2014年4月4日10:00
ヤマダ電機が顔パス感覚で買い物できる「ペイパル チェックイン支払い」導入
PayPalと連携しオムニチャネルコマースの実現を目指す
日本PayPalとPayPal Pte. Ltd.(ペイパル)は、家電量販店大手のヤマダ電機が運営する「ヤマダ電機 LABI 渋谷」の3F パソコン、パソコンサプライフロアにおいて、2014年4月3日~4月30日まで、「ペイパル チェックイン支払い」のテストマーケティングを開始した。利用者は、財布もカードも出すことなく、スマートフォン一台で“顔パス”のような感覚で買い物を楽しむことが可能だ。
国内でも導入が進む「ペイパル チェックイン支払い」
1,000円で100ポイントのヤマダポイントをプレゼント
「ペイパル チェックイン支払い」の利用者は、スマートフォンに無料アプリ「PayPal」をダウンロードし、カード番号と顔写真を登録し、ペイパルアカウントでログインするだけで、手軽にショッピングができるサービスとなる。
利用者は、位置情報でPayPalが利用できる店舗を検索し、「ヤマダ電機 LABI 渋谷」を選択後、店舗のページの「Pマーク」を横にスライドするとチェックインが完了する。ユーザーがチェックインを行うと、ヤマダ電機側のタブレット端末等に、チェックインしたユーザーのアイコンと名前が表示。ユーザーが商品を選び、レジに行き名前を伝えると、従業員は顧客の登録情報と顔を照合し、タブレット端末等で支払いを確定する。
ペイパルでは、「ペイパル チェックイン支払い」の展開を強化しており、すでに原宿の「カフェネスカフェ原宿」や「ダイハツ オーヴォ」東京の公演のオフィシャルグッズコーナーなどで導入が進んでいる。
今回、ヤマダ電機で開始したテストマーケティングでは、「ヤマダ電機 LABI 渋谷」の3階に「PayPal Here」を導入したペイパル専用レジを設置し、「ペイパル チェックイン支払い」利用者を対象にキャンペーンを実施。「ペイパル チェックイン支払い」で買い物をした人には、3階の全商品を対象に、購入金額1,000円(税抜)ごとにヤマダポイントを100ポイントプレゼント。また、3階では、専用ブースも設置し、ペイパルアカウント登録のサポートやアプリ利用方法などの説明も行っている。
オムニチャネルコマースに取り組むヤマダ電機
他店の電子マネー決済比率に匹敵する売り上げを目指す
ソフトバンクとPayPal Pte. Ltd.の合弁会社である日本PayPal 代表取締役兼 CEO 多田彰氏は、「ヤマダ電機はソフトバンクグループにとって重要な取引先の1つ」であると説明する。ソフトバンクでは、スマートフォンを活用したサービスをヤマダ電機に紹介しているが、「最先端の商品・サービスを提供したい」というヤマダ電機との方向性が合致し、今回のキャンペーン開始に至ったそうだ。また、PayPal Pte. Ltd. 東京支店 コミュニケーションズ部 部長 杉江知彦氏によると、ヤマダ電機ではオフラインとオンラインの融合を目指しているが、そのツールとして「ペイパル チェックイン支払い」に興味を持ったという。さらに、“クレジットカード情報が店舗に提供されない”というセキュリティ面も高い評価を受けたそうだ。
ヤマダ電機 IT事業本部 EC事業部 執行役員兼事業部長 茂木弘氏は、「オムニチャネルには各社取り組んでいますが、弊社のような電機店のショールーミング化は避けられません。われわれもスマートフォンや携帯の1IDで管理する取り組みを行っていますが、店舗に置いてある商品以外のものをタブレットで購入していただく発想からスタートし、その際に決済も簡略化できないかと考え、PayPalとの連携をスタートしました」と「ペイパル チェックイン支払い」の導入の経緯を説明する。
同社によると、他の家電量販店で導入されている電子マネーの決済比率は2~3%だが、それに匹敵するような売り上げを目指していきたいそうだ。
将来的には売り場単位でのサービスも検討
POSとの連動やID連携も視野に
今回は、専用ブースに設置した2台のタブレット端末を利用して「ペイパル チェックイン支払い」を提供しているが、将来的には売り場単位でサービスを提供することも検討している。また、現在はPOSと非連動で、従業員は二度打ちする形だが、すべて端末だけで完了できるようにしていきたいそうだ。さらに、商品情報の登録も可能なため、将来的には店内商品を登録し、会員情報との連携に結び付けていきたいという。加えて、ヤマダ電機のIDをPayPalのIDと連携させることも視野に入れる。
なお、キャンペーンを実施しているパソコン、パソコンサプライフロアでは高額な商品も含まれるが、ペイパルアカウントに登録した人の上限額は10万円となる。そのため、10万円を超える商品は購入できないが、“アカウント認証”の手続きを追加で行えば、利用上限額を100万円までに変更可能だ。
ヤマダ電機では今後、キャンペーンの成果を見定め、「渋谷店の全フロアや全店への展開に広げていきたい」と茂木氏は意気込みを見せた。