2014年9月17日1:11JCBの強みを生かしたカード連動型のリアルタイム送客サービス「イマレコ!」開始会員の属性・趣味嗜好とマッチングさせた情報配信を実現
ジェーシービーは、クレジットカード決済に連動したクーポン・情報配信サービス「イマレコ!(IMA-RECOMMEND!)」を開発し、2014年10月1日~2015年3月31日まで、新宿エリアで実証実験を行うと発表した。「イマレコ!」は、利用者の属性や、事前に登録した趣味・嗜好などの情報、また、クレジットカード利用時の状況が、加盟店が事前に設定した配信条件に合致した場合に、当該加盟店のおトク情報やクーポンがリアルタイムでサービス利用者のスマートフォンやフィーチャーフォンに届くサービスとなる。ジェーシービーでは、非接触決済サービス「J/Speedy」や「CLO(Card Linked Offer)」についても検証を行っている。
「リアルタイムオーソリゼーション」と「シングルアクワイアリング」
JCBの2つの強みをサービスに活用
ジェーシービーは、これまで50年以上にわたり、会員・加盟店へのサービス提供を行ってきた。カードが利用できる加盟店を拡大するとともに、便利に使える環境を提供することで会員・加盟店に価値を提供してきたという。ただ、現在は生活のあらゆるシーンでカードを利用できるため、欲しい情報をリアルタイムに提供することが必要となっているそうだ。
「イマレコ!」は、カード会員と加盟店をつなぐモバイルサービスを目的としている。一般的なカード決済では、利用者が加盟店店頭でカードを提示し、端末で操作を行う。その際にカードが有効か、利用可能額が十分かのチェックを行う信用照会(オーソリゼーション)をリアルタイムに実施。また、カード発行会社と加盟店契約会社が別の場合、カード発行会社が利用可否を判断する。その点、国内のJCB加盟店の契約は、JCBグループ各社が加盟店と契約するシングルアクワイアリングとなっている。この特徴を利用して「イマレコ!」のサービスは実現しているそうだ。
「イマレコ!」は「リアルタイム性」と「場所」を強く意識したサービスコンセプトとなっている。ジェーシービー 加盟店事業統括部長 山内研司氏は、「お客様の消費行動を正確にとらえるオーソリゼーションをきっかけとしたリアルタイム配信となります。これは国内初となります」と自信を見せる。
「イマレコ!」によって、カード会員は即時に特典が手に入る。また、加盟店は店舗の近くにいるニーズの高い人を集客可能だ。ジェーシービーならではのサービスとしては、「多岐にわたる業種・店舗と契約するJCB取扱加盟店網」「オーソリゼーションに基づく配信」「カード会員向けのサービス」の3つが挙げられる。
JCBカード会員は無料のアプリをダウンロードし、初回ログイン時に配信希望のカテゴリを選択することでさまざまなギフトが配信される。配信を希望するギフトは5つのカテゴリから選択可能だ。また、家族・恋人向けなどの買い物のニーズに応じた設定も行える。
ギフトの配信については、会員登録後の「ウェルカム配信」、「イマレコ!」からの「定期配信(スケジュール配信)」、JCBカードを利用した際に近くで利用できるギフトが贈られる「リアルタイム配信(オーソリゼーション配信)」の3つとなる。
店頭でのギフトの利用方法は加盟店の要望によって、「シークレットコード入力」、「QRコード読み取り」、ユーザーが自ら登録操作を行う「ギフト利用事前登録」の3つのパターンから選択できる。
加盟店には、ギフトの利用実績などの統計情報も提供。これにより、送客実績を確認でき、今後のキャンペーンの計画材料としても活用可能だ。
加盟店がさまざまな条件を指定してターゲティングを実現可能
新宿エリアの検証では13社が優待やクーポン提供
配信条件については、加盟店が自ら設定できるという。会員属性、配信希望カテゴリが自動マッチングされるほか、さまざまな条件を指定してターゲティングが可能だ。
「加盟店がギフトを贈りたい会員のターゲットや年齢、性別をリクエストした配信条件と、会員がどういう消費傾向にあるのかを設定して、その掛け合わせで行うサービスという特徴があります。当社でしかできないオーソリゼーションの仕組みを基幹システムとして改修して、マーケティングで使えるようにしています」(ジェーシービー 加盟店事業統括部門 加盟店事業統括部 次長 花田信人氏)
