2015年2月2日8:00NFCが加速するキャッシュレスNFC Cashless Australiay
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤元則
キャッシュレスを加速する決済手段はなんだろう。
英国決済協議会はプリペイド、非接触、そしてモバイルの3つをあげている。
そのひとつ、非接触の有効性を示す事例がある。
英国と関係の深いオーストラリアで、NFC非接触カードによる決済が劇的に伸びている。
世界でも例をみないほどの勢いだ。
それによってキャッシュレスが加速している。
水槽の苔のように根強くはびこる現金を、非接触決済という新技術がみごとに駆逐しはじめた。
オーストラリアの決済事情から、キャッシュレス推進のアイデアを学ぶことにしよう。
■現金比率1.17%のキャッシュレス社会
オーストラリアの決済環境はかつてないほどのスピードでキャッシュレス化している。推進しているのは、オーストラリア中央銀行(Reserve Bank of Australia; RBA)とオーストラリア決済清算協会(APCA)だ。
英国では決済協議会(Payment Counsil)が推進役だが、オーストラリアも同じ構図である。キャッシュレスは自然発生的な現象ではない。リーダーシップをとる組織が国家的に確立されていることが重要だ。
オーストラリア中央銀行と決済清算協会の調査データをもとに、オーストラリアにおける決済関連トピックスをみることにしよう。
2014年、オーストラリアの消費者や企業は200億件の決済取引をした。金額にすると15.4兆オーストラリアドルになる。
そのうち現金の取引件数は112億件、金額は1,800億オーストラリアドルだ。取引件数では全決済手段でトップの56%だが、金額はわずか1.17%に過ぎない。
消費者と企業両方の取引金額でたった1.17%なのだ。スウェーデンが2012年に発表した現金決済の比率は3%だから、その半分以下である。オーストラリアは、世界有数のキャッシュレス国家なのだ。