2014年12月9日8:00
Visaの決済ネットワークの中核「Visa Net」とは?
信用照会や決済機能に加え、付加価値サービスも提供
「Visa Net」は、世界屈指のペイメントブランドであるVisaのビジネスの中核を担う決済ネットワークだ。Visaが2014年12月4日に開催した記者説明会では、「Visa Net」の機能やその他の付加価値機能についても紹介された。
世界最大の電子決済ネットワーク「Visa Net」
2013年度の国内の取扱件数は23億件
Visaは、3千6百万以上のアクセプタンス、1万4,800の参加金融機関・カード会社、730兆円の総取扱高、900億件の取引処理件数、1億5千万件の平均処理件数、1取引処理の所要時間は1秒以内、1秒当たり5万6千件以上の取引処理能力、対応通貨数は175通貨となっている。
2013年4月~2014年3月にVisa Netを経由した取扱件数は23億件。そのうち国内のイシュア(カード発行会社)・アクワイアラ(加盟店管理)を通して行われた処理が93.79%、海外の金融機関発行のカード、海外の加盟店で利用されたケースは約6%となる。 取引としては、対面が3分の2を占める。内訳として、スーパーマーケットが21.92%、レストラン/食料品が11.68%、小売一般が8.53%、ガソリンスタンドが6.96%となる。 Visaのネットワークで処理しているオーソリの1秒当たりのピーク件数もものすごい勢いで伸長している。直近では1万3,000件を超える取引が発生しており、2000年に比べても10倍の伸びがあるそうだ。 データセンターでは、シングルポイント障害が発生しない設計となっている。1つのデータセンター内に複数のプロセシング・プラットフォームを構築。また、シームレスな冗長機能を実現している。
セキュリティについては、ダイナミックデータの活用に注力し、高リスクと思われる取引のみをターゲットとすることで、カード決済のショッピングに対する影響を最小化している。また、多重的、かつフレキシブルな認証ソリューションを備えた安全な決済を実現しているという。
カード会員が利用を管理できる「Visaペイメントコントロール」
Visaカードにリンクした各加盟店の優待プログラムを提供可能
プロダクトサービスの開発にも取り組んでいる。「Visaアラート」は、カード会員が自身でカードの利用にあたってアラートを発信することができる。複数の銀行やカード会社では、メール通知で出金情報や決済情報を連絡するサービスを提供しているが、例えば、一定金額を超えた時、eコマース取引時、国際取引時など、アラートをフレキシブルに条件設定できるという。また、利用管理は月次、利用金額合計、特定加盟店や業種で一定額を超えた際、国際取引などの設定が可能だ。ビザ・ワールドワイド・ジャパン ネットワーク プロセシング ヘッド 長濱伸之氏は、「Visaのネットワーク上に公開しているため、カード会社がシステム開発することなく自社の会員にサービスを提供できます」と説明する。「Visaアラート」は、米国ですでに導入されているそうだ。
「Visaペイメントコントロール」は、カード会員がどこで、どのようにカードを使えるようにするのかということを自ら管理できる。仮に条件に合致した場合は、オーソリゼーションをブロックできる。例えば、日や時間、現金引き出しの制限、1取引における購入管理といった「利用管理」、国際取引、国内取引、州・群などによる制限といった「場所の管理」、加盟店タイプ、取引タイプ、チャネルによる制限といった「カテゴリーの管理」が可能だ。加盟店タイプによる制限では、パーチェシングカードを利用する場合、従業員が物品を購入する際は、企業が関連しない商材の購入に条件に合致しない加盟店をブロックすることもできる。
さらに、国内ではCLOサービスが話題となっているが、「Visa POSオファー・リデンプション・プラットフォーム」を用意しており、Visaカードにリンクした各加盟店の優待プログラムを提供可能だ。例えば、①参加加盟店において50ドル以上利用した場合、20ドルを上限に15%の割引を提供、②7時~10時の間に5ドル以上の購入した場合、10%割引になる、③週の間に10ドル以上の商品を3回購入した場合、10%の割引を提供――といったことが可能だ。まだ同サービスの提供実績はないが、「米国でほぼ商用に近いところまで来ている」(長濱氏)という。なお、同サービスは、Visaからクライアント(イシュア・アクワイアラ)に提供するサービスであるそうだ。
※「Visa POSオファー・リデンプション・プラットフォーム」の提供先は、イシュアだけではなく、イシュアおよびアクワイアラの誤りでした。お詫びして修正させていただきます。