10月からの新宿エリアの実証実験には、小田急百貨店、ぐるなび、ココカラファイン、ジェイティービー、新宿TSUTAYA、新宿メトロ食堂街、髙島屋、東日本電信電話、ビックカメラ、Flags、丸井、三越伊勢丹、モンテローザ、ヨドバシカメラが参加。対象期間中、合計13社の新宿エリアにある店舗が、「イマレコ!」を通じて優待やクーポンを提供する予定だ。
ジェーシービーでは、9月末から会員募集・アプリの公開を開始する。また、ギフト配信は10月1日からを予定している。対象はジェーシービー発行の会員のみとなる(他社発行のJCBブランドカードは利用できない)。利用者は先着1万名を募集。今回は、実験ということもあり、会員、加盟店ともに利用は無料で行う。ジェーシービーでは半年間のサービスでの会員・加盟店の声を踏まえ、今後の展開について検討する予定だ。
「Oki Dokiポイント」の即時交換サービスを開始
非接触決済サービス「J/Speedy」の国内での発行を目指す
ジェーシービーでは、今回の「イマレコ!」の実証実験にあわせ、エリア販促キャンペーンとして、対象加盟店(23社)でJCBカードを利用すると、JCB ギフトカードが当たるキャンペーン「JCBで新宿上手!キャンペーン」を2014年10月にスタートする。また、10月18日・19日、12月13日・14日、2015 年1月10日・11日の6日間、新宿各所にてブースを設けイベントを開催。イベントでは、サービスの告知、キャンペーンの抽選会などを行う予定だ。
そのほか、JCBのポイントプログラム「Oki Dokiポイント」を、ビックカメラとヨドバシカメラ店頭に設置された専用機器で商品券に交換できるサービスを実施。ヨドバシカメラ「新宿西口本店」「マルチメディア新宿東口」では9月17日から稼働し、ビックカメラ「ビックロ新宿東口店」「新宿西口店」では12月より稼働予定となっている。
新たな決済サービスとしては、EMVコンタクトレスICカードやNFC対応スマートフォンで利用できる非接触決済サービス「J/Speedy(ジェイスピーディー)」のフィージビリティ検証を目的に、2014年7月より、表参道エリアで実証実験を行っているが、10月からは新宿エリアで実験を行う予定だ。当面は関係者のみでの実験となる。JCBでは、カード型およびモバイル型による実験の結果を踏まえ、2015年中旬以降の本格発行を予定しているそうだ。
CLO、プリカのバーコード決済、ポイントの店舗端末共通化に取り組む
2016年度には国内№1マルチプレイヤーを目指す
現在開発しているサービスとしては、「CLO(Card Linked Offer)」、「JCBプリペイドカードバーコード決済」、「ポイントサービスの店舗端末共通化」の3つを挙げた。
CLOは、カード会員の属性やカード利用動向に応じて、商品単位の割引クーポンなどをスマホアプリに配信するサービスとなる。利用者は、配信されたクーポンを事前に利用登録し、対象店舗でカード決済をすることで、後日カード会社よりキャッシュバックを受けることができる。「イマレコ!」は自社でサービスを開発したが、CLOはシステムベンダーと連携してサービスを提供する予定だ。
JCBプリペイドカードバーコード決済は、プラスチックカードを持ち歩くことなく、店頭でバーコードを表示して支払いができるサービスとなる。ジェーシービーでは、2015年1月を目処に、新宿エリアの一部加盟店で同サービスが利用できるように準備を進めている。
ポイントサービスの店頭端末共通化は、1台の端末で複数のポイントサービスの取り扱いが可能となる端末とセンターを構築するサービスとなっている。
なお、2014年度は、ジェーシービーの中期経営改革の初年度となるそうだ。最終年度となる2016年に目指す姿としては、加盟店ネットワーク網拡充によるアクワイアラ事業での存在感№1の実現、JCBの成長を支える盤石な収益、業務基盤の強化と確立を経営目標の柱とし、「国内№1マルチプレイヤーを目指す」とジェーシービー 取締役兼常務執行役員兼加盟店事業統括部門長世戸健司氏は説明する。
2014年度は、デビットカード加盟店網の拡大、東京・大阪といった大都市圏でのブランドシェア拡大、主要スマートフォン決済事業者との協業による取り組み、ジェーシービーならではのソリューション提供として送客スキーム事業の検証などの事業を行っている。
ジェーシービーならでの取り組みとしては、7月14日から、トヨタファイナンスと協業で、横浜市の大型商業施設であるトレッサ横浜(運営:トヨタオートモールクリエイト)にモバイルウォレット「トレッサウォレットアプリ」を導入している。