2014年4月30日9:20
ティーンズは現金にかわる決済手段をもとめている
Teens Card
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
■スマートフォンの普及でティーンズのモバイル決済ニーズが高まっている
ティーンズにカードを普及させるには、いまが絶好のチャンスだ。子どもたちの大半が、スマートフォンを利用するようになってきたからである。ティーンズはスマートフォンを単なるコミュニケーション手段として使っているのではない。ショッピングやゲームを楽しんでいる。毎日30分以上スマートフォンでインターネットへアクセスしている高校生は、なんと8割にもなるのだ。
しかし残念ながら、ティーンズの決済手段はかぎられている。現金か親のクレジットカードしかないのが現状だ。オンラインショッピングで現金ほど不便なものはない。親のクレジットカードは使いすぎの心配がある。
ティーンズにとって、いま流行の楽曲やアプリケーションは生活必需品。ファッション衣料や友達にプレゼントする雑貨もオンラインショッピングが主流になっている。
だから、いまがチャンスなのだ。モバイルコマースに便利なカードを提供すれば、一気に広まる可能性がある。ティーンズに最適のカードはプリペイドカードだ。与信が不要で、銀行口座もいらない。ティーンズ全員に発行できる。プリペイドカードは残高しか使えないため、使いすぎの心配もない。
欧米でもモバイルコマース市場が拡大するにしたがい、ティーンズ向けのプリペイドカードが注目されている。2014年1月、米国TDバンクは学生用プリペイドカードを発行した。単に学生を対象としているのではなく、親と子供の両方をターゲットにしている。親が申込み、子供のカードに資金をロードする。
親は子どもの利用をモニタリングできるので安心。子どもは使いすぎや悪質商法を防げるので安全。親と子がプリペイドカード利用を通じ、金銭管理について学べる。ティーンズにとって、プリペイドカードは仮免許のようなもの。将来クレジットカードを正しく利用するための助走カードなのである。
カードビジネスは農耕型のビジネスモデルである。土を耕し、種をまき、毎日ケアしながら収穫する。このビジネスで土を耕し、種をまくとは、カードインフラの整備であり、利用者の教育啓蒙をいう。子どものころからカードについて実践教育すれば、われわれがめざそうとしているキャッシュレス社会がはやく実現する。