2014年5月19日8:00
未回収リスクのない決済サービス「GMO後払い」の導入企業は順調に増加
リアルタイム与信、低料金、トータル決済サービスの強み
GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)の連結会社であるGMOペイメントサービス(GMO-PS)は、2013年8月から、商品到着後にコンビニのレジや郵便局(ゆうちょ銀行)の窓口、銀行の窓口・ATMから決済できる後払い決済「GMO後払い」を行っている。「GMO後払い」は、リアルタイムに与信が可能なAPI、月額固定費や決済手数料などの低価格な料金体系、GMO-PGと連携したトータル決済サービスの提供が強みとなっている。
後払いの潜在マーケットは大きい
クレジットカード同様にリアルタイム与信を実現
「GMO後払い」は、通販サイトにとって未回収リスクのない後払い決済サービスとなる。まず利用者が商品注文時、決済方法で「GMO後払い」を選択。通販サイトは購入者情報、配送先情報等を登録し、GMO-PSが利用者を与信審査し、結果を通販サイトに連絡する。与信審査が通った場合、通販サイトは利用者からの入金前に商品を発送し、GMO-PSに商品発送を配送伝票番号で連絡する。また、GMO-PSは請求書(封書・圧着ハガキ)を利用者に発送し、購入代金を通販サイトに立て替えて支払いする。利用者は届いた請求書を持参して、コンビニや郵便局・銀行で支払いを行う流れとなっている。
GMOペイメントサービス 代表取締役 向井克成氏は、「後払いの潜在マーケットは大きい」という。GMO-PSの親会社であるGMO-PGでは、4万7,000のECサイトにクレジットカード決済を中心としたさまざまな決済サービスを展開。日本のEC化率を上げるため取り組んでいるが、GMO-PGの既存のユーザーから後払い決済提供の要望が寄せられるケースもあり、債権譲渡型の後払い決済のニーズがあることは、身をもって理解していた。特に非カード決済の領域において、大手通販サイトなどが普通に後払いを導入している影響や、消費者にとって便利なこともあり、認知度も高まっている。向井氏は、「カードをさまざまな理由から利用されない方が多いこともわかり、既存の加盟店様へのサービス拡充のため、サービスを開始することになりました」と説明する。
GMO-PSの強みとしては、リアルタム与信の実現が挙げられる。従来の後払い決済では、与信確認に5分ほどかかっていたというが、「GMO後払い」ではリアルタイムで与信を取得可能だ。向井氏は、「与信がクレジットカード決済と同様であれば便利ですが、保留や審査のNGの連絡は遅いケースがありました。そこにお客様や加盟店様がストレスを感じられるケースもあったため、通販サイトのサービス拡充に向け、クレジットカード同様のリアルタイム与信を最優先して開発しました」と説明する。
優位性のある決済手数料でサービスを展開
請求は封書、圧着ハガキの両方に対応
通販サイトに対しては、「料金面でご利用していただきやすい環境を整えています。特に手数料率は最低ラインで設定しています」と向井氏は自信を見せる。手数料は、4.7%、4.2%(4,500円)、3.4%(1万8,000円)、2.7%(4万5,000円)の4段階設定となる(決済手数料は非課税、カッコ内は固定費・税別)。手数料や固定費に関しては競争力のある価格で提供しているそうだ。
利用者への請求については、封書および圧着ハガキの両方に対応。圧着ハガキの場合、郵便局で支払うことはできないが、請求手数料は140円とコストを抑えることが可能だ。年輩の利用者が多い通販サイトなどでは、郵便局での支払いが可能な封書(請求手数料180円)を求めるケースもある。全体の割合でみると9割以上がコンビニエンスストアでの支払いだが、多い通販サイトでは30%が郵便局での支払いとなっている。また、郵便局や銀行ATMでの振込手数料についても安価に提供しているそうだ。さらに、同梱サービスなどのシステム連携については、初期費用と月額固定費のみとなっている。
利用者の決済時の上限金額については5万4,000円(税込)だが、条件によってはそれ以上の金額で提供している企業もあるそうだ。
最近では、GMO-PGの担当がカード決済にプラスして提案することも多い。向井氏は、「1人の営業が複数の決済手段を同時に提案できるため、『PGマルチペイメントサービス』、『GMO後払い』の契約にプラスに働いています。既存の弊社のお客様に加え、新たにご契約いただく企業も多いです」と話し、笑顔を見せる。
GMO-PGと協力しオンライン決済のトータルサービスを提供
当初の予想を上回るペースで採用が進む
現状、「GMO後払い」の営業は、物販サイトに絞って展開している。採用企業は、アパレル、セレクトショップ、インテリアショップなどとなる。中には、目に見えて売り上げがアップした通販サイトもあるそうだ。また、代引きを利用する多くのユーザーが、支払い方法を後払いに切り替えたケースもある。
通販サイトの審査については、「PGマルチペイメントサービス」を利用する企業などは、スムーズに導入できるという。また、GMOイプシロンのサービスにも標準搭載している。新規の契約については、商材や利用者などのチェックを踏まえ、行う流れとなる。
現状、「PGマルチペイメントサービス」とは、管理画面は別となっている。その理由について向井氏は、「後払いは購入者の方の注文情報、属性情報が必要となり、『PGマルチペイメントサービス』とは仕組みが大きく異なります」と説明する。
なお、導入企業は、CSV連携の場合はそれほどコストがかからないそうだ。また、システム自動連携は対応コストが必要だが、「大手加盟店様の場合は、開発に手間がかかるのにもかかわらず、他社から乗り換えていただいたケースもあります」と向井氏は話す。
今後は、後払いが活用できる市場を見定めていきたいという。向井氏は、「まずは既存の加盟店様に対するサービスをより充実させることで、オンライン決済に関するトータルサービスを提供していきたいです。後払いだけではなく、加盟店様が求めるサービスを展開する。この事業だけではなく、全体最適を目指していきたいです。まだ、サービスを開始して間もないですが、想像以上に引き合いが多く、事業計画は前倒しとなっています」と手ごたえを口にした。