2014年5月23日8:33
ビッグデータ×現場力で3年後に売上110%を目指す
JR東日本ウォータービジネスは、2014年5月22日、エキナカ自販機オペレーションチーム「チームアキュア」を結成の記者発表会を開催した。同社では、電子マネー決済端末から吸い上げられたデータを活用してマーケティング改革に取り組んできたが、これまで以上にビッグデータを活かした現場力を発揮することで、自販機イノベーションをさらに推進するという。
売上は設立以降161%で推移
年間2億決済分のビッグデータをマーケティング活用
JR東日本ウォータービジネスは、飲料自販機事業、JR東日本向けの清涼飲料の仕入・卸事業、オリジナル商品の開発などを行っている。エキナカ自販機は台数が横ばいの中、売り上げは設立以降161%で推移。業績も一台当たりの販売台数を1.5倍以上に伸ばすことで拡大しているそうだ。同社・代表取締役社長 石戸谷隆敬氏によると、2014年4月の増税以降も売り上げは落ちていないそうだ。
同社は顧客起点で自販機ビジネスを再構築する「自販機イノベーション」を推進。顧客ニーズに合わせて売れ筋商品を品ぞろえする「ブランドミックス機の展開」、エキナカの最適なロケーションに機器を配置する「ロケーションの最適化」、スピーディに決済可能なSuica等の「交通系電子マネーの対応」、顧客と双方向のコミュニケーションが可能な「次世代自販機の開発」等を行っている。例えば、Suica等の交通系電子マネーの平均決済率は50%を超え、2014年4月現在のSuica対応機は95%以上となっている。
また、電子マネー対応決済端末からデータを吸い上げ、年間2億決済分のビッグデータを商品戦略などの営業施策に活用しているそうだ。エキナカではオペレーションの質が売り上げに直結する。エキナカでは、鉄道の運行により、安心・安全な作業が求められる。また、1日に7回補充する必要のある東京駅などでは、チャンスロスを逃さないオペレーションが求められる。さらに、同社では東日本エリアを分割して17のオペレーターに委託するスキームを採用しており、現場レベルに落とし込んで実現することの難しさもあるそうだ。
2012年頃からは、オペレーターSVの活用、現場自らロケ特性を考える仕組みの構築、購買時間や特製のデータを現場オペレーターが閲覧できる仕組みの採用、データを活用した売り場改善の発表などの営業施策に取り組んだ。そういったこともあり、自販機業界の売上は横ばいの中、107.2%の売上の伸びを見せた。
成果として、例えば松本駅では、10代の購入率が高い自販機があることが判明し、学生向けの品ぞろえを強化したところ、売上が110~112%以上となった。また、レジャー需要が高い舞浜駅では、夜22時に売上のピークがあることが分かったため、商品補充のタイミングを早朝と夕方に変更し、売り切れ時間の削減につなげた。
約700名の自販機オペレーターを組織化
オペレーション品質向上に取り組む
同社では、エキナカ自販機で重要なオペレーションを、商品戦略や機体戦略に次ぐ第3の強みとして確立するため、エキナカと自販機に精通した自販機オペレーター約700名を改めて組織化し、現場力を強化する「チームアキュア(team acure)」を結成。
「チームアキュア」では、新ユニフォームの着用でサービスの統一感や意識を高め、優秀なオペレーターにはゴールドユニフォームを進呈。目指すべき姿を体現するという。また、オペレーターが担当の自販機それぞれの状況に即したおすすめ商品を提案する「『チームアキュア』私のおすすめPOP」、データ分析に基いた業務改善PDCAの取り組み発表を年2回開催する「仮説検証甲子園」の本格展開等を行う。
同社では、これにより自販機イノベーションを推進し、中長期的には「3年後に売上110%を目指す」(取締役営業本部長 笹川俊成氏)という。