2014年4月1日9:50
プリペイドカードが可能にするビッグデータマーケティング
Big Data Marketing with Prepaid
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
「ガーベッジイン、ガーベッジアウト」とは、価値のない情報をいくらたくさん集めても、アウトプットは使いものにならないゴミ、という意味である。
ダイレクトマーケティング時代からワンツーワンマーケティング、データウェアハウスそしてCRM、ビッグデータと変遷してきたデータ活用の歴史。キーワードはかわれども、この慣用句の意味するところは不変である。
情報通信技術の発達によって、大量のデータを、リアルタイムにスピード処理し、新たな体験価値にかえて顧客に提供できるようになった。マーケティングに使うという前提で、価値創造に必要なインプットデータはなにか。
いま、世界中の企業が収集しようとしているのが、決済データである。決済データを核にして、顧客属性(デモグラフィック)データや行動(Beha-vioral)データ、あるいは対話(Interaction)データを組合わそうとしている。
マーケティングで重要なのは、購買に結びつけられるということ。顧客の注意を喚起する、興味をもたせる、ほしいを思わせる、という段階でとまったのでは不完全。購入という行動を起こさせてはじめて、マーケティングの成果といえる。
ネット検索の巨人Googleは、広告ビジネスで稼いでいるが、その広告が実売に結びついたかどうかの検証ができないという悩みをかかえている。実売に結びついたという情報がとれれば、広告価値は何十倍にもなるだろう。
そこで考えたのがMobileを利用したGoogle-Wallet。リアルでもオンラインでも使えるようにして、決済データを収集しようとしているのだ。Amazonや楽天も決済データ取得に余念がない。
Mobileデータがとれる通信会社もまた、決済データ取得にご執心だ。米国3大携帯キャリアのジョイントベンチャーであるISISをはじめ、ほぼ全世界の主要キャリアがMobileWalletを推進または検討している。
購買チャネルをもっている小売業は、ネット企業や通信会社の脅威にそなえ、いままで以上に決済データを有効に活用しようとしている。
メイシーズやノードストロムなどの百貨店、ウォルマートやターゲット、テスコなどのスーパー、ベストバイやステープルズなどのカテゴリーキラーは、決済データを核にしたビッグデータ活用で、オムニチャネル戦略を展開している。
決済データを保有している金融機関は、みんながほしがっている資産を、いままではじゅうぶんに活用できていなかった。その価値がわかりはじめて、ようやく重い腰を上げようとしている。
決済データの収集と活用にもっとも便利なのがプリペイドカードだ。どんな情報が収集できるのか。それによってどんなマーケティングが可能になるのか。さらにプリペイドカードをマーケティングツールとしてパワーアップする仕掛けについて解説することにしよう。