3万1000円
プレミアムカード ANA VISAプラチナ プレミアムカード 8万円 無料 1000円で1p→15マイル 10000 x50%
ANA JCBカードプレミアム 7万円 無料 1000円で2p→13マイル
ANAダイナースプレミアムカード 12万円 無料 100円で1p→1マイル

上記の表だけでも複雑だが、さらに「ANAカード」はそれぞれのカード会社で年間利用額に応じてボーナスポイントが付与される。以下はボーナスポイントだけを抜き出した表となっている。

表3.ANAカード ボーナスポイント一覧

ブランド 年間利用金額 ランク 一般カード・ワイドカード ワイドゴールドカード プレミアムカード
JCB 0~50万円未満
50万~100万円未満 スターβ 翌年10%UP
100万円~300万円未満 スターα 翌年20%UP
300万円以上 ロイヤルα
(スターα)
翌年25%UP
Visa、MasterCard 0~50万円未満
50万~100万円未満 V1 翌年10%UP 翌年20%UP
100万円~300万円未満 V2 翌年15%UP 翌年30%UP
300万円以上 V3 翌年30%UP 翌年60%UP
ダイナース 100万円利用毎 10000p
アメリカン・エキスプレス

上記の表2・表3を総合して、どの「ANAカード」を選べば良いのか判断するのは非常に難しいだろう。既に「ANAカード」を利用している人でも、「空港で勧誘されたから」「なんとなく」と言う理由で選んでいる方も多いはずだ。年会費も違えば、ボーナスポイント、移行手数料も異なる。「ANAカード」なので同じだと思っていると、年間の獲得マイル数で大きな差が出てくる。次回は、全ての「ANAカード」を比較し、一番お得なカードを選び出したい。

「ANAカード」比較の条件設定

次回の比較のために、いくつかの条件を設定しておく。次回は以下の条件を元に比較するので覚えておいて欲しい。

  1. フライトマイルは考慮しない
  2. マイルへの移行は毎年行う
  3. 年間利用額は50万円以上利用
  4. 三井住友カードの「マイ・ペイすリボ」は利用しない

まず、フライトマイルがある場合は、利用回数によって大きく変わるため、「ANAカード」でのショッピング利用で獲得できるマイル数だけを比較する(条件:1)。

次にANAのマイルで特典航空券を取得する場合は、国内線で1万5000マイル程度必要だ。ANAのマイルの有効期限は3年間であるため、1年毎にポイントをマイルに交換する場合(条件:2)、年間5000マイルを獲得しなければ特典航空券に交換することができない。そのため、年間利用額は50万円以上とする(条件:3)。年間利用額がそれ未満の場合、フライトマイルを貯められる人以外は高還元率カードを使ったほうが良いだろう(「ジャックスカードの高還元率カード徹底比較」参照)。

また、三井住友カードには「マイ・ペイすリボ」というリボ払いがある。リボ払いのため、年利15%の高額な金利が発生するが、獲得ポイントが2倍(通常ポイント+同数のボーナスポイント)になり、年会費優遇もある。リボ払いの金利を抑える方法があるため、上手に利用すると効率よくマイルを貯められるが(図1参照)、そのまま利用すると上乗せポイント以上の金利が発生する。今回の比較ではマイ・ペイすリボは考えない事とする(条件:4)。もし、マイ・ペイすリボを活用したポイント活用方法についての要望が多ければ取り上げたい。

poitan1

図1.マイ・ペイすリボを活用し、ポイントを2倍にした場合のポイント明細

この条件を元に効率良くマイルを貯められる最適な「ANAカード」は何かを次回以降解説する。

菊地 崇仁(きくち たかひと)

1998年に法政大学工学部を卒業後、同年日本電信電話株式会社(現NTT東日本)に入社。社内システムの開発、Lモードの料金システム開発、フレッツ網の機器検証等に携わり2002年に退社。同年、友人と共に起業し、システムの設計・開発・運用を行う。2006年、ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年3月代表取締役に就任。ポイント探検倶楽部に掲載されているポイントは約230種類。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られる。

三児の父であり家計のやりくりをすべて担当。ポイントのみならず、クレジットカードや保険なども守備範囲で、近年は投資にも挑戦している。著書は「新かんたんポイント&カード生活(自由国民社)」、「得するポイント(カード)の貯め方・使い方(日本監督協会)」。運営サイトは「ポイント探検倶楽部(ポイ探)」「株式会社ポイ探」「菊地崇仁オフィシャルホームページ」等。

 

